秋だから、というわけではないのだけれどあたしはついつい、
センチメートル・・ではない、センチメンタルになっちまうのだ。
吹く風は心の亀裂に入り込み、スィート・ペインを誘発するのでござい。
斜めに差し込む陽光はあたしの心を照らしはしない。
現実はすべて灰塵と化した過去の中に閉じ込められたイノセンスのごとく。
あたしの中のとりとめもない空想は翼さえ持たず、
飛翔の幻の中できりもみ墜落していくのか知らん。
明日になればその分だけ、今日と言う過去が失われるというのに
我々は嬉々として
”エントロピーの飽和した静止宇宙”と言う「無」に向かって
はしゃぎながら進んでゆくしか術を持たず、
繰り返し繰り返す、レコードのような人生を謳歌すべく・・・行く。
そうしてそれは、それでいいのだ、全然、いいのだ。
あたしはすぐに忘れっちまう。
何もかもが、すぐにどこかに飛んでっちまう。
「無いもの」が「在る」ことすら忘れちまう。
「いつかあったこと」すら、
それすら。