「よくあること」と、その逆のこと

2011-05-12 14:11:42 | Weblog


「よくあること」なのだ、そんなの。

そんな風に思う。

俺達なんてびっくりするぐらい平々凡々な人生で、

ろくでもないヘマをしたり、ずっこけたり。

陰口を言われたり、面と向かって怒られたり。

ピンポイントで雨に降られたりとか。

でも本当にそんなの、誰にだってあることなのだ。

全然特別ではない。


と思う反面、


この時代のこの一瞬を

同じ場所で体験出来たのは他でもない、

俺達だけじゃないか、とも思う。

君がまだ少年だったころに出会えて、

一緒に成長して、一緒にいろんなところを旅した。

俺達は特別な存在なのだ。


どんな小説を読んでも、俺達が経験したようなことは

書いてなかった。

そりゃそうだ、だって本当に、

想像を絶するような出来事の数々だったんだから。

思い出したくないほどひどいことが起こったし、

有頂天になってしまうようなことも起こった。

現実に起こったことすべてが、

今となっては俺の中に 混沌のようにうずまいて

巨大なガス体のようなものになって在り続ける。


そして今は五月の半ば近くで、

俺は六月のことを考えている。

この季節になると、二十数年前のことをどうしても

思い出さざるを得ないのだ。


「よくあること」の真逆だった出来事のこと。






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