ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

「キャッチ The 生産者」全53回アップ

2009-07-29 09:19:09 | キャッチ The 生産者
2004年5月にスタートして2008年12月まで続いた
日本ソムリエ協会のオープンサイト「ワイン村」 ですが、サイトクローズに際し、以前のコンテンツを見られるようにしてほしいというお声をいただき、それに応える形で、私の担当していた 「キャッチ The 生産者」 をこのブログに再掲載してきました。

ようやく昨日、全53回のアップを完了しましたが、移行するだけとはいえ、かなり大変な作業量があり、半年以上もかかってしまいました。
だいぶ古くなってしまった内容もありますが、その点はご容赦ください。


INDEX-1  第 1回~25回

INDEX-2  第26回~53回



53回の中で印象深いのはやはり現地訪問ですが、特に、以前会っている生産者を訪問する再会の旅はなんとも嬉しく、楽しいものでした。

・第30回 Gosset-Brabant [フランス、シャンパーニュ]
 
・第32回 Champagne de VENOGE [フランス、シャンパーニュ]



初めて会い、その温かい人柄に触れてほっとした人もたくさんいました

・第43回 Weingut Zimmerling [ドイツ、ザクセン]
 
・第52回 Capel Vale Winery [豪州、西オーストラリア]


もちろん、ひとりひとりが思い出深く、素晴らしい出会いで、
快くお話を伺わせていただいた生産者のみなさん、ご協力いただいた輸入業者や関係者のみなさんに感謝です。


また近いうちにこの企画をどこかでお届けできたら、と思っています。
その際は、どうぞよろしくお願いします。



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INDEX-2@「キャッチ The 生産者」

2009-07-29 09:19:01 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた 「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を再掲載しています。
こちらは インデックスページ です。

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INDEX-2         *第53回を追加(2009/7/28)
                    *第1~25回を「INDEX-1」に移動(2009/6/15)


      現地訪問してきたワイナリー



第53回 Chateau Dassault   [フランス、ボルドー] (2008年12月)

第52回 Capel Vale Winery   [豪州、西オーストラリア] (2008年11月)

第51回 Finca La Emperatriz   [スペイン、リオハ] (2008年10月)



第50回 Vinhos Borges  [ポルトガル、ポルト] (2008年9月)

第49回 Domaine Louis Moreau  [フランス、ブルゴーニュ] (2008年8月)

第48回 Tenuta di Petrolo   [イタリア、トスカーナ] (2008年7月)

第47回 Schloss Wackerbarth <1> <2> [ドイツ、ザクセン]
                                     (2008年6月)
第46回 Weingut Karl Friedrich Aust <1> <2> [ドイツ、ザクセン]
                                     (2008年5月)
第45回 Weingut Vincenz Richter <1> <2> [ドイツ、ザクセン]
                                     (2008年4月)
第44回 Weingut Schloss Proschwitz <1> <2> [ドイツ、ザクセン]
                                     (2008年3月)
第43回 Weingut Zimmerling <1> <2>[ドイツ、ザクセン](2008年2月)

第42回 Chateau Tour Grise  [フランス、ロワール] (2008年1月)

第41回 Michel Trino Wines [アルゼンチン、カファジャテ] (2007年12月)



第40回 Agricola Allegrini  [イタリア、ヴェネト] (2007年11月)

第39回 Champagne M.Maillart [フランス、シャンパーニュ] (2007年10月)

第38回 Franz Haas  [イタリア、アルト・アディジェ] (2007年9月)

第37回 Domaine Sylvie Spielmann &Domaine Rateau
                  [フランス、アルザス&ブルゴーニュ] (2007年8月)
第36回  Weingut Fred Loimer [オーストリア、カンプタール] (2007年7月)

第35回  Ch. Gaudet-St-Julien  [フランス、ボルドー] (2007年6月)

第34回  Champagne KRUG  [フランス、シャンパーニュ] (2007年5月)

第33回 Champagne Bollinger [フランス、シャンパーニュ] (2007年4月)

第32回 Champagne de VENOGE [フランス、シャンパーニュ] (2007年3月)

第31回 Billecart-Salmon  [フランス、シャンパーニュ] (2007年2月)



第30回 Gosset-Brabant  [フランス、シャンパーニュ] (2007年1月)

第29回 PIERRE SPARR  [フランス、アルザス] (2006年12月)

第28回 NASU WINE  [日本、栃木県] (2006年11月)

第27回 Vina Ventisquero  [チリ] (2006年10月)

第26回 Mt.Langi Ghiran  [豪州、ヴィクトリア州] (2006年9月)


* 第1~25回 は INDEX-1



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INDEX-1@「キャッチ The 生産者」

2009-07-29 09:19:00 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた 「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を再掲載しています。
こちらは インデックスページ です。

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INDEX-1  

      現地訪問してきたワイナリー


第26回以降は INDEX-2



第25回 Vina Cono Sur  [チリ] (2006年8月)

第24回 Dominio del Plata  [アルゼンチン、メンド-サ] (2006年7月)

第23回 La Soufrandiere&Bret Brothers  [フランス、ブルゴーニュ]
                                     (2006年6月)
第22回 Domaine Marcel Richaud  [フランス、ローヌ] (2006年5月)

第21回 DUO@Chateau Suau  [フランス、ボルドー] (2006年4月)



第20回 Tenuta San Guido  [イタリア、トスカーナ] (2006年3月)

第19回 Chateau La Fresnaye  [フランス、ロワール] (2006年2月)

第18回 Brokenwood  [オーストラリア、南オーストラリア] (2006年1月)

第17回 Picardy  [オーストラリア、西オーストラリア] (2005年12月)

第16回 Champagne Pannier  [フランス、シャンパーニュ] (2005年11月)

第15回 Weingut Selbach-Oster  [ドイツ、モーゼル] (2005年10月)

第14回 Bodega NQN  [アルゼンチン、パタゴニア] (2005年9月)

第13回 Chateau Pape-Clement  [フランス、ボルドー] (2005年8月)

第12回 Chateau de la Roche  [フランス、ロワール] (2005年7月)

第11回 Weingut Josef Leitz  [ドイツ、ラインガウ] (2005年6月)



第10回 Vina Perez Cruz  [チリ、マイポ・ヴァレー] (2005年5月)

第 9回 Vallformosa Vinos & Cavas  [スペイン、ペネデス] (2005年4月)

第 8回 Domaine Robert Arnoux  [フランス、ブルゴーニュ] (2005年2月)

第 7回 Domaine Jean Pillot & Fils  [フランス、ブルゴーニュ] (2005年1月)

第 6回 Weingut Louis Guntrum  [ドイツ、ラインヘッセン] (2004年12月)

第 5回 Domaine Catherine et Claude Marechal 
                          [フランス、ブルゴーニュ] (2004年10月)
第 4回 Domaine du Deffends  [フランス、プロヴァンス] (2004年9月)

第 3回 Mas de Libian   [フランス、ローヌ] (2004年7月)

第 2回 BEAU PAYSAGE  [日本、山梨県] (2004年6月)

第 1回 Podere La Brancaia  [イタリア、トスカーナ] (2004年5月)



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第53回 Chateau Dassault @「キャッチ The 生産者」

2009-07-28 09:29:38 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2008年12月21日)

第53回  Laurence Brun  <Chateau Dassault>

今回のゲストは、仏ボルドーはシャトー・ダッソーのディレクターである
ローランス・ブリュン さんです。


<Laurence Brun> (ローランス・ブリュン)
1958年10月9日生まれ。
4人兄妹の末っ子。
1995年からシャトー・ダッソーのディレクターに就任。



サン・テミリオンで活躍する女性ディレクター

                 ― Chateau Dassault ―

ボルドーの中でも人気が高いのが、右岸地区のサン・テミリオンです。

中世の雰囲気がたっぷりと残る街は世界遺産に指定されており、メルロ主体のしなやかなワインがつくられています。

シャトー・シュヴァル・ブランやオーゾンヌといった格付け最上級ワインのほか、シンデレラワインと呼ばれる超プレミアムなガレージワインもあり、非常に魅力あるワインが軒を並べている地域です。

そんな中、シャトーのディレクターとしてバリバリ活躍している女性がいると聞きました。

それが、ローランス・ブリュンさんです。
彼女は一体どんな人物なのでしょう。

ドキドキしながら約束の場所に向かうと…





Q.シャトー・ダッソーは、サン・テミリオンではどういう存在ですか?
A.所有する畑は24haあり、シャトーとしては、サン・テミリオンの中では大きい方です。

1955年にマルセル・ダッソー・グループが取得して今の名前になりましたが、その前はシャトー・クープリ(Couperie)という名でした。

とても美しいシャトーで、庭園も素晴らしいのが自慢です。


Q.格付けは?
A.グラン・クリュ・クラッセになります。

メルロが中心で70%をつくり、カベルネ・フランが20%、カベルネ・ソーヴィニヨンが10%です。つくっているのは赤ワインだけです。


Q.サン・テミリオンで白ワインをつくるシャトーがあったような?
A.シャトー・モンブスケやヴァランドローが白ワインをつくっています。しかし、サン・テミリオンのAOCで認められているのは赤だけなので、彼らの白ワインは“AOCサン・テミリオン”とは呼べず、単なる“AOCボルドー”になってしまいます。とはいえ、ものすごく高価なAOCボルドーですけどね(笑)


ローランスさんが描いてくれたサン・テミリオンの地図(上が南)
シャトー・ダッソーの位置は赤い×のところ


Q.ダッソーのワインのスタイルは?
A.まろやかで、フルーティーで、フィネスがあり、エレガントなワインです。
きれいさを保ちながら、芯は力強いワインを目指しています。


Q.そのためになにか特別なことをしていますか?
A.醸造技術を駆使するのではなく、まずはきれいに熟したブドウをつくることが大事と考え、栽培に力を入れています。といっても、収穫量にこだわるのではなく、ちゃんと太陽が当たり、風通しをよく、といった環境を整えることを重視しています。そうすると、ブドウはきれいに熟してくれるからです。

例えば、2008年の収穫は10月9日(ローランスさんの記念すべき50回目の誕生日でした)に始まり、24日に終えましたが、ここまで熟すのを待てるのは、ブドウをきれいに(=健全に)つくっているからです。

なお、栽培はリュット・レゾネ(減農薬)です。


Q.ワインづくりと“ラタトゥイユ”(ナス、トマト、ズッキーニ等の野菜をオリーブオイルとハーブで煮込んでつくるフランスの家庭料理)づくりは同じという考えなのだとか?
A.ダッソーでは、それぞれの品種は別々に小さいタンクで発酵させ、後でブレンドします。その方が品質のよいワインに仕上がるからです。

ラタトゥイユも同じで、それぞれの野菜を別々に煮てから後で合わせる方が、ずっと美味しく仕上がります。次はぜひこの方法でラタトゥイユをつくってみてくださいね(笑)


Q.なぜダッソーのディレクターになろうと思ったのですか?
A.父(Andre Vergriette)が長年ダッソーのディレクターをしていたことが大きなきっかけです。
私はダッソーのシャトーで育ちましたので、父が仕事をするのを近くで見てきました。また、小さい頃から収穫の手伝いなどをしてきましたので、自然と父の跡を継ごうと思ったのです。でも、単純に世襲したのではなく、きちんと面接を受け、その結果ディレクターに採用されました。

私は醸造のディプロムは持っていませんが、ボルドー大学のテイスティングコースは修了しています。


Q.あなたの他に兄弟姉妹はいないのでしょうか?
A.実は兄が3人います。が、兄たちはさっさと家を出て、ワインとは関係ない他の仕事に就いてしまいました(笑)


Q.ボルドーは男性社会ですよね?
サン・テミリオンでも女性ディレクターは珍しいのではないですか?
A.確かにボルドーは封建的でマッチョな世界です。しかし、オーゾンヌ、ボーセジュール・ベコーなどでも女性ディレクターが活躍しています。

ボルドーも少しずつ変化してきているかもしれません。




<テイスティングしたワイン>


Chateau Merissac 2002

「ダッソーのセカンドワイン“Le D de Dassault”を、日本では“シャトー・メリサック”という名で販売しています。
2002年のセカンドワインは、メルロ60%、カベルネ・フラン40%というセパージュです」(ローランスさん)

縁がオレンジ色がかり、熟成しつつある外観です。口にすると、とてもなめらかで、ベルベットのような舌触りです。よい飲み頃になってきていると感じます。



Chateau Dassault 2004

「2004年は、メルロ75%、カベルネ・フラン15%、カベルネ・ソーヴィニヨン10%です。ダッソーのセパージュは年によって変わります」(ローランスさん)

メリサックよりもしっかりした構成のタンニンを感じました。ファーストワインであるせいかと思いましたが、ローランスさんによると
「2002年はそんなに良い年ではありませんでしたが、2004年はまあまあの年なので、ヴィンテージによる差が出ています」とのことでした。



Chateau Dassault 2005

評判の高い2005年ということもあり、果実味もタンニンもきっちりと凝縮し、ボディは非常に緻密。舌触りはゴツゴツせず、なめらかな丸みを感じます。パワーがあり、これは長い熟成が期待できそうです。

「これは本当に素晴らしいでしょう?やっぱり2005年は偉大な年だったことがわかると思います」(ローランスさん)


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インタビューを終えて


ボルドーのシャトーの女性ディレクターだから、ちょっと知的でクールなピリピリした雰囲気な人かも…と身構えていたのですが、ローランスさんが気さくな人柄だということを事前に聞き、まずはほっと一安心しつつ臨んだところ…

本当に明るくユーモアにあふれた活発な女性でした!

話をしていて楽しいのはもちろん、シャトー・ダッソーへの深い愛情がビンビンと伝わってきました。

ローランスさんは子供の頃からのシャトー・ダッソー育ち。前任のディレクターだった父アンドレさんがシャトーと娘に深い愛情を注いできた結果、父と同じ思いを持つ娘に育ったように思いました。


インタビューの翌日にも再会!

その思いはローランスさんの娘さんにも引き継がれているようで、23歳になる双子の娘さんの1人がワインの道に進み、海外で研修を重ねているとのこと。

もしや、ローランスさんの家系は女性の方がワイン好き?(笑)
娘さんの時代になる頃には、ボルドーは大きな変化を遂げているかもしれませんね。
これもまた、将来が楽しみな話です。


(取材協力)大榮産業株式会社


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第52回 Capel Vale @「キャッチ The 生産者」

2009-07-27 09:33:42 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2008年11月21日)

第52回  Peter Pratten  <Capel Vale>
 
オーストラリアの西オーストラリア州から、
ケイペル・ヴェール・ワイナリー(Capel Vale Winery)の創設者
ピーター・プラッタンさんが来日しました 。


<Dr. Peter Pratten> (ピーター・プラッタン)
米国エール大学医学部教授を務めた後、1974年にオーストラリアのWAにブドウを植樹。
パースで病院を経営しながら、ワイナリーを運営していましたが、2001年からはワイナリーに専念。
2007年にケイペル・ヴェールの経営を息子に譲り、名目上は引退しましたが・・・。


西オーストラリア州で30年以上の歴史を持つワイナリー
                        ― Cape Vale Winery ―

暖かいイメージのオーストラリアの中でも、西オーストラリア州(以下WA)には冷涼なワイン産地が多く存在することで知られています。
特にマーガレット・リヴァーは有名で、現在は多くのワイナリーがこの地でのワインづくりに取り組んでいます。

1974年、このマーガレット・リヴァーの北東に位置するジオグラッフ(Geographe)にブドウを植えたのが、ピーターさんと奥様のエリザベスさんでした。

彼らは1979年にワイナリーを建て、1980年にケイペル・ヴェールの最初のヴィンテージが誕生しました。

ケイペル・ヴェールは、今やオーストラリア屈指の魅力あるワイン生産地となったWAにおいて30年以上も前からのワインづくりをしているパイオニアで、この地を代表する老舗なのです。

ケイペル・ヴェールのワインのラベルには 鳥の絵 が描かれています。これを見て、「あ、これ飲んだことがある!」と思う人も多いのではないでしょうか?

なぜ、鳥ラベルなのでしょうか?

まずは、そこから尋ねてみることにしましょうか。





Q.、ラベルの鳥のことを教えてください。
A.ペル・ヴェール・ワイナリーの近くにはケイペル川が流れていますが、そこにはシェルダックや土着のマウンテンダックなどの水鳥たちがたくさん集まります。そこで、このマウンテンダックをラベルにしようと思いました。

鳥のラベルは、地元の自然や生き物たちへの我々の愛情を表したものなのです。


Q.鳥ラベルでも、可愛い花のイラストのものがありますが?
A.ワインの初心者にも気軽に楽しんでもらえるスタイルのワインです。

フレッシュで、フルーティーで、非常に飲みやすく、価格も手頃で、各品種のヴァラエタルワインとして出しています。



特にシャルドネは“アンウッデッド”(Unwooded)、つまり樽を使わないものにしました。オーストラリアのシャルドネは樽が強いと思っている人が多いのですが、これは樽を使わず爽やかに仕上げましたので、ブドウそのものの味わいを楽しんでいただけると思います。


Q.ケイペル・ヴェールの主力ワインは?
A.リージョナル・シリーズ・ワインです。WAで30年の間に培ってきた経験を活かし、各リージョンに最適なブドウ品種を選んでつくるプレミアムワインになります。

ペンバトンではソーヴィニヨン・ブランとセミヨン&ソーヴィニヨン・ブランを、
マーガレット・リヴァーではシャルドネとカベルネ・ソーヴィニヨンを、
マウント・バーカーではシラーズをつくっています。


Q.各リージョンの特徴は?
A.有名なマーガレット・リヴァーは、豪州で最も海の影響を受ける地域といわれています。ブドウの成長期の降雨量は少なく、冷涼ですが年間を通して暖かさが保たれる地中海気候で、どのブドウにとっても良い条件を備えています。特に、土壌を含めたテロワールはボルドーのメドック品種に最適です。

我々の畑はマーガレット・リヴァーの中央部にありますが、南西向きのため海からの冷たい風をこの地域の中で最もよく受け、そのおかげで大変良いカベルネができます。

ペンバトンはマーガレット・リヴァーの南東に位置し、このあたりでは最も降雨量が多くなります。非常に冷涼で、4月に収穫を開始する年もあり、また、午後は雲が出やすく、夏場は雷雨がしばしばある地域です。

しかし、この冷涼気候がブルゴーニュ品種の栽培に適し、ブドウにエレガントなフレーバーを与えてくれます。

マウント・バーカーはグレート・サザンの小区画のひとつで、気候はフランスのボルドーに似ているといわれ、土壌はマーガレット・リヴァーと同様です。

ペンバトンと同様、4月に収穫を開始する年もあり、雲、雷雨などの気候も似ています。


Q.他のラインナップは?
A.シングル・ヴィンヤード・ワイン シリーズがあります。マウント・バーカーの単一畑、ウィスパリング・ヒルズのリースリングとシラーズで、素晴らしいと判断した年にしか生産しません。


Q.これらのシリーズは以前から展開していましたか?
A.07年7月に息子のサイモンがCEOに就任したのを機に、以上を我々の新しいポートフォリオとしました。




Q.ワイン栓はスクリューキャップですか?
A.すべてのワインにスクリューキャップを採用しています。ワインの熟成にも保管にも最も良い栓は何かを考えた結果、スクリューキャップに行き着きました。




Q.あなたのワインづくりの哲学は?
A.WAの中でも素晴らしいと思うリージョンの特徴を生かしたブドウから、可能な限りベストなワインをつくることです。

目指しているのは、バランスが取れ、複雑味があり、エレガントなフルーツのフレーバーのする、ヨーロッパ的なスタイルを感じさせるワインです。


<テイスティングしたワイン>



Capel Vale Varietal Unwooded Chardonnay 2008
フレッシュかつフルーティーで、ほどよいコクもあり、樽を全く使っていないので、フルーツそのままの味わいが楽しめます。オークのニュアンスが強いシャルドネが苦手な人には救世主のような、ほっとできる存在のワインです。

Capel Vale Varietal Cabernet Merlot 2005
カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロのブレンドは定番中の定番。きれいな果実味を持ち、濃すぎることなく、ほどよい飲みごたえを楽しめます。

Capel Vale Varietal Pinot Noir 2007
価格がお手頃だけど、ちゃんと品種の個性を味わえるピノ・ノワールを探しているピノ好きにはうってつけ。バランスを重視したスタイルに仕上がっています。




Capel Vale Regional Cabernet Sauvignon 2007
マーガレット・リヴァーのカベルネ・ソーヴィニヨンを、フレンチオーク樽(一部新樽)で10カ月熟成。

タンニンの力強さ、タバコのニュアンス、熟成感、複雑さを感じ、アルコールは15%と高めですが、しなやかで品があります。

Capal Vale Regional Shiraz 2007
マウント・バーカー産のシラーズをフレンチオークとアメリカンオーク樽(一部新樽)で10カ月熟成。こちらもアルコール15%!非常に凝縮し、ハニーやダークチョコのフレーバーも感じます。

「このシラーズは10年以上熟成する可能性がある」とピーターさんは言います。

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インタビューを終えて


ピーターさんがケイペル・ヴェールの創設者と聞き、気難しい人だったらどうしよう・・・と気になったのですが、それは全くの杞憂に終わりました。

ワイナリーのオーナーというよりも学者的なアカデミックな雰囲気を持っていますが、とても気さくで、ハートフルでヒューマンな温かさを持つ人物でした。



彼は心からワインを愛し、自然を愛し、そして人間への愛情にも溢れていると感じました。

彼と話をしているだけで楽しくなり、飲んでいるワインがより一層おいしいと感じられるのは、彼の温かい人柄のせいなのでしょう。

2007年7月に経営を息子のサイモンさんに譲り、第一線からは退いたピーターさん。

しかし、ケイペル・ヴェールは家族経営のワイナリーです。
ピーターさんは今後もケイペル・ヴェールを大いにバックアップしていく気満々のようです。

なんたって、プロモーションのために自ら日本にやってきたくらいなのですから。


(取材協力)東京木下商事株式会社

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第51回 Finca La Emperatriz @「キャッチ The 生産者」

2009-07-26 11:09:22 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2008年10月21日)

第51回  Eduardo Hernaiz  <Finca La Emperatriz>

スペインを代表するワイン生産地 リオハ から、
フィンカ・ラ・エンペラトリスエドゥアルド・エルナイスさんが来日しました。




<Eduardo Hernaiz> (エドゥアルド・エルナイス)
フィンカ・ラ・エンペラトリスの若きオーナー。



歴史あるワイン生産地 リオハ
                      ―Finca La Emperatriz―

スペインワインといえば、昔も今もやはり “リオハ” が真っ先に浮かぶ人が多いと思います。しかし、近年メキメキと頭角を現してきた新しい生産地と比べると、ちょっと古臭くて洗練さに欠けるイメージもあるかもしれません。

そんなリオハをもう一度おさらいしてみると・・・

リオハは 55,000ha とスペインでも大きなワイン生産地で、
リオハ・アルタ、 リオハ・アラベサ、 リオハ・バハ の3つのエリアに分かれています。



エドゥアルドさんの指しているところがリオハ

アルタとアラベサでは、北側のカンタブリア山脈が湿った北風を遮ってくれるので、温暖な大陸性気候になります。
エブロ川下流のバハでは、地中海からの湿った暑い風が川を遡ってくるため、暑く乾燥した準地中海気候になります。

ブドウ品種にも特徴があり、
アルタはテンプラニーリョが多く、バハはガルナッチャがよく育ちます。

今回紹介する『フィンカ・ラ・エンペラトリス』リオハ・アルタ のバニョス・デ・リオハ(“リオハのお風呂場”の意味、500m先にオハ川がある)に位置するワイナリーです。



Q.ワイナリー名『ラ・エンペラトリス』の由来は?
A.ナポレオン3世(1808~1873)の皇后で、フランス王妃モンティジョ・デ・マリアユージニアが所有していた「ラ・エンペラトリス」という畑名から来ています。彼女は当時かなりの権力を持っていた女性の1人です。彼女はスペイン貴族の娘でした。

畑の広さは101haあり、リオハでは1ha単位の小さい畑が多い中、これほど大きなまとまった畑は珍しく、リオハ・アルタの単一畑では最大です。権力者が持っていたために、まとまった畑として残りました。我々はここを1996年に取得しました。




Q.「ラ・エンペラトリス」の畑の特徴は?
A.標高570mに位置し、小石や握りこぶし大の石がゴロゴロしている畑です。リオハでも非常に貧しい土壌のひとつで、他の穀物や作物には貧しすぎるため、昔からブドウが栽培されてきました。
そのためブドウは熟しにくいのですが、よく熟すと素晴らしいワインになります。
また、石が多いので水はけがよく、石が日中に蓄えた熱を夜間に放出して温度調整を行うという良い面もあります。


Q.全社でどのくらいの畑を所有していますか?
A.自社畑は150haです。しかし、畑の広さ、ブドウの樹齢の高さ、ブドウの品質はラ・エンペラトリスが突出して優れています。
ラ・エンペラトリスの3/4が株仕立てで樹齢は約45年です。


Q.フィンカ・ラ・エンペラトリスの特徴は?
A.リオハの近代化は1870年代頃から行われてきました。フィロキセラ禍でボルドーから逃げてきた人がリオハにやってきたため、アロの街に大きなワインメーカーが次々と誕生していきましたが、大規模ワイナリーは農家からブドウを買ってワインづくりをしていました。当時は小さなワイナリーはなく、また、アルタもバハもアラベサの区別もなく、全部いっしょくたにしてワインをつくっていたのです。

しかし、我々は違います。リオハ・アルタで最も大きな1区画の畑を持っていますので、100%自社畑のブドウでつくろう、という考えの下、ワインづくりを行っています


Q.ファーストヴィンテージは?
A.我々ファミリーがラ・エンペラトリスの畑を1996年に取得後、畑に手を入れながら2000年にワイナリーを設立しました。
よって、我々の最初のワインのヴィンテージはです。

畑からワイナリーまでブドウを運ぶのに便利なように、ワイナリーはラ・エンペラトリスの畑の真ん中に建てました。最新設備を導入し、発酵から熟成までの過程をすべてコントロールしています。


Q.リオハではアメリカンオーク樽が伝統的ということですが?
A.発酵はステンレスタンクで行いますが、熟成はオーク樽を用います。寿命が長く複雑性のあるワインをめざしているので、樽は欠かせません。
当社では、フレンチとアメリカンの両方の樽を使い分けています。
オークの種類を探っている段階で、毎年、新しい種類の樽を試し、ローストの加減、熟成期間も変え、試行錯誤しています。


Q.あなたの哲学は?
A.ブドウの果実の持つクオリティを最大限に引き出し、リオハの伝統を尊重しながら、素晴らしいラ・エンペラトリスの畑の個性を表現することです。

味わいとしては、やわらかでまろやかな、カドのないタンニンを求め、口の中で長く味わいの残るワインをめざしています。


<テイスティングしたワイン>


Finca La Emperatriz Viura 2006 (白)

きゅっと引き締まった果実味と、ちょっとビターな余韻が残る、心地良い白ワインです。

「アロマを保つイキイキとしたワインを目指しています。ビウラはシャルドネよりも香りが弱めですが、ボディがあり、粘性のあるワインに仕上げることができます。また、これは樹齢50年のビウラ100%でつくっているので、樹齢の高さから来るコクもあると思います」 (エドゥアルドさん)



Finca La Emperatriz Rosato 2007 (ロゼ)

ロゼにしては濃い色!淡めのルビー色が実に美しいロゼで、香りも豊かです。

よい赤ワインをつくることを目的とし、赤ワインとして醸造している途中で10%抜き取った果汁からつくったロゼです。ブドウを24時間ステンレスタンクに入れて色素を抽出しています。07年はテンプラニーリョ80%、ガルナッチャ20%ですが、比率は年によって変えます。
イチゴ、バナナなどのフレッシュな香りが楽しめるワインで、フルーツの香りを大事にしながらつくりました。このロゼは、ワインを飲み始めた人に飲んで欲しいですね。また、カジュアルシチュエーションにもピッタリです」(エドゥアルドさん)



Finca La Emperatriz Tempranillo 2005 (赤)

非常にモダンできれいな香りが華やかで、赤なのにスッキリ飲めるタイプです。

テンプラニーリョ100%で、樹齢10年ほどの若木からつくっています。フルーツ香を生かすためにやや早めに収穫し、ステンレスタンクで発酵させます。
全く樽に入れていないので、飲みやすい味わいの赤ワインに仕上がっていると思いますし、若飲みワインとして、3年くらいで飲み切っていただけるといいと思います。飲む時の温度は、やや低めがオススメです」(エドゥアルドさん)



Finca La Emperatriz Crianza 2003 (赤)

香りがとてもよく、口にすると旨味もあり、非常にバランスが取れているワインです。

クリアンサは熟成期間が最24カ月必要で、うち6カ月の樽熟成が必要ですが、エンペラトリスのクリアンサは、14カ月の樽熟成後、12カ月瓶熟成を行っています(合計36カ月)。

「これ以降が我々のメイン商品で、最も売っているものです。クリアンサはテンプラニーリョ95%とガルナッチャ5%で、70%は若木のブドウを、30%は樹齢50年の古木のブドウを使っています。20の違った畑から収穫したブドウをそれぞれ発酵させ、樽にも別々に入れて熟成させます。樽は使用済みアメリカンオークです。
フルーツ香が残っていますが、複雑味があり、バニラの香りが奥底からしてきますので、ある程度ワインを飲みつけている人に飲んでほしいワインです」 (エドゥアルドさん)

Finca La Emperatriz Reserva 2001 (赤)
クリアンサよりもさらに素晴らしい香りで、旨味も凝縮され、とてもきれいな味わいのワイン。よい年のみリリース。

レセルバは最低36カ月の熟成、うち12カ月は樽での熟成が必要ですが、このレセルバは、樽熟24カ月後、22カ月の瓶熟成を行っています(合計46カ月)。

「テンプラニーリョ90%、ガルナッチャ5%、グラシアーノ2.5%、ビウラ2.5%で、テンプラニーリョは50年樹齢のものを100%使っています。生産量を抑え、コンセントレートされたワインづくりを目指しています。

熟した感じのワインをつくるため、マセレーションは3週間かけて行います。発酵はステンレスタンクで行い、熟成樽は50%が新樽で、50%が使用済み樽です。80%がアメリカンオーク樽、20%がフレンチオーク樽ですが、アメリカンを多めにして、ややクラシカルなスタイルにしています。
複雑味があり、スパイス、ミネラルを感じさせるワインです。これは大きなグラスで、また、料理と合わせて飲んでほしいですね」 (エドゥアルドさん)



Finca La Emperatriz Terruno 2005 (赤)

色合いが濃厚ですが若々しく、口にすると、フレッシュな果実味を感じます。

「若い樹をどうやってよいワインにしていくか?を考えてつくった、実験的ワインです。垣根方式で、陽をできるだけ浴びさせようと、実験的区画で栽培しています。テンプラニーリョ100%です。最も現代的なリオハを目指し、色々試し、いいものだけをテルーニョにしています。ステンレスタンクで発酵後、11月に樽に入れますが、すべてフレンチオークで、9~14カ月樽熟成させます。熟した果物の香りが特徴で、口の中でパワフルさを感します」(エドゥアルドさん)


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インタビューを終えて


フィンカ・ラ・エンペラトリス はまだ若いワイナリーですが、リオハの伝統をそこかしこに残しながらも、現代で洗練されたワインづくりを行っています。




エドゥアルドさんは、一見すると、“タレ目がやさしそうなお兄さん”ですが、話し始めるとすぐにキリッとしたオーナーの顔になりました。

非常に熱心で、ワインづくりに熱い情熱を注いでいるのが伝わってきます。

樹齢の高い、非常にまとまった“ラ・エンペラトリス”の区画を持ちながらも、それに甘えることなく、若い樹の可能性を引き出そうと努力している姿に好感を持ちました。
今後も見守っていきたいワイナリーです。



そうそう、エドゥアルドさんから、

「2001年はリオハのエクセレントイヤーでした。2004、2005年も良い年でしたよ」

という情報をいただきました。

今回試飲した中で、レセルバが2001年、テンプラニーリョとテルーニョが2005年。
なるほど、飲んで納得です。


(取材協力)ミリオン商事株式会社

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第50回 Vinhos Borges @「キャッチ The 生産者」

2009-07-25 10:45:58 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2008年9月21日)

第50回  Ricardo Campos  <Vinhos Borges>

ワイン生産量 “世界10位” のポルトガルで、1884年からワインづくりの歴史があるヴィニョス・ボルゲス社から、輸出セールスマネージャーのリカルド・カンポスさんが新製品とともに来日しました 。



<Ricardo Campos> (リカルド・カンポス)
1973年、ポルト市生まれ。
世界各地でのビジネス経験の後、2006年にJMVグループ(ボルゲス社の親会社)に入社。
コーヒービジネスの海外営業担当を経て、2007年から同社のワイン輸出市場担当に着任。



日々進化し続けているポルトガルワイン
                             ―Vinhos Borges ―

ヴィニョス・ボルゲス社は、1884年にポルトに創立されたワインメーカーで、トラズ・オス・モンテス地方(ポルトガル北東部)のポルトとドウロをはじめ、ミーニョ地方(トラズ・オス・モンテスの西側)のヴィーニョ・ヴェルデ、ベイラス地方(トラズ・オス・モンテスとミーニョの南側)のダンに広大な自社ブドウ園を所有しています。

ポルトガルというと、やはり酒精強化ワインの“ポートワイン”が真っ先に思い浮かびますが、実はポルトガルでつくられるワインの約85%が通常のスティルワインです。
それだけポートワインの印象が強いということですが、実際にポルトガルの人が日常的に楽しんでいるのはスティルワインの方です。

今回は、ポルトガルではもちろん、日本でも大人気の“ヴィーニョ・ヴェルデ”(ポルトガル語で“緑のワイン”の意味)と、初めて日本に登場するという新商品を中心にリカルドさんに紹介していただきました。





Q.ボルゲス社というと、猫ラベルの「ガタオ」が印象的ですが?
A.“Gatao”はポルトガル語で“猫”のことで、当社では、ヴィーニョ・ヴェルデとロゼワインに“ガタオ”のブランド名を付けています。

緑のワイン“ヴィーニョ・ヴェルデ”は、その名の通り、若々しさが特徴のワインで、フレッシュな酸を持つ早飲みタイプです。また、わずかに炭酸が残るので(弱発泡)、より軽やかに飲んでいただけると思います。

我々のヴィーニョ・ヴェルデのブランドが“ガタオ”は、そのフレッシュな色合いから、 “レモンジュース” 、ロゼを“ストロベリージュース”と呼んでいるんですよ(笑)



Q.以前、ガタオはフラスコ型のボトル(上記の写真参照)に入っていたと思うのですが?
A.はい、以前はFlagon(フラゴン=フラスコ)ボトルを使っていましたが、徐々にモダンなボルドー型のボトルに切り替えています。



また、栓もコルクから順次スクリューキャップに切り替え、よりフレッシュなガタオをご提供していきたいと思います。


スクリューキャップは確かに便利♪


Q.ガタオは微発泡ワインですので、いったん開けた後のスクリューキャップというのはかなり便利ですね。他にもリニューアルした箇所はありますか?
A.ボトルの裏に貼るバックラベルですが、今までは白い紙でしたが、こちらを見ていただくとわかるように(下記の写真)、透明なシールに変更しました。
これにより、ボトルの向こう側まで見え、ワインもより透明感のある印象が強くなったと思います。また、バックラベルに記載する情報が、より消費者にわかりやすく便利な内容になっています。




Q.他にもリニューアル商品があるということですが?
A.当社の大人気スパークリングワイン“フィタ・アズール”のラベルデザインを変更しました。

フィタ・アズールは、シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵でつくる辛口(セッコ)のスパークリングワインです。樹齢20年以上のゴウベイオ(ドウロのブドウ品種)、マルヴァジア、コデガ、ラビガドを使っています。



フィタ・アズールはポルトガル語で”青いリボン”という意味で、以前のラベル(右)にはその名の通りの青いリボンを使っていましたが、リニューアルしたラベル(左)は、より新しい洗練された雰囲気を出すようにしました。


Q.今回は、新商品も紹介いただけるということですが?
A. “LELLO”(レロ)というワインで、赤白2アイテムあります。

原産地管理呼称は“DOCドウロ”で、ポートで有名なドウロのブドウを使ったスティルワインになります。同じドウロ地域でも、酒精強化の手法でつくったワインは“DOCポルト”になります。




Q.レロはどういうコンセプトでつくられたものですか?
A.気軽に飲んでいただける味わいのワイン(イージードリンキングワイン)としてつくりました。価格も非常に魅力的(輸入元希望小売価格で1,250円)だと思うのですが、いかがでしょうか?

とはいえ、栽培は減農薬で行い、収穫はすべて手摘みで、非常に手をかけて丁寧につくっているのが自慢です。

赤も白も、2008年インターナショナルワインチャレンジ(ロンドン)で賞を取っているので、品質については折り紙付きです。



<テイスティングしたワイン>



Gatao Vinhos Verde NV
アザール、ペデルナン、トラジャドゥラ、アヴェッソと、舌を噛みそうな名前のポルトガルのブドウを使った弱発泡性の白ワインで、フルーティで、スッキリと爽やかな飲み心地が特徴です。ラベルの猫もキュートで、ハーフサイズボトルはちょっとしたプレゼントにも使えそうですね。

Gatao Rose NV
樹齢30~40年というトゥーリガ・フランカと、モウリスコ種からつくられたロゼワイン。リカルドさんが“ストロベリージュース”と呼ぶほど鮮やかなロゼカラーとフレッシュな味わいが魅力です。これも弱発泡性なので、華やかな雰囲気も楽しめます。




Fita Azul Reserva Seco NV
産地はトラズ・オス・モンテスで、樹齢20年以上のゴウベイオ、マルヴァジア、コデガ、ラビガトからつくられています。セッコ(辛口)ですが果実味がしっかりとし、ほどよいボディとキリリ感が楽しめる、瓶内二次発酵でつくったスパークリングワインです。

新しくなったラベルは高級感が漂い、とてもオシャレでステキで、これは女性受けしそうでしょうか。




Lello Douro White 2007
ブドウはマルヴァジア・フィナ、ゴウベイオ、ヴィオジーニョ、コデガというドウロの品種で、樹齢は平均20年とのこと。

樽は使っていないので、非常にクリーンな味わいで、果実のほどよい厚み、余韻のほろ苦さなどもあり、素晴らしいコストパフォーマンスのワインだと思いました。
シュル・リーの状態で4カ月熟成させているので、複雑味も感じます。

ラベルも若々しくスタイリッシュで、ショップで見ても目立ちそうですね。

Lello Douro Red 2006
ポートワインで使われるブドウ、トゥーリガ・ナシオナル、トゥーリガ・フランカ、ティンタ・ロリス、ティンタ・バロッカを使った赤のスティルワインです。熟成にはステンレスタンクとフレンチオーク樽の両方を用いるため、口当たりがふっくらとし、適度なコクがあり、モダンなスタイルに仕上がっています。

重たさはないので、食事とのマリアージュを特に意識せず、気軽に開けたい赤ワインです。


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インタビューを終えて

ポートワインのイメージから、クラシカルなものが多いと思われがちなポルトガルワインですが、このボルゲス社に関しては、かなり国際市場を意識した戦略を展開していることを感じました。



まず、輸出担当が若いイケメンのリカルドさんという点からも、歴史は長い老舗ワイナリーだけれど、古臭い体質ではなさそうだなというのが窺えます。

体質改善は、1998年にJMVグループの傘下に入ってから始まっているのかもしれませんが、リカルドさんがワイン事業の輸出担当となった2007年以来、特に顕著に現れているようです。

「ガタオ」のスクリューキャップや透明タイプのバックラベルの導入、「フィタ・アズール」のラベルのリニューアル、お値打ち新製品「レロ」の登場など、彼らには、市場が求めるニーズにどんどん対応していこうという意欲と柔軟性があり、それがいい結果を生み出しています。




実際、「ガタオ」は世界40カ国に輸出するボルゲスの主力商品ですが、日本市場ではこのところ非常に人気があり、商品が間に合わなくて困るほど売れている!という話を聞きました。

現在の日本では発泡性ワインの人気が非常に高いということも「ガタオ」の売上アップの要因のひとつかと思いますが、価格以上の品質のものを提供してきた結果でしょう。

新製品「レロ」も期待が持てそうですし、リカルドさんの活躍とボルゲス社の動きは、今後も要チェックですね。


(取材協力)東京木下商事株式会社

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第49回 Domaine Louis Moreau @「キャッチ The 生産者」

2009-07-24 10:17:58 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2008年8月21日)

第49回  Louis Moreau  <Domaine Louis Moreau>

今回は、久しぶりのフランス、しかも、 意外にもここで紹介するのは初めての生産地“シャブリ”から、 ちょっとお茶目な(?)ルイ・モロー氏の 登場です。



<Louis Moreau> (ルイ・モロー)
1965年生まれ。モロー家の6代目当主。
カリフォルニア大学フレズノ校で醸造・栽培学を修了。
カリフォルニアとフランスで修行の後、1994年にドメーヌの代表となる。
1995年にドメーヌ・ルイ・モローを設立。


シャブリで赤丸急上昇中のドメーヌ

                  ―Domaine Louis Moreau―

パリの南東約200kmに位置するシャブリのブドウ畑は、南北20km、東西15kmの丘陵地帯に広がっています。

シャブリのAOCは4つあり、シャルドネから、酸と骨格のしっかりとした白ワインがつくられています。

 ・Petit Chabis
 ・Chabis
 ・Chabis 1er Cru
 ・Chabis Grand Cru

私たち日本人にとっても、 “フランスの白ワイン”といわれたら、まずシャブリを思い浮かべる人も多いほどポピュラーな存在ですが、ルイさんは、この伝統的
なシャブリの土地でどのようなワインづくりをしているのでしょうか。





Q.モロー家は古い歴史の家系ということですが?
A.1814年、樽職人をしていた祖先(ジョセフ・モロー)がシャブリに移り住んだのがモロー家のはじまりです。
ジョセフはシャブリのブドウ栽培家の娘と結婚し、生まれた息子アレキサンドルもブドウ栽培農家の娘と結婚したため、モロー家は婚姻によってブドウ畑を増やしていきました。



Q.あなたがドメーヌ・ルイ・モローを設立したのは1995年ですが、それ以前のブドウづくり、ワインづくりはどうなっていたのでしょうか?
A.1966年に父ジャン・ジャックが当主となり、1970年に65haの畑で『ドメーヌ・ド・ヴィエヴィル』(Domaine de Bieville)を設立しました。

さらに父は、1975年にネゴシアンの『J.Moreau et Fils』を設立

しかし、1986年には当時のビジネスパートナーに売却しました。

ただし、ブドウ畑は手元に残し、ドメーヌ・ド・ヴィエヴィルの畑のブドウをJ.モローに供給するという契約を結びました。

その契約の一部が1994年に終了したため、新たに畑を購入し、私と妻で『ドメーヌ・デュ・セードル・ドレ』(Domaine du Cedre Dore)を立ち上げました。

Q.となると、現在モロー家は3つのドメーヌを経営しているということですが、その中で、『ドメーヌ・ルイ・モロー』はどういう存在ですか?
A.シャブリの中心を流れるスラン川の両岸に自社畑を持つことができ、ワインのレンジが広がりました。
シャブリの4つのAOCのうち、シャブリ、プティ・シャブリ、シャブリ1級をつくれるようになったのです。

さらに2002年には、ブドウの供給契約をしていた畑の契約満了により、4つのグラン・クリュと1級畑のヴァイヨンが復帰しました。これらの畑は父と折半してそれぞれで管理しています。

ということで、現在のドメーヌ・ルイ・モローの自社畑は50haで、シャブリの4つのAOCすべてを生産し、ドメーヌでありながら、ある程度のワイン量をつくることができる、というのが特徴です。
しかも、すべての流れを監視できるのは、ドメーヌだからこそです。


Q.シャブリの1級は広い範囲に広がっていますが、どういった特徴があるのでしょうか?
A.まず、スラン川の左岸か右岸かで違ってきます

例えば、左岸のヴァイヨンは南西向きの畑で、果実味が多く、ふくよかな特徴のワインになります。芳香性が高く、熟成するとアカシアの香りが出てきます。

同じ左岸でも、ヴォリニョーは南東向きの畑なので、日照がやや少なくなり、香りに華やかさが欠けるかもしれません。涼しいのでタイトな味わいになります。

グラン・クリュを擁する右岸は南西向きの斜面になり、日照の恩恵を受けたワインができます。




Q.グラン・クリュにはどういう特徴があるのでしょうか?
A.シャブリ全体では4000haの畑がありますが、グラン・クリュは100haと非常にわずかです。
グラン・クリュ畑7つはすべてスラン川の右岸にあります。

グラン・クリュは、最も西のブーグロから川に沿って南東方向に広がりますが、土壌は北に行くほど粘土が多くなり、南に行くほど石灰質が多くなります
粘土が多いとワインはまろやかでやわらかいバランスのものになり、石灰質が多いとミネラル感が強いものになります。

7つの特徴を簡単にいうなら、ブーグロとレ・プルーズは骨格が比較的しっかりし、ヴォーデジールは花の香りが特徴で、ヴァルミュールはリッチなものになり、レ・クロやブランショはミネラルに富むものになります。


Q.グラン・クリュの中にモノポール(単独所有)の畑があるということですが?
A.モロー家は、レ・クロの最南端に“クロ・デ・ゾスピス”という0.8180haの小さな区画を所有しています。

1904年に3代目のジャン・ジョセフがオスピス・ド・シャブリから購入したもので、以来、モロー家の単独所有ですが、現在は親戚と折半しているので、ドメーヌ・ルイ・モローとしての所有は0.41haです。

南南西向きの畑で、土壌はキンメリジャンの石灰岩と石灰質粘土になります。



Q.あなたのワインづくりのこだわりは?
A.典型的な、シャブリらしいシャブリをつくろうと思っています。
テロワールを重視し、あまりいじらない、伝統的なワインづくりを心がけています。

つまり、よいブドウを収穫して、よいワインにするということで、果実味と酸味のバランスの取れたワインを目指しています。


Q.カリフォルニアでの経験が長いですが?
A.フランスと違う面を勉強できたので、それが今とても役に立っています。




<テイスティングしたワイン>



Chablis 1er Cru Vaulignot 2006
きれいでドライなワインで、タイトな印象を受けました。

「ヴォリニョーはスラン川の左岸、ベーヌ村に位置し、石灰質が多い土壌のため、ワインにミネラル感が強く出ます。南東向きの10haの畑で、涼しいため色調が淡く、タイトな味わいですが、熟成すると森の下草やキノコの香りが出てきます」(ルイさん)


Chablis 1er Cru Les Fournaux 2006
同じ1級ですが、位置的な要因が大きいのか、ヴォリニョーよりも果実味を感じます。

「フルノーはヴォリニョーから東に5km離れ、スラン川の右岸にあります。土壌はキンメリジャンを含む石灰岩と石灰質粘土で、畑は南西を向いています。グラがあり、果実味に飛んだ味わいで、ミネラル感と同時にきれいな酸も楽しめるワインです」(ルイさん)




Chablis Grand Cru Vaudesir 2004
桃のような甘い香りがあり、味わいに樽からのまろやかさと完熟フルーツを感じます。

「樹齢35年で、年間生産量2000本です。香りはフローラルで、味わいも果実味に富み、黄色い果肉のフルーツっぽさを感じるワインになっています」(ルイさん)


Chablis Grand Cru Blanchot 2004
よく熟し、まろやかで、酸が穏やかな印象を受けました。

「畑は0.1haと小さく、年間生産量は600本のみです。火打石のような香りが特徴で、石灰質が強いため味わいの余韻が長くなります。樹齢が20年とまだ若く、本領を発揮するにはもう少し時間がかかると思います。
樹は60年で植え替えています」(ルイさん)


Chablis Grand Cru Clos des Hospice dan Les Clos 2004 [モノポール]
酸がまろやかで全体のバランスが良く、だんだんと骨格やしっかりした輪郭の感じが出てきます。

「レ・クロの中にある区画ですから、ミネラル感も果実味もあり、芳香性が高い、というレ・クロの特徴を持っています。樹齢40年で、年間生産量2400本です」(ルイさん)


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インタビューを終えて

1995年に3つのドメーヌのブドウを全て醸造できるセラーを手に入れ、醸造設備とセラーを一新。

2004年から減農薬栽培(リュットレゾネ)に取り組み、現在はビオロジックに転換中。

ドメーヌ・ルイ・モローはシャブリの全レンジをリリースしていますが、ルイさんは栽培方法や醸造における品質向上に余念がなく、特に、畑からボトル詰めまでしっかりと管理したいからと、ドメーヌ元詰めにこだわったワインづくりを行っています。

特に期待できるのは、
2002年に戻ってきたグラン・クリュ畑と1級畑のヴァイヨン(計20ha)です。

ルイ・モローでは、すべてのワインの発酵をステンレスタンクで行い、熟成もステンレスタンクですが、このグラン・クリュと1級ヴァイヨン(一部)だけは木樽で熟成を行い、それぞれが持つポテンシャルを充分に引き出そうとしています。

ヴァイヨンの樹齢は60年で、ルイさんがいう植え替えの時期に来ていますが、今後このヴァイヨンの樹がどうなるのか見ものですし(個人的には残してほしい!)、4つのグラン・クリュがどのような素晴らしいワインに成長していくのか、大きく期待したいところです。



家族の絆と伝統を大事にしながらも、新しいことにバリバリとチャレンジしているルイさんは、外見はちょっと優男風ですが(笑)、鋼のように芯のしっかりした人物だと感じました。 


(取材協力)豊通食料株式会社


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第48回 Tenuta di Petrolo @「キャッチ The 生産者」

2009-07-23 10:46:43 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2008年7月21日)

第48回  Luca Sanjust  <Tenuta di Petrolo>

今回は、アモーレの国イタリアから、
『テヌータ・ディ・ペトローロ』 の超ナイスなイケメンオーナー、
ルカ・サンジュストさんの登場です。



<Dr. Luca Sanjust> (ルカ・サンジュスト)
1959年生まれ。ローマ大学博士課程修了(ルネッサンス期のイタリア美術史を専攻)。
卒業後は画家として活躍。
1993年にペトローロに参加。現在は3代目当主。


トスカーナのペトリュス?!

イタリアのトスカーナといえば、キアンティやブルネッロ・ディ・モンタルチーノ、そして、“スーパータスカン”と呼ばれる素晴らしいワインがひしめく銘醸地。
各生産者がそれぞれの個性を生かしたワインづくりを行い、世界的に高い評価を得ています。

そんな中、 “トスカーナのペトリュス” (シャトー・ペトリュスはボルドーのポムロルで非常に評価&価格の高いワイン)と呼ばれているワインがあるという話を耳にしました。
それが、テヌータ・ディ・ペトローロがつくる 『ガラトローナ』 (Galatrona) とのこと。
ガラトローナとは、いったいどんなワインなのでしょうか?

*ガラトローナは標高450mに建つ古い塔の名前で、中世の建物がそのまま残っています。

このガラトローナタワーの下から山の中腹、さらにふもとにかけて、ペトローロのブドウ畑が広がっています。



Q.画家だったあなたが、なぜワイナリーのオーナーに?
A.元々ペトローロは祖父が1947年に購入したワイナリーなのです。

それを私の母が引き継いだのですが、息子の私に戻ってきて欲しいと言われたので、母の願いを受け入れてワイナリーを継ぐことにしました。

でも、どうせ継ぐなら自分がつくりたいワインをつくりたいと思ったのです。コストなんて無視しても、です(笑)。

ペトローロでは、以前はキアンティ・コッリ・アレティーニというDOCGワインをつくっていました。しかし、キアンティは市場の求める価格のもの、つまり安いワインにしかならないのでやめました。

今は2つのIGTワイン(サンジョヴェーゼ100%の『トリオーネ』とメルロ100%の『ガラトローナ』)とヴィンサント(甘口ワイン)だけをつくっています。



Q.メルロ100%の『ガラトローナ』をつくるきっかけは?
A.母と私の時代になった時、土地に可能性があるので投資をすべきだとアドバイスを受け、良いワインをつくるには全部植え替えが必要だとも言われました。しかし、その当時は、そんなことはできませんでした。

そこでまず、サンジョヴェーゼ100%で『トリオーネ』をつくりました(1988年が初ヴィンテージ)。その後、1990年にメルロを1区画だけ植えたところ、非常に良いブドウが得られたので、『ガラトローナ』をつくってみました。典型的なキアンティのガラストロ土壌の下に粘土層があり、メルロに最適な土壌だったからです。

偉大なメルロのつくり方は、親交のあったティエポン・ファミリー(ボルドーのポムロルで、シャトー・レグリーズ・クリネ等を所有)から学びました。

現在はカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、プティ・ヴェルドを試験的に植えています。ボルドーで、メイン品種にほんの少しだけスパイス的に別の品種を加えてワインをつくることを学んだので、ガラトローナに加えるのも面白いかなと思っています。


Q.ペトローロの畑はどういうところにありますか?
A.ここは地理的にはトスカーナの中心で、キアンティの南西に位置し、オリーブやブドウ栽培で何千年もの歴史がある土地です。植物は地中海風のものが多く見られます。海からの風が流れてくるので、同じトスカーナでもブルネッロ・ディ・モンタルチーノに近い気候で、トスカーナの海岸の暖かい気候条件に恵まれています。

土地は、祖父の時代には31haでしたが、今は全敷地面積が300haになりました。
ブドウ畑が31ha、オリーブ畑が20haで、その他にも農作物を育てています。
周りは森に囲まれ、ワイルドでナチュラルな、祖父の時代からのそのままの環境を残しています。



高品質で有名なルカさんのオリーブオイル


Q.あなたのワインづくりの哲学は?
A.ワインは畑でつくられるもので、偉大なワインをつくるための90%は畑で決まります。年間を通して観察し、すべてをコントロールすることで最後が違ってきますので、我々はほぼ100%のコンディションになるように持っていくように努めています。

ブドウがワインになるには自然のコンディションが重要です。しかし、人間が扱うと壊してしまうものもありますので、失うものを最小限に抑えながら完璧なブドウをつくり、それを100%ワインに反映させられるよう、慎重なワインづくりを行っています。


Q.畑およびセラーで、具体的にどんな作業をしていますか?
A.祖父の時代には、植樹数は1haあたり1500本程度でしたが、今は5000本に密植しています。また、1haあたりの収量も1/6~1/7に減らしました。以前は1本の樹から10kgのブドウを収穫していましたが、今はメルロで500g、サンジョヴェーゼで700~800gです。

また、ブドウの樹のバランスを取るため、年2回のグリーンハーベストを行っています。畑は1ha、2haと小さく点在し、熟すタイミングが異なるため、収穫は小区画ごとに行います。

100%ナチュラルなものをつくりたいと思うので、自然酵母で発酵させます。こうすると発酵は自然にスムーズに進みます。大きなセメントコンクリート(ポムロルで伝統的に使用される)で発酵させ、完了後に樽(サンジョヴェーゼとメルロは別)に移します。

樽の中ではオリの上に6~8カ月置き、ブルゴーニュと同様のバトナージュ(オリとワインを攪拌すること)を行います。こうすることで抽出が進み、バランスが取れてきます。

樽を使うと、ごく少量の酸素が入るミクロオキシデーション効果が得られます。
樽は香りを付けるものとして使うのではなく、ワインをよく成長させ、うまく酸化熟成させるために使っています。


Q.“偉大な”(メルロ)というのは?
A.技術的には、どこでも良いワインがどんどんつくれるようになってきています。しかし、良いワインと偉大なワインの間には大きな違いがあります。

偉大なワインをつくるには、土壌、気候はもちろん、どれだけ畑でしっかり仕事をし、素晴らしいコンディションに持っていくかが重要です。それに加え、たくさんの”(“神のキス”とルカさんは表現)も必要で、ここまででワインの出来の90%が決まります。

残り10%が人間の仕事ですが、畑でもセラーの中でも、人間は自然をヘルプするのみです。ワインづくりというのは、自然を文化に変えるものですが、私の役目は、自然の美しさや懐の深さをワインに映し出す手助けをし、見守るだけです。


Q.この地のメルロの可能性はいかがでしょうか?
A.サンジョヴェーゼの偉大なワインの生産地はブルネッロ・ディ・モンタルチーノなどに限られますが、メルロは比較的どこでも育てられます。しかし、偉大なメルロのワインをつくることは容易ではなく、熟したタンニンがあり、エレガントで、バランス良く、良い酸味、最適なpH値etc....が求められます。メルロは過熟厳禁なブドウで、アグレッシブ過ぎたり、ヘビー過ぎたり、ポッテリとふくよか過ぎたりするのもいけません。

ワインはグラス2杯で充分というものではなく、食事をするのに良いものでないといけません。キリッとした酸、なめらかなタンニン、長い余韻が感じられ、果実味があり、1本開けたら飲み切れるものをつくりたい、と思っています。

ガラトローナは、トスカーナのワインというよりメルロのワインとして認識されています。粘土質土壌や気候条件などが揃い、色々な幸運に恵まれ、初ヴィンテージの1994年からカルトワインとして担がれました。現在の生産は年間15000本ですが、将来的には2万本に増やしたいと思っています。




Q.サンジョヴェーゼについてはどう考えていますか?
A.他と違い、非常に気難しいブドウです。うまくつくらないと薄っぺらくなってしまいますが、良さを最大限に引き出すと、我々に喜びを与えてくれるワインになります。果実味、酸、長いフィニッシュ、バランスの良さが特徴です。

ペトローロのサンジョヴェーゼの畑は斜面にあります。土壌には石がたくさんあるため水はけが良く、サンジョヴェーゼにとって理想的です。畑は標高200~450mの間に広がるので、さまざまな個性を持ったブドウができ、ワインにより複雑性を与えます。

このサンジョヴェーゼでつくった『トリオーネ』こそ我々の魂だと思っています。



ハチミツもつくっています


<テイスティングしたワイン>

Torrione  (サンジョヴェーゼ100%)


2004
04年のトスカーナはファンタスティックなヴィンテージで、ブドウがよく育ってよく表現され、喜びを与えるものになっています。フルーツと酸のバランスが良く、余韻も長く、あたたかみのある味わいです。熟した丸み、丸いタンニンを感じるかと思います。

2003
酷暑の年です。葉を残して日光をブドウに当てないようにするなど、暑さからブドウを守るのに苦労しました。味わいに熟した感じがあり、飲み頃を迎えています。トリオーネはピュアなフルーツを表現したいと思うワインですので、他の何の風味も加えません。

2002
雨が多く、夏が寒い冷涼な年でした。そこで厳しい収量制限を行い、7~8月は何度も畑を回って手間をかけました。その結果、通常の50%以下の収穫量になってしまい、母と妹に責められましたが、パーカーからこの良くない年の中で最高という評価をもらいました。

2001
非常にファンタスティックな年です。まだ若々しいですが、すでにサンジョヴェーゼの熟成感が出ています。しかし、あと5~10年は楽しめます。
今の人は早飲みの傾向が強く、飲み頃を迎えないまま終わってしまうので残念です。


Galatrona (メルロ100%)


2004
02年は雨、03年は猛暑と、難しい年が続きましたが、04年は色々な幸運に恵まれた年になりました。各ガイド誌で高い評価をいただけて光栄です。

2002
飲み頃を迎えつつあります。きれいで、今までのガラトローナで初めてのスタイルです。家に友人を招いた時にこの02年を楽しんでいます。


Vinsanto


1998
糖度が高いとワインが変質しない、ということは古い時代からわかっていました。かつてのワインもヴィンサントのような糖度の高いスタイルだったのではないでしょうか?

10~2月にブドウを部屋に入れて乾燥させますので、プレスしても少量の果汁(15%)しか得られません(通常のワインの場合は65%)。プレス後は樽の中で発酵させ、コルクをしてセメントで固め、8年間放置します。

10樽つくっても4樽は普通の出来にしかならず、すごく良い出来の6樽だけを瓶詰めします。よって、ハーフボトルで年間300~500本程度しか生産できません。ヴィンサントは最近注目されていますが、工業的につくられたものもあり、名声を汚しています。これは非常に残念なことです。

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インタビューを終えて

「良い年は何もしなくても良いワインができますので、悪い年といわれる年ほど偉大なワインをつくる腕の見せ所です。大規模生産者は毎年そこそこのワインをつくっていますが、小さな生産者は、注いだ努力の成果がてきめんにワインに現れてしまいます。

私は偉大なメルロのワインをつくりたいと思っています。しかし、皆の手の届くプライスで最高品質ワインをつくりたいのです。サンジョヴェーゼのワインは、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノの半分のプライスで提供していきたいと思っています。

私は銀行や投資家ではありませんし、金儲けをしようとは思っていません。人に喜びを提供したいだけです。10分でも1時間でも、私のワインで楽しんでもらいたいと思います。

もちろん、自分自身でもワインを楽しみます。しかし、私は食事をしない時はワインを飲みません。祖父はよく、ワインは食事と一緒にあるもので、食事と切り離すものではないと言っていました。本当に、良いワインは食事をよりおいしくしてくれると思っています」と、ルカさん。

自分の信じる最高のものをつくること、―それは決して自己満足ではなく、人が喜んでくれる(味わい、品質、価格etc…)から必要かつ重要なこと、とルカさんは考えます。



肝心のワインの味わいですが、サンジョヴェーゼの『トリオーネ』に関しては、年ごとに個性がありますが、私の好みは2001年。なめらかで、エキス分が凝縮したような味わいが素晴らしく、年月を重ねたワインの魅力が楽しめました。

メルロの『ガラトローナ』ですが、04年はさすがに良い年といわれるだけの内容になっていて、甘さ、なめらかさ、深み、旨味、複雑味があります。02年は難しい年なのに、果実の甘味、よく熟した感じがきれいに出ています。

なお、ペトローでは栽培は完全にオーガニック。しかし、認証を取るつもりはないようで、

「自分が良いと思ってやっているのだから、認証なんて取っても取らなくても良いと思って」と、ルカさん。

とにかく、自分の信じる道を素直に進んでいるルカさんですが、独善的ではなく、まわりをよく見ながら進む柔軟さがあります。

我々消費者側にとっては、ルカさんみたいな生産者は頼もしい限り。
ペトローロの名前は脳のメモリにインプットしておかねば!ですね。



(取材協力)株式会社スマイル

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現地訪問のワイナリーが一目瞭然に

2009-07-18 15:38:15 | キャッチ The 生産者


「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)の中で、
現地訪問してきたワイナリーが一目でわかるよう、

INDEXに マークをつけました



現地の画像をたくさん紹介していますので、ワインにそれほど興味がない人でも楽しめるかと思います。

観光の参考にもなりそうでしょうか?


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第47回 Schloss Wackerbarth <2>@「キャッチ The 生産者」

2009-07-14 11:04:10 | キャッチ The 生産者
  (更新日:2008年6月21日)

第47回  Jurgen Aumuller  <Schloss Wackerbarth><2>



ドイツ、ザクセン地方のワイン生産者「シュロス・ヴァッカーバルト」の訪問記<2>です

 *<1> から読みたい方は → コチラ へどうぞ
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<テイスティングしたワイン>



1) Bacchus 2006 Q.b.A. Trocken
グレープフルーツのニュアンスのあるさっぱりと爽やかな辛口白ワインで、日本の食卓に色々と使えそうです。

2) Riesling 2006 Q.b.A. Trocken
「シュペトレーゼにしても良かったものでしたが、あえてQ.b.A.にしました。タンニン分が少し感じられると思いますが、それは土壌から来ています」(オムラさん)

フルーティーな中にほのかなスパイシーさがあり、非常に飲みやすいワインです。



3) Riesling 2006 Q.b.A. Halbtrocken
2)と違う畑のリースリングとのこと。ハルプトロッケン(半辛口)ということで、ソフトでやわらかい味わいがあります。また、2)よりも複雑さを感じました。

4) Radebeuler Goldener Wagen Riesling Spatlese
Trocken 2006

最も古い畑のブドウを使っています。畑はテラス状になっていて、ブドウがよく熟しますが、まだ若いので、2~3年ぐらい寝かせておくとよいと思います」(オムラさん)
味わいは複雑で、モーゼルとも違うフルーツの熟した感じがあります。



5) Radebeuler Goldener Wagen Traminer Spatlese Trocken 2006
トラミナーはこの地方に特徴的なブドウ。アルコールも少し高めになります(13.5%)」(オムラさん)

アロマがやさしく、なめらかな口当たりが楽しめるワインです。



6) Fruhburgunder 2006 Q.b.A. Trocken
「シュペートブルグンダーに似ている風味のワインだと思います。8月に瓶詰めしたばかりなので、あと1~2寝かせてから飲みたいところです」(オムラさん)

それほど複雑性はなく、気軽に楽しめるタイプの赤ワインですが、熟成したらどんな変化が見られるのか面白そうです。



7) August der Starke Trocken
ザクセンの典型的な“ふともも”型ボトルに入れられているゼクト。たしかオムラさんは、リースリングとヴァイスブルグンダーを使っていると言っていました。

フルーティーで心地良い飲み口。ウエルカムドリンクやアペリティフに楽しみたいですね。

8) Schloss Wackerbarth Rose-brut 2005
輝きのある透明度の高いロゼ色が美しく、見るだけでもうっとり。
生産量2500本という稀少品。華やかなシーンで開けてみたいものです。

「ボトル内は8気圧あるので、厚みのあるガラスを使っています。だからボトルが重いんです(笑)」(オムラさん)

*シャンパーニュは5気圧以上です



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インタビューを終えて


テイスティングは、ショップが併設されたテイスティングコーナーで行いましたが、ここは本当にワインをたっぷりと楽しむことのできる施設だわ~、と感心しました。

セラー見学やテイスティングはもちろん、レストランで料理とワインのマリアージュを試すツアーなどもあり、ショップにはさまざまなワイングッズも揃っています。


明るくきれいなエントランス

こう書くと、観光施設的ワイナリーのように思うかもしれません。しかし、ワインの知識がない人もワイン通も楽しめる、人にやさしいワイナリーだと思いました。

ワインメイキングにおいては、オムラさんを筆頭にした技術スタッフが品質の確かなワインをつくり、訪れたお客様に対してはホールのスタッフがホスピタリティをもって接しています。本当に、素晴らしいワイナリーです。


セラー内のテイスティングルーム

季節ごとのさまざまなイベントも楽しそうですし、ザクセンに来たら、ここはぜひコースに入れることをオススメします。



ドイツでは毎年秋に「ワインクイーン」を選ぶイベントがあります。
13のワイン生産地域から代表(ワインプリンセス)が選出され、その中の一人が「女王」に選ばれるのです。

実は、昨年の秋に任命されたワインクイーンが、ここで働くスタッフの
エブリン・シュミットさん 

ぜひ彼女に会いたい!と思って訪問しましたが、残念ながら会うことはかなわず・・・



ところが、数週間前に開催された日本でのイベントのためにエブリンさんが来日し、ようやく彼女に会うことができました。
ラーデボイルで会えなくて、東京で会えたというのも、なんだか笑えてしまうご縁でした。 (上の写真は東京でのショット)



今回お世話になったオムラさん&広報担当のウルリケ・シュレーターさん
ありがとうございました。

(取材協力:ドイツワイン基金)


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第47回 Schloss Wackerbarth <1>@「キャッチ The 生産者」

2009-07-13 11:03:20 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2008年6月21日)

第47回  Jurgen Aumuller  <Schloss Wackerbarth><1>

ドイツ・ザクセン地方のワイナリー訪問第5弾は、
ラーデボイルにある 『Schloss Wackerbarth』 (シュロス・ヴァッカーバルト)のセラーマスター、ユルゲン・オムラ さんです。


<Jurgen Aumuller> (ユルゲン・オムラ)
シュロス・ヴァッカーバルトのセラーマスター


ザクセン最大のワイナリーへ
ドレスデンからマイセンに向かう電車に乗り、前回より2駅マイセン寄りのラーデボイル・ウエスト駅で下車し、ワイン街道を西に向かってしばらく歩くと、大きな建物と看板が見えてきます。


ここがザクセンで最も大きなワイナリー シュロス・ヴァッカーバルト

大きな理由は州の所有するワイナリーだからで、つまり、働いているスタッフは公務員ということになります。



そして、『シュロス・ヴァッカーバルト』はただ大きいだけでなく、
ドイツで2番目に古いゼクト(スパークリングワイン)の生産者でもあるのです。
となると、これはぜひ訪問せねば!




*シュロス・ヴァッカーバルトには電車で行けますが、ドレスデン市街からのトラム(路面電車)の4号線に乗ると、ワイナリーのすぐ近くまで運んでくれるので便利です。 



今回はオムラさんと広報担当のシュレーターさんに案内していただきました




Q.このワイナリーは、かつてのザクセン王と関係が深いと聞きましたが?
A.はい、当ワイナリーは、ザクセン王だったアウグスト強王(在位1694~1733年)と非常に関係があります。
アウグスト王はポーランド王も兼ねていましたが、お金をたくさん使ってザクセンを治めていました。そのせいで、ドレスデン周辺にはさまざまなバロックの建物などが残っているのが見られます。

ワインも彼が情熱を注いいでいたもののひとつで、
自分が飲みたいためにつくらせていたのです。


敷地内の中で高台にある建物へ


Q.この建物もアウグスト強王と関係があるのでしょうか?
A.これがシュロス(=城)で、バロック様式で建てられたものです。400年くらいの歴史があります。今は、結婚式やさまざまなパーティーに利用しています。



建物の内部はホール状になっていました。スペース的にはそれほど広くはありませんが、窓から見下ろした庭園の景色が素晴らしく、ここでのパーティーは思い出に残るものになること間違いありません。


シュロスから見下ろした庭園


Q.この庭園も何かに利用されるのでしょうか?
A.庭にテーブルを出して、それぞれの季節でさまざまなイベントを行っています。


Q.シュロスの上から周辺にブドウが植えられていますが、種類は?
A.リースリングが多く、トラミナー、ヴァイスブルグンダー、ショイレーヴェなども植えています。樹齢はだいたい20年くらいです。

ワイナリーとしては、ブドウは40種類くらい栽培していますが、一番多いのがリースリングで、約32%です。


Q.畑はどのくらいありますか?
A.93haあります。ザクセンのワイナリーは家族経営の小さなところが多いですが、当ワイナリーは州が経営していますので、畑の面積はザクセン最大です。

つくっているワインの比率ですが、80%がスパークリングワインで、20%がスティルワインです。スティルワインの内訳は、88%が白で12%が赤です。


赤ワイン用のシュペートブルグンダーもありました


Q.ブドウ栽培で最も重要なものは何と考えていますか?
A.私は土壌が大事だと思っています。このあたりは、砂、残積土、粘土という土壌で、ワインにミネラリティー、フルーティーさ、エレガンスを与えてくれます。

Q.このあたりでは収穫時期はいつ頃になりますか?
A.9月中旬から始まり、1ヵ月から1ヵ月半くらい続きます。だいたい11月に入る頃までです。
白から収穫が始まり、続いて赤ワイン用黒ブドウとなります。
30%が手摘みで、70%が機械収穫ですが、ブドウは小さなケースに入れて丁寧に扱います。


Q.醸造のポイントは?
A.とにかく、収穫したブドウをしっかりとセレクトするということです。
白ワインは、ソフトにつくるためにステンレスタンクのみを使います。
赤はブドウ品種によって3種類の違うつくり方で行いますが、どの方法もソフトにプレスを行うようにしています。


ステンレスタンクの並ぶセラー内


Q.ゼクトはどのくらいつくっているのでしょうか?
A.先に話したように、年間生産量(約43万本)の8割がスパークリングです。
当ワイナリーは、ドイツで2番目に古いスパークリングワインの生産者ですが、現在、ドイツで6番目の規模のワイナリーでもあります。

ザクセンのゼクトは、1836年にBussardがレスニッツ(第46回で紹介したカール・フリードリッヒ・オーストの北西近隣)でつくったのが最初です。それが当ワイナリーの基になっています。

ザクセンではタンク内二次発酵でゼクトをつくる生産者が多いのですが、
当社はシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵のみでつくっているのが特徴です。


選別されたブドウは上部からタンク内に入れられます


シャンパーニュと同様に回転させてオリを瓶口に集めます

ここで、セラー内の特別な仕組みのタンクのあるところに案内していただきました。オムラさんがスイッチを入れると、音楽が流れ、それに合わせてステンレスタンクが3色に輝きます! (下の写真)


流れる音楽に合わせて3色の光に彩られるリースリングのタンク


Q.なぜこんな仕組みをつくったのですか?
A.タンクの中はリースリングですが、3つのキュヴェがあります。毎年のテイスティングの積み重ねで、それぞれに個性があることがわかってきました。

ワインとして仕上げるためには最後にブレンドするわけですが、それぞれの個性を尊重しなければなりません。この、最後に合わせるという過程は音楽と同じですので、シンフォニーをつくり上げるようにワインもつくりたいと思い、音楽と光を与えることにしました。

とはいえ、セラーでは特に何をしているわけでもありません。ブドウを口に入れるとテロワールの香りがしますが、テロワールは畑でつくられるものです。
私は、ハーモニーのある丸いワインをつくりたいと思ってやっているだけです。


Q.樽の使用はどう考えていますか?
A.樽は赤ワインにのみ使います。ハンガリー、ロシア、アメリカのオークも使いますが、特に重要なのはフレンチオークだと考えています。ドイツのオークは使いません。

樽は内部のトースト加減が難しく、樽の匂いが強いとワインを壊してしまうので、強く出ないように注意しています。



まだまだ <2> に続きます


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第46回 Weingut Karl Friedrich Aust<2>@「キャッチ The 生産者」

2009-07-12 10:01:50 | キャッチ The 生産者
  (更新日:2008年5月21日)

第46回  Karl Friedrich Aust
     <Weingut Karl Friedrich Aust>  <2> 



ドイツ、ザクセン地方のワイン生産者「カール・フリードリッヒ・オースト」の訪問記<2>です

 *<1> から読みたい方は → コチラ へどうぞ

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<テイスティングしたワイン>

生産量が少ないため、訪問した時には(2007年12月)、2006年産のワインは完売状態でほとんど残っていませんでしたが、わずかにあった貴重なものを試飲させていただきました。



Riesling 2006
彼が最も多く栽培しているのがリースリングで、栽培比率は35%。
ミネラル感と爽やかな酸があり、上品で繊細な味わいが魅力です。

リースリングは私の最も自慢とするワインです。よくモーゼル地域と比較されますが、モーゼルはシーファー土壌です。つくりとしては、私は より“酸”を求めるようにしています」(カール・フリードリッヒさん)。


Weisser Burgunder 2006
生産量20%。
ミネラル感と何かのスパイシーさを感じましたが、まだまだ若くて閉じています。

「このワインの飲み頃は1年先以降になると思います」(カール・フリードリッヒさん)


Kerner 2006
生産量20%。
アロマが素晴らしくエレガント。総酸度は他のワインよりもやや高めということですが、果実の甘さと酸のバランスが取れています。

「ケルナーは甘口(suss)につくることもありますが、ほとんど辛口にします」(カール・フリードリッヒさん)



Spatbrugunder 2006
植樹して4年目のピノ・ノワール。
2006年は残糖ゼロ、アルコール度数は14.2%。

もう1本もなく、部屋にあった空きボトルの香りだけ嗅がせていただきましたが、香りはまだ濃密さを残して留まっていました。これはぜひ口にしてみたかったですね。



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インタビューを終えて


若さと見ての通りのルックスを備えた彼はマスコミも注目の的。
ベルリンで予約の取れないレストラン「VAU」のソムリエが指名買いし、TVのグルメ番組が取り上げたり、ということも拍車をかけ、ワイン専門誌や評価ガイドでも人気急上昇です。

彼の大きな写真が入った本を見せてくれながら、
「あちこちで取り上げられるのは嬉しいけれど、評判を聞いただけで求めてくる人が増えたので、今年はもうワインがなくなってしまったよ。マスコミに踊らされていて、なんだか割り切れないものがあるよね…」と嘆いていました。


醸造所の入り口の青い扉


エジプトにいる彼の妹(画家)が描いた青い扉とカールさんの絵




ベルリンのレストラン「VAU」という名は、どこかで聞いたことがある…と思って帰国後に調べてみたところ、前年に来日したオーナーシェフ氏と会ったことがあり、名刺交換もさせていただいていました。

シェフとはワインとは全く関係のないところで会ったのに、ここで名前を聞くとは、不思議な縁があるものです。(右のラベルには「VAU」の名前が見られます)



縁といえば、第43回で紹介した「クラウス・ツィマーリング」クラウスさん夫婦とも深い親交があるといいます。
というのも、クラウスさんの奥様が彫刻家だからで、カール・フリードリッヒさんがワインの世界に入る前からの知り合いだとか。

建物を入ってすぐのレセプション兼売店の棚にクラウスさんのワインも商品として並んでいたのは、そうした理由があったんですね。

その他にも、第44回で紹介した「シュロス・プロシュヴィッツ」の当主であるプリンツ(こちらは本物の“王子”)をはじめとしたザクセンの大小さまざまなワイナリーともフレンドリーな交流を行い、周りからの良い影響を大いに受け、ワインづくりに生かしているようです。



そして、もうひとつの縁が、今回出会ったフランス人ソムリエのフレデリックさん(写真は<1>でも紹介)です。

彼は10年前にドレスデンにやってきましたが(彼の勤務先はドレスデンの『ケンピンスキーホテル』でした)、実はフレデリックさん自身もワインをつくっているといいます。



残念ながら彼のワインを飲むことはできませんでしたが、次回は改めてフレデリックさんのところを訪問したいと思いました。

*Weingut Frederic Fourre:すぐご近所のBennostrasseにあります



最後にカール・フリードリッヒさんが披露してくれたのはピアノ演奏♪
ギターをはじめ、楽器が得意ということで、部屋にあったピアノを即興で私のためだけに弾いてくれました。うーん、王子に完璧にノックアウトされました(笑)



彼のワイナリーの前は「Weinbergstrasse」(ワインの山通り)という道になっています


上の写真の右奥に見えるのが彼のワイナリーです


この道に面してワイナリーが軒を並べています



ワイナリーの軒先にはそれぞれ個性的な看板がかかっています

訪問した12月はひっそりとしていましたが、春から秋の時期はどのワイナリーもオープンにしているようですので、あちこち訪問するのも楽しそうです。


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第46回 Weingut Karl Friedrich Aust<1>@「キャッチ The 生産者」

2009-07-11 10:00:34 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2008年5月21日)

第46回  Karl Friedrich Aust
     <Weingut Karl Friedrich Aust>  <1> 

ドイツ・ザクセン地方のワイナリー訪問第4弾は、
ラーデボイルの『Karl Friedrich Aust』(カール・フリードリッヒ・オースト)です。


<Kark Friedrich Aust> (カール・フリードリッヒ・オースト)
1978年生まれの29歳。ザクセン地域で最も若い醸造家で、“期待の星”と注目されています。
料理&お菓子づくりが得意。




正真正銘の“ワイン王子”に出会う!?

ドレスデンのノイシュタット駅からマイセンに向かうSバーン(電車)に乗って10分少々行くと、ラーデボイル(Radebeul)という町があります。

町の中にはザクセンワイン街道が走り、ザクセンのワイン生産地の中でもワイナリーが集中して軒を並べている地域です。
ぜひこの中の1軒を訪ねてみたい…と調べていくうちに気になったのが、
若手醸造家の『Weingut Karl Friedrich Aust』 

ここも、ザクセンの典型的な個人経営の小規模ワイナリーです。



電車を降り、ラーデボイルのインフォメーションセンターでもらった地図を片手に歩いていくと、「すぐわかるわよ」とインフォメーションセンターの女性職員が話していた通り、クリーム色の外観の建物が見えてきました。



この石造りの建物は17世紀からの歴史があるそうですが、1992年に改修されています。

この建物の中から颯爽と現れたのは、「王子!?」と見紛う超イケメンの当主



このところ「○○王子」というのが流行っていますが、細身の長身、ブロンドの髪をなびかせた彼こそ正真正銘の「王子様」といえるでしょうか?(笑)

しかしながら、14歳の時に父が病死し(享年50歳)、彼の苦労が始まりました。
彼はドイツ西部のケルンで石工および彫刻職人として、ケルン大聖堂の修復に携わります

その後、1999年から3年をドレスデンで石工職人として過ごしましたが、
2001年、故郷への愛着からラーデボイルに戻ってきました。




Q.あなたの畑の広さはどのくらいですか?
A.5haです。つくっているブドウ品種は、白はリースリング、ヴァイスブルグンダー(ピノ・ブラン)、ミュラー・トゥルガウ、バフース、グラウブルンダー(ピノ・グリ)、トラミナー、赤はシュペートブルグンダーなど、全10種類です。

特徴的なのはトラミナーで、最も力強いワインになります。


ワイナリーの背後一帯にブドウ畑が広がっています


Q.このあたりのブドウ畑の特徴は?
A.丘陵地の斜面に畑があり、完全に南に向いています。
またエルベ川にも面しているため、ブドウづくりに理想的な条件が揃っています


ブドウ畑は丘の上の高いところにまであります

Q.土壌のタイプは?
A.非常にミネラル分の強い、石の混ざった閃長岩(せんちょうがん)とレス(黄土)混じりのローム土壌です。
マイセンは花崗岩、石灰岩、レス(黄土)と、同じザクセンでもそれぞれ土壌が違うため、違った性質のワインになります。


Q.輸出はしていますか?
A.生産量が少ないので、輸出するだけのワインがありません。
昨年(2006年)の生産量は12,000本でした。
今年(2007年)は増えて3万本になります。



Q.生産量が増えた理由は?
A.新しく植えた樹が育ってきたため、収穫量が増えてきました。
今後も増えていくと思います。



Q.あなたのワインづくりのコンセプトは?
A.毎年色々変えてつくる、ということです。
ワイナリーのスペシャルなワインというのは特になく、自分のアイディア次第で色々と生み出していきたいと思っています。

今年(2007年)は、リースリングとバフースに力を入れました。


Q.あなたも樹も若く、経験が重要なワインづくりにおいて苦労が多いのでは?
A.確かに、すべて1人で判断しながらやっているので大変ですが、その日に何をすべきかを毎朝考え、作業をするようにしています。

人手の必要な収穫の時は、友人たちが手伝いに来てくれますし、
特にフレデリックは常日頃から良いアドバイスをしてくれます。


この日も来ていたフレデリックさんはパリ出身のフランス人ソムリエ


まだまだ続きます → <2>


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第45回 Weingut Vincenz Richter<2>@「キャッチ The 生産者」

2009-06-17 09:09:12 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2008年4月21日)

第45回  Thomas Herrlich <Weingut Vincenz Richter><2>

ドイツ、ザクセン地方のワイン生産者 「ヴィンセンツ・リヒター」 の訪問記<2>です

 *<1> から読みたい方は コチラ へどうぞ





<テイスティングしたワイン>


Weissburgunder Meissner Kapitenberg Spatlese 2006

ピノ・グリのシュペトレーゼ。
果実の甘味が少し残っているような感じがあり、凝縮感、そしてアルコールから来るボディを感じ、よくできています。
色調もしっかりと色のついた麦わら色をしています。



Kerner Spatlese Feinherb 2006

薄っぺらさは全くなく、果実味があってふくよかで、よく熟した果物を感じさせます。飲んで非常にバランスの良いワインです。



Riesling Meissner Kapitenberg Spatlese 2006

かなり濃い目の麦わら色。
口に含むと、これぞリースリングという味わいがありますが、しっかりとした辛口で、同じドイツのモーゼル地方のリースリングとは全く違うタイプです。
骨格がきっちりとし、ラインガウやオーストリア的な雰囲気があります。



Traminer Meissner Kapitenberg Spatlese Feinherb 2006

今までで最も色が濃く、アロマも華やか
よりアルコールを感じ、骨格がガッチリとしたワインに仕上がっています。

「たしかに、これはちょっとアルコールが高くなってしまいました(13.5%)。
トラミナーは非常に力強い性質の品種です」(トーマスさん)



Cabernet Dorsa Meissner Kapitelberg Spatlese 2006

かなり色の濃い赤ワインで、香りに湿り気があり、なぜか茹でたジャガイモの風味を感じました。
ほろ苦さはありますが、タンニンは強くなく、非常にしなやかでスムース

カベルネ・ドルサは、ドルンフェルダーとカベルネ・ソーヴィニヨンの交配種です。我々のところでは2000年に植えましたが、まだ樹が若いので、この年は1200本のみの生産でした」(トーマスさん)



Traminer Meissner Kapitelberg Eiswein 2006

寒さで凍結したトラミナーからつくった極甘口のアイスヴァイン

温暖化のため、ドイツでもここ数年アイスヴァインがつくれませんでしたが、自然が素晴らしい贈り物をくれました。シアワセを感じる甘さのワインです。

「2007年1月、ようやくマイナス10℃まで気温が下がり、アイスヴァイン用のブドウを収穫することができました」(トーマスさん)

*マイナス7℃まで下がらないと、アイスヴァイン用のブドウの収穫はできません



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インタビューを終えて

ザクセンのほとんどのワイン生産者がそうであるように、ヴィンセンツ・リヒターも家族経営の小さい生産者です。
しかしながら、ザクセンの中での知名度は高く、ドレスデンのデパートやレストランのワインリストなど、あちこちでその姿を見かけました。

評価ガイドでも年々評価が上がってきていますが、実際に飲んでみても、ラインガウの銘醸ワインに負けない品質の高さがあり、世界市場でも十二分に通用すると感じました。

しかしながら、ワイン生産地としては他とだいぶ離れているため、流通面の問題が最大のネックになっていると思います。

しかも、トーマスさん自身に欲が全くないらしい…ときては仕方がありませんが、

ザクセンのちょっとしたレストランやワインショップには、必ずや彼のワインが置いてあるはずですので、ザクセンの地を訪ねる際には、ぜひ彼のワインを探してみてください。





トーマスさんが経営する、マイセン市街地の中心部にある
「Restaurant Vincenz Richter」 ザクセンでも指折りのレストランらしく、

前回紹介したシュロス・プロシュヴィッツのアンテ・ノイマンさんも
「マイセンで食事するなら、一番のオススメよ」と言っていました。

当然、私もワイナリーを訪問した日の夜に食事に伺い、レストランスタッフのアネットさん(写真の女性)に雰囲気たっぷりの店内を色々と案内してもらいました。



アネットさんには、英語がちょっと苦手なトーマスさんの通訳として、ワイナリーの方でもお世話になりました。



レストランでは長身でイケメンのマネージャー氏にワインをサービスしていただいたりと、ホスピタリティ溢れる店でザクセンの伝統料理を楽しんできました。


ザクセン地方のスープ          メインにはウサギをチョイス


デザートは欠かせません

* 料理の詳細&レストラン内部の潜入レポート(笑)は → コチラ



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