「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。
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(更新日:2004年9月11日)
第 4回 Anne de Lanversin <Domaine du Deffends>
第4回目のゲストは、
フランスのコトー・ヴァロワ(Coteaux Varois)の "Domaine du Deffends" (ドメーヌ・デュ・デュフォン)のヴィニュロン(*1)、
Anne de Lanversin (アン・ドゥ・ランヴェルサン)さんです。
<Anne de Lanversin>
ドメーヌの現オーナーであり、エクス・アン・プロヴァンス大学で教鞭をとっている父ジャックと母スゼルの長女として生まれる。
会社勤めの傍ら、自らヴィニュロンとしてぶどう栽培に携わっています。
兄エマニュエルと妹マリー・リエスもドメーヌを手伝い、3兄妹で両親を支えています。
若々しくチャーミングな長女アンは、3歳と7歳の男の子のママでもあります。
コトー・ヴァロワは、1993年にAOC(*2)になったばかりの新しいアペラシオン(*3)で、日本ではまだあまり知られていません。
アンによると、イタリアのピエモンテ地方に似ていて、ぶどうづくりに適している土地だとか。
ドメーヌ・デュ・デュフォンは、現当主ジャック・ドゥ・ランヴェルサン(アンの父)が畑にぶどうの苗を植えた1968年に、その歴史が始まりました。
最初の頃は協同組合にぶどうを売っていましたが、1982年からドメーヌでのワインづくりがスタートしました。
ジャックはブルゴーニュのドメーヌ・デュジャック(Domaine Dujac)で修業を積んでいます。
現在所有する畑は14ha。ぶどうの出来によって、生産するワインは年によって異なりますが、主に以下のラインナップでつくられています。
●Vin de Pays du Var Champs du Sesterce (Blanc)
●Coteaux Varois Rose d'une Nuits (Rose)
●Coteaux Varois Clos du Becassier (Rouge)
●Coteaux Varois Clos de la Truffiere (Rouge)
Q.コトー・ヴァロワという地域はまだ馴染みがないのですが、どういう土地ですか?
A.コトー・ヴァロワはマルセイユの北東、エクス・アン・プロヴァンスの東、トゥーロンの北側にあります。オーレリアン山、サント・ボーム山、サント・ヴィクトワール山という3つの山に囲まれ、孤立したエリアになっています。
プロヴァンスにはコート・ド・プロヴァンスAOCが東と西に飛び地状にありますが、ちょうどその間にコトー・ヴァロワがあります。小高い丘になっていて、川が流れ、水が豊かな土地柄です。
プロヴァンスの他の地域は、“乾いた”特徴を持つプロヴァンスなのですが、コトー・ヴァロワと呼ばれ、オリーブの樹も多く植えられています。
土壌は石灰質で水はけがよく、痩せています。
Q.コトー・ヴァロワのワインの特徴は?
A.プロヴァンスというと”ロゼワイン”の印象が強く、実際にも多くつくられていますが、コトー・ヴァロワでは赤ワインが中心です。しかも、長期熟成をさせるタイプが多く生産されています。
ワインの性格はパワフルですが、複雑でデリケートでもあります。
土地柄、畑のパーセル(区画)は小さく、規模も小さいところが多いのですが、とても強い意志を持った生産者ばかりです。いくつかの協同組合もあります。
Q.コトー・ヴァロワでは、赤ワインにはカベルネ・ソーヴィニヨンが使用品種として認められているんですね?デュフォンでもカベルネを栽培しているようですが?
A.デュフォンでは、最初はグルナッシュとサンソーだけ植えていたのですが、近くにカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーの素晴らしいワインをつくっている生産者があったので、勉強に行きました。
1993年のAOC認定の背景には、その素晴らしいカベルネとシラーがあったから、という理由もあったそうです。
私のところの代表ワイン“クロ・ド・ラ・トリフィエール”も、カベルネとシラーのブレンドなんです。
Q.デュフォンのワインづくりのコンセプトは何ですか?
A.テロワールを大切にするということです。そのパーセル(畑の区画)のキャラクターをワインに反映させたいと思っています。
私たちは、以前はぶどう生産者でもあったので、ぶどう生産者の気持ちを大切にしながらワインをつくっています。
Q.デュフォンのワインをお料理に合わせるとしたら、何がいいですか?
A.白ワインは、コキーユ・サンジャック(*4)などがいいですね。日本のお寿司にも合うと思います。
ロゼは食事の前のアペリティフとして。
赤ワイン、特に“クロ・ド・ラ・トリフィエール”は、その名前の通り、“トリュフ”(*5)に合わせると最高です。フレッシュなトリュフを、塩とオリーブオイルで、それにパンを添えていただきます。
(*1)
ぶどうの栽培に従事する人のこと
(*2)
Appellation d'Origine Controleeの略で、原産地統制名称ワインのこと
(*3)
"アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ"の略で、一般的には(*2)のAOCで認められた原産地名称を指して使われることが多い。
(*4)
帆立貝のこと。バターやホワイトソースでグラタン風に調理することが多い。
(*5)
土の中に自生するキノコの一種で、超高級食材として有名。
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■ インタビューを終えて
お料理との相性の答えに"トリュフ"が出てきました!私は「日本ではフレッシュのトリュフは高級食材ですから、そんな食べ方はできませんよ(笑)」と応戦。
“クロ・ド・ラ・トリフィエール”は、トリュフの採れる畑からのぶどうでつくられているため、その名をつけたということですが、実際この地方ではトリュフが採れ、デュフォンのぶどう畑のまわりの森でもトリュフがよく見つかるとか。ホント、羨ましい限りです。
今回はトリュフとのマリアージュは実現しませんでしたが、“クロ・ド・ラ・トリフィエール”の2001年と1990年のヴィンテージを飲ませていただきました。
2001年のものはスパイシーでコクがあり、土やミネラルの風味を感じる若々しいワインでしたが、14年の歳月を経た1990年ヴィンテージは非常によく熟成しており、官能的なニュアンスさえ感じるまろやかさと艶やかさがありました。
アンによると、「これは、いつ開けても楽しめるタイプのワインなんですけど、まだまだ熟成しますよ~」とのこと。
熟成したプロヴァンスの赤ワインなんて、なかなかお目にかかれる機会のない稀少モノ。コトー・ヴァロワなんていう新しいアペラシオンで、こんなポテンシャルを持ったワインがつくられていたなんて、びっくりです。
となると、この コトー・ヴァロワ、今後ぜひ注目したい生産地ですね!
http://www.deffends.com
(輸入元&取材協力:横浜君嶋屋)
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。
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(更新日:2004年9月11日)
第 4回 Anne de Lanversin <Domaine du Deffends>
第4回目のゲストは、
フランスのコトー・ヴァロワ(Coteaux Varois)の "Domaine du Deffends" (ドメーヌ・デュ・デュフォン)のヴィニュロン(*1)、
Anne de Lanversin (アン・ドゥ・ランヴェルサン)さんです。
<Anne de Lanversin>
ドメーヌの現オーナーであり、エクス・アン・プロヴァンス大学で教鞭をとっている父ジャックと母スゼルの長女として生まれる。
会社勤めの傍ら、自らヴィニュロンとしてぶどう栽培に携わっています。
兄エマニュエルと妹マリー・リエスもドメーヌを手伝い、3兄妹で両親を支えています。
若々しくチャーミングな長女アンは、3歳と7歳の男の子のママでもあります。
コトー・ヴァロワは、1993年にAOC(*2)になったばかりの新しいアペラシオン(*3)で、日本ではまだあまり知られていません。
アンによると、イタリアのピエモンテ地方に似ていて、ぶどうづくりに適している土地だとか。
ドメーヌ・デュ・デュフォンは、現当主ジャック・ドゥ・ランヴェルサン(アンの父)が畑にぶどうの苗を植えた1968年に、その歴史が始まりました。
最初の頃は協同組合にぶどうを売っていましたが、1982年からドメーヌでのワインづくりがスタートしました。
ジャックはブルゴーニュのドメーヌ・デュジャック(Domaine Dujac)で修業を積んでいます。
現在所有する畑は14ha。ぶどうの出来によって、生産するワインは年によって異なりますが、主に以下のラインナップでつくられています。
●Vin de Pays du Var Champs du Sesterce (Blanc)
●Coteaux Varois Rose d'une Nuits (Rose)
●Coteaux Varois Clos du Becassier (Rouge)
●Coteaux Varois Clos de la Truffiere (Rouge)
Q.コトー・ヴァロワという地域はまだ馴染みがないのですが、どういう土地ですか?
A.コトー・ヴァロワはマルセイユの北東、エクス・アン・プロヴァンスの東、トゥーロンの北側にあります。オーレリアン山、サント・ボーム山、サント・ヴィクトワール山という3つの山に囲まれ、孤立したエリアになっています。
プロヴァンスにはコート・ド・プロヴァンスAOCが東と西に飛び地状にありますが、ちょうどその間にコトー・ヴァロワがあります。小高い丘になっていて、川が流れ、水が豊かな土地柄です。
プロヴァンスの他の地域は、“乾いた”特徴を持つプロヴァンスなのですが、コトー・ヴァロワと呼ばれ、オリーブの樹も多く植えられています。
土壌は石灰質で水はけがよく、痩せています。
Q.コトー・ヴァロワのワインの特徴は?
A.プロヴァンスというと”ロゼワイン”の印象が強く、実際にも多くつくられていますが、コトー・ヴァロワでは赤ワインが中心です。しかも、長期熟成をさせるタイプが多く生産されています。
ワインの性格はパワフルですが、複雑でデリケートでもあります。
土地柄、畑のパーセル(区画)は小さく、規模も小さいところが多いのですが、とても強い意志を持った生産者ばかりです。いくつかの協同組合もあります。
Q.コトー・ヴァロワでは、赤ワインにはカベルネ・ソーヴィニヨンが使用品種として認められているんですね?デュフォンでもカベルネを栽培しているようですが?
A.デュフォンでは、最初はグルナッシュとサンソーだけ植えていたのですが、近くにカベルネ・ソーヴィニヨンとシラーの素晴らしいワインをつくっている生産者があったので、勉強に行きました。
1993年のAOC認定の背景には、その素晴らしいカベルネとシラーがあったから、という理由もあったそうです。
私のところの代表ワイン“クロ・ド・ラ・トリフィエール”も、カベルネとシラーのブレンドなんです。
Q.デュフォンのワインづくりのコンセプトは何ですか?
A.テロワールを大切にするということです。そのパーセル(畑の区画)のキャラクターをワインに反映させたいと思っています。
私たちは、以前はぶどう生産者でもあったので、ぶどう生産者の気持ちを大切にしながらワインをつくっています。
Q.デュフォンのワインをお料理に合わせるとしたら、何がいいですか?
A.白ワインは、コキーユ・サンジャック(*4)などがいいですね。日本のお寿司にも合うと思います。
ロゼは食事の前のアペリティフとして。
赤ワイン、特に“クロ・ド・ラ・トリフィエール”は、その名前の通り、“トリュフ”(*5)に合わせると最高です。フレッシュなトリュフを、塩とオリーブオイルで、それにパンを添えていただきます。
(*1)
ぶどうの栽培に従事する人のこと
(*2)
Appellation d'Origine Controleeの略で、原産地統制名称ワインのこと
(*3)
"アペラシオン・ドリジーヌ・コントローレ"の略で、一般的には(*2)のAOCで認められた原産地名称を指して使われることが多い。
(*4)
帆立貝のこと。バターやホワイトソースでグラタン風に調理することが多い。
(*5)
土の中に自生するキノコの一種で、超高級食材として有名。
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■ インタビューを終えて
お料理との相性の答えに"トリュフ"が出てきました!私は「日本ではフレッシュのトリュフは高級食材ですから、そんな食べ方はできませんよ(笑)」と応戦。
“クロ・ド・ラ・トリフィエール”は、トリュフの採れる畑からのぶどうでつくられているため、その名をつけたということですが、実際この地方ではトリュフが採れ、デュフォンのぶどう畑のまわりの森でもトリュフがよく見つかるとか。ホント、羨ましい限りです。
今回はトリュフとのマリアージュは実現しませんでしたが、“クロ・ド・ラ・トリフィエール”の2001年と1990年のヴィンテージを飲ませていただきました。
2001年のものはスパイシーでコクがあり、土やミネラルの風味を感じる若々しいワインでしたが、14年の歳月を経た1990年ヴィンテージは非常によく熟成しており、官能的なニュアンスさえ感じるまろやかさと艶やかさがありました。
アンによると、「これは、いつ開けても楽しめるタイプのワインなんですけど、まだまだ熟成しますよ~」とのこと。
熟成したプロヴァンスの赤ワインなんて、なかなかお目にかかれる機会のない稀少モノ。コトー・ヴァロワなんていう新しいアペラシオンで、こんなポテンシャルを持ったワインがつくられていたなんて、びっくりです。
となると、この コトー・ヴァロワ、今後ぜひ注目したい生産地ですね!
http://www.deffends.com
(輸入元&取材協力:横浜君嶋屋)
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