特に誰にも会いたくなかったので
俺は
穴ぐらみたいな部屋で
夢をむさぼるように眠った。
アンノンとした人生なんて君に言わせれば
退屈極まりない・・ってところなのだろうが
あいにくと俺は、 どんなことであろうが
退屈したことがない。
居心地なんて、悪いよりはいい方がいいに決まってるし、
「こんなことでいいのか?」
って思いながら生きるのは嫌なのだ。
俺が求めていたものは、
「絶対的な何か」だったのかも知れない・・・と思う。
ご存知のように、「絶対」は ないのだが、
”どんと”が「夢の中」で言ったように
「欲しいものはいつでも遠い雲の上」で、
でもその輝きはぶ厚い雲を通して
この地表にも確かに、届いている。
もちろん、ほんのわずかではあるけれど。
そんな薄明かりに照らされた この「生」という
形而上的な荒野。
その広大な凍りついた原野を我々は
「自己」という小さなヴィークルに乗って
流されていく・・・いや、流れていく。
穴居生活は暖かくて素敵だ。
でもそれだって
荒野の中であることに変わりはないのだけれど。