ワインな ささやき

ワインジャーナリスト “綿引まゆみ” (Mayumi Watabiki) の公式ブログ

第 9回 Vallformosa Vinos & Cavas@「キャッチ The 生産者」

2008-12-29 09:37:11 | キャッチ The 生産者
「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。

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  (更新日:2005年4月11日)

第 9回  Rafael Rostoll Aranda  <Vallformosa Vinos & Cavas>



第9回目のゲストは、スペインのワイナリー『ヴァルフォルモサ』ラファエル・ロストール・アランダさんです。
ヴァルフォルモサのコマーシャル・ディレクターを務めるラファエルさんは、この3月に幕張メッセで開催されたイベント『FOODEX』のために来日しました。

このワイナリーの得意とするのは"CAVA"(カバ)

特にこれからの季節に嬉しいCavaのあれこれを、ラファエルさんに伺ってみましょう!


<Rafael Rostoll Aranda>
7年前までは香港のブイヨン工場!で働いていたラファエルさんは、ヴァルフォルモサ・ファミリーとの出会いでワイン業界へ転職。以前はそれほどワインが好きではなかったけれど、「今では毎日飲みます!(笑)」と言い、同社のコマーシャル・ディレクターとして世界各地を飛び回る日々を送っています。



CAVA とは…  

フランスのシャンパーニュと同じ瓶内二次発酵でつくられたスペインのスパークリングワインのことで、その製法は、古典的方式(クラッシック・メソッド)、または伝統的方式(メソッド・トラディショナル)と呼ばれます。  

スペインワインにおいては、一般的には特定の原産地にDO名(*1)が付けられていますが(例:DOプリオラート、DOリベラ・デル・ドゥエロなど)、Cavaだけは特殊で、ひとつの生産地だけでなく、カタルーニャ州を中心に分散した地域でつくられているのが特徴です。しかし、その生産地やぶどう品種には規定があります。  

通常使われるぶどう品種は、マカベオ(=ヴィウラ)、パレリャーダ、チャレッロの3種で、マルバジアやシャルドネ、黒ぶどうのモナストレル、ピノ・ノワール(ピノはロゼのみに使用可)などもごく少量使われています。  

味わいのタイプは、1リットルあたりの残糖グラム数により、極辛口のブリュット・ナトゥーレから、エクストラ・ブリュット、ブリュット、エクストラ・ドライ、ドライ、セミ・ドライ、スウィートまで、幅広く揃っています。



Q.Cavaには色々な味わいのタイプがありますが、スペインで人気のタイプは?

A.極辛口のブリュット・ナトゥーレが人気です。
日本では、やや甘口タイプを好む傾向にあるように感じます。


Q.スペインでブリュット・ナトゥーレが人気の理由は?

A.最初はスペインでも甘口タイプの方が好まれていました。しかし、飲んでいくうちに、人々はだんだん甘くないものを好むようになり、辛口が主流になってきました。


Q.ブリュット・ナトゥーレでも、ほのかな甘さを感じるのですが?

A.確かにブリュット・ナトゥーレには甘味は加えませんが、自然に3g程度(1リットルあたり)の糖分が残るためです。これは他のタイプでも同じで、例えば甘味を6g加えたブリュットの場合は、元々の残糖分と合わせて10g程度の甘さになります。


Q.タイプ別のCavaの楽しみ方を教えて下さい。

A.極辛口のブリュット・ナトゥーレは、アペリティフに飲まれることが一番多いのですが、甘いものにも意外と合いますよ。
お腹にたまるような料理には、ブリュットやセミ・セコ(=セミ・ドライ)を合わせるとよいと思います。
私は、肉料理のときはブリュット・ナトゥーレを、魚料理のときはブリュットを飲むことが多いですね。


Q.日本では今、フランスのシャンパーニュが大変人気ですが、それに対して、スペインのCavaの秘策は?

A.瓶内二次発酵という製法はCavaもシャンパーニュも全く同じです。違うのはぶどうの種類だけで、ワインのクオリティとしてはとてもよく似ていると思います。
"同等のクオリティなのに価格が安い!"という点が、Cavaの優れたポイントです(笑)。著名なヨーロッパ系航空会社のウェイティングルームでも扱っていただいているほど、当社のCavaの品質は保証済みです!


(*1)DO:
Denominacion de Origen(デノミナシオン・デ・オリヘン)の略で、原産地呼称ワインのこと。





ヴァルフォルモサでは、トラディショナルラインからワンランク上のノーブルライン、さらに最上級なセレクションラインと、バラエティ豊かな約40アイテムのワインとCavaのラインナップを持っています。
中でも、ワイナリーのあるペネデスがCavaの生産の中心地であるため、Cavaには特に力を入れているとのこと。

「当社はファミリーによるワイナリー経営をしているので、大量生産のCavaと当社のCavaを同レベルで考えずに飲んでもらいたいですね」と、語るラファエルさん。



今回私がテイスティングしたのは、トラディショナルライン(○)の中から3種類と、ノーブルライン(◎)の中から1種(Carla)の4種。

Vallformosa Brut Nature

Vallformosa Brut

Vallformosa Semi Seco

Vallformosa Carla Grand Reserva Brut




左から「Brut Nature」、「Brut」、「Semi Seco」、「Extra Seco」。

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インタビューを終えて

Cavaは通常は9ヶ月以上の瓶内熟成が必要とされていますが、グラン・レセルバともなると30ヶ月の熟成期間が必要で、ノーブルラインの『Carla』も30ヶ月熟成とのこと。これはさすがに複雑な味わいが楽しめました。

今回、私が特に気に入ったのが、『ブリュット・ナトゥーレ』。
極辛口といいながらも、やさしく、みずみずしい飲み心地で、もちろんこのまま飲んでも美味しく、しかも食事にも合わせやすいタイプだと感じました。料理は、あまり手をかけず、素材の持ち味を生かしたシンプルなものがいいかもしれません。

『ブリュット』、『セミ・セコ』になると、果実の甘味が加わり、ジューシーで心地よい飲み口が楽しめます。


*残念ながら、日本で手に入るのは、『ブリュット』と『セミ・セコ』の2アイテムのみ。『ブリュット・ナトゥーレ』や『Carla』、ラファエルさんが写真で抱えている最高級クラスの『Gala』は、スペインに行かなくては飲めません。
(→後日談ですが、このFOODEXでの評判がよかったので、『ブリュット・ナトゥーレ』が名前を変えて日本に入ってくるというお話を、原稿を書き上げた後に聞きました。楽しみですね!)


確かに"シャンパーニュ"は、その響きだけで私たちを酔わせてくれます。
"カバ"という名はユーモラスで、笑いを誘うかもしれませんが、ぶどうの違いによる個性が楽しめ、クオリティの面でもシャンパーニュにひけを取りません。

さまざまなシチュエーションやシーンに応じて色々なワインを飲み分けるのも、ワインの楽しみ方のひとつ。
コストパフォーマンスに優れたCavaは、あなたの毎日の生活の素敵なパートナーになってくれるかもしれませんよ?


*取材協力:中部貿易(株)
(注:2008年1月に社名を「株式会社アグリ」に変更)



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