
第46回 Karl Friedrich Aust
<Weingut Karl Friedrich Aust> <2>

ドイツ、ザクセン地方のワイン生産者「カール・フリードリッヒ・オースト」の訪問記<2>です
*<1> から読みたい方は → コチラ へどうぞ
------------------------------------------------------

<テイスティングしたワイン>
生産量が少ないため、訪問した時には(2007年12月)、2006年産のワインは完売状態でほとんど残っていませんでしたが、わずかにあった貴重なものを試飲させていただきました。

Riesling 2006
彼が最も多く栽培しているのがリースリングで、栽培比率は35%。
ミネラル感と爽やかな酸があり、上品で繊細な味わいが魅力です。
「リースリングは私の最も自慢とするワインです。よくモーゼル地域と比較されますが、モーゼルはシーファー土壌です。つくりとしては、私は より“酸”を求めるようにしています」(カール・フリードリッヒさん)。
Weisser Burgunder 2006
生産量20%。
ミネラル感と何かのスパイシーさを感じましたが、まだまだ若くて閉じています。
「このワインの飲み頃は1年先以降になると思います」(カール・フリードリッヒさん)
Kerner 2006
生産量20%。
アロマが素晴らしくエレガント。総酸度は他のワインよりもやや高めということですが、果実の甘さと酸のバランスが取れています。
「ケルナーは甘口(suss)につくることもありますが、ほとんど辛口にします」(カール・フリードリッヒさん)

Spatbrugunder 2006
植樹して4年目のピノ・ノワール。
2006年は残糖ゼロ、アルコール度数は14.2%。
もう1本もなく、部屋にあった空きボトルの香りだけ嗅がせていただきましたが、香りはまだ濃密さを残して留まっていました。これはぜひ口にしてみたかったですね。

---------------------------------------
■ インタビューを終えて
若さと見ての通りのルックスを備えた彼はマスコミも注目の的。
ベルリンで予約の取れないレストラン「VAU」のソムリエが指名買いし、TVのグルメ番組が取り上げたり、ということも拍車をかけ、ワイン専門誌や評価ガイドでも人気急上昇です。
彼の大きな写真が入った本を見せてくれながら、
「あちこちで取り上げられるのは嬉しいけれど、評判を聞いただけで求めてくる人が増えたので、今年はもうワインがなくなってしまったよ。マスコミに踊らされていて、なんだか割り切れないものがあるよね…」と嘆いていました。

醸造所の入り口の青い扉

エジプトにいる彼の妹(画家)が描いた青い扉とカールさんの絵

ベルリンのレストラン「VAU」という名は、どこかで聞いたことがある…と思って帰国後に調べてみたところ、前年に来日したオーナーシェフ氏と会ったことがあり、名刺交換もさせていただいていました。
シェフとはワインとは全く関係のないところで会ったのに、ここで名前を聞くとは、不思議な縁があるものです。(右のラベルには「VAU」の名前が見られます)

縁といえば、第43回で紹介した「クラウス・ツィマーリング」のクラウスさん夫婦とも深い親交があるといいます。
というのも、クラウスさんの奥様が彫刻家だからで、カール・フリードリッヒさんがワインの世界に入る前からの知り合いだとか。
建物を入ってすぐのレセプション兼売店の棚にクラウスさんのワインも商品として並んでいたのは、そうした理由があったんですね。
その他にも、第44回で紹介した「シュロス・プロシュヴィッツ」の当主であるプリンツ(こちらは本物の“王子”)をはじめとしたザクセンの大小さまざまなワイナリーともフレンドリーな交流を行い、周りからの良い影響を大いに受け、ワインづくりに生かしているようです。

そして、もうひとつの縁が、今回出会ったフランス人ソムリエのフレデリックさん(写真は<1>でも紹介)です。
彼は10年前にドレスデンにやってきましたが(彼の勤務先はドレスデンの『ケンピンスキーホテル』でした)、実はフレデリックさん自身もワインをつくっているといいます。

残念ながら彼のワインを飲むことはできませんでしたが、次回は改めてフレデリックさんのところを訪問したいと思いました。
*Weingut Frederic Fourre:すぐご近所のBennostrasseにあります

最後にカール・フリードリッヒさんが披露してくれたのはピアノ演奏♪
ギターをはじめ、楽器が得意ということで、部屋にあったピアノを即興で私のためだけに弾いてくれました。うーん、王子に完璧にノックアウトされました(笑)

彼のワイナリーの前は「Weinbergstrasse」(ワインの山通り)という道になっています

上の写真の右奥に見えるのが彼のワイナリーです

この道に面してワイナリーが軒を並べています



ワイナリーの軒先にはそれぞれ個性的な看板がかかっています
訪問した12月はひっそりとしていましたが、春から秋の時期はどのワイナリーもオープンにしているようですので、あちこち訪問するのも楽しそうです。

※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます