「ワイン村.jp」 (社団法人日本ソムリエ協会 オープンサイト)(2004年5月~2008年12月終了)に連載していた「キャッチ The 生産者」(生産者インタビュー記事)を、こちらにアップし直しています。
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。
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(更新日:2004年7月11日)
第3回 Helene Thibon <Mas de Libian>
第3回目のゲストは、フランスはコート・デュ・ローヌのドメーヌ“Mas de Libian”(マス・ド・リビアン)のオーナー、Helene Thibon(エレーヌ・ティボン)さんです。
初めて日本を訪問し、「久しぶりのバケーションを楽しんでます」と屈託なく笑うエレーヌ。若くして(しかも美しい!)ドメーヌを引き継ぎ、現在はご主人のアランと力を合わせ、また、引退したご両親も手伝って、4人でドメーヌを切り盛りしています。
メカニックなことは男性陣が、営業的な面は女性陣が主導権を取りつつも、大事なアッサンブラージュ(*1)などは常に4人で決めているという、とても仲のよいファミリーです。
<Helene Thibon>
1974年12月11日生まれ。血液型はO型。3人姉妹の長女。ハンサムなご主人アランとの間に11歳の男の子がいます。
オフのときも“試飲”をしているという熱心なエレーヌは、植物や花が大好きで、家の庭の手入れが趣味とか。
インタビュー前日には、上野の「ぼたん園」を楽しんできたそうで、日本の「お茶」の木にも興味を持っているという、根っからの植物好き。
現在のラインナップには、下記のワインがあります。(2004年の春時点)
●Vin de Pays Coteau d'Ardeche 2003(Rouge)
● Cotes du Rhone Blanc 2002
●Cotes du Rhone Rouge 2002
●Cotes du Rhone Village 2002(Rouge)
●La Calade 2002(Rouge)
Q.マス・ド・リビアンのあるロケーションは、どんなところですか?
A.南ローヌでのアヴィニョンから北西に車で1時間ほどのところにあります。アルデッシュ県の南の端に位置し、ローヌ河の右岸です。
乾燥した北風、ミストラル(*2)の影響がありますが、冬は比較的暖かく、夏は家の中でも35~40℃になるほどの暑さです。
畑は全部で17haありますが、この地域は赤ワイン用品種がほとんどで、私のところも白用品種は1.5haしか持っていません。
Q.畑には大きな石がゴロゴロしていると聞いたのですが?
A.大きいもので赤ちゃんの頭くらいの丸い石がゴロゴロしています。
この石が日中に受けた太陽の熱を夜間も保ってくれるのです。この石の層はどれくらの深さまであるのかと思い、掘り返してみたことがあるのですが、1mまで掘ったところで諦めました(笑)。数mはあるみたいです。
この石の層の下に粘度層があり、ぶどうの根はそこまで伸びて水分やミネラルを吸い上げています。
こんな土壌なので収穫量は自然と減ってしまい、収穫量は平均して15~30hl/haです。他に粘土石灰土壌の畑もありますが、そちらの収穫量は40hl/haです。
Q.昔からビオロジックでぶどうを栽培していたのですか?
A.1670年から農業をしていましたが、ぶどうだけでなく色々な農作物をつくっていました。その頃はワインは自家用のみでした。しかし、1870年頃にフィロキセラでぶどうは死滅してしまい、その後30年は試行錯誤の時期があったと聞いています。
本格的にワインをつくり始めたのは父の代からで、1970年にカーヴを建て、今に至っています。昔から現在まで、農薬も化学肥料も一切使っていません。
Q.かなり古いぶどうの樹があるということですが、樹齢は平均でどのくらいですか?
A.フィロキセラで死滅した後、1902年に植えられたグルナッシュの樹があります。すでに100年が経っていますが、実はこの樹からのぶどうはそれほど品質が優れているわけではなく、珍しいからブレンドしています(笑)。
白品種でクレレットの樹齢75年の樹がありますが。これは素晴らしいワインになります。
ほかのぶどうの樹齢はバラバラですが、平均すると40年くらいです。
Q.マス・ド・リビアンのワインの特徴、コンセプトは何でしょうか?
A.この土地の土壌と収穫年の特徴を反映させたワインをつくりたいと思っています。また、ワインは飾るものではなく、すぐに楽しく飲めるもの、と考えていますので、自然で、ピュアで、バランスよく、エレガンスを感じさせるものを目指しています。
私が一番愛するぶどうは“グルナッシュ”なのですが、みなさんが思うよりもずっとやわらかでエレガントなワインになります。但し、南のワインですので、少し冷やし気味の16℃以下程度で飲むと、より美味しくいただけると思います。
(*1)
アッサンブラージュ:仕込んだワインを瓶詰め前にブレンドすること。
(*2)
ミストラル:南フランスで、ローヌ河の谷間や海に向かって吹く北(西)風のこと。
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■ インタビューを終えて
今回はエレーヌのご主人のアランも同席してくれたのですが、活発な彼女に対して、アランはとってもシャイで無口。
「彼は口ベタだから、営業的なことは私と母が取り仕切っているのよ(笑)」とエレーヌ。
南仏の太陽のように明るくナチュラルなその姿は、彼女のつくるワインにも現われています。
ふっくらしながらも酸がきゅっと引き締まった白ワイン、濃厚過ぎず、軽快な口当たりなのにタンニンの輪郭がはっきりとしている赤ワインは、いずれも2,000円以下というコストパフォーマンスの良さ!
スペシャル・キュヴェの“ラ・カラード”はさすがにお値段も少々上がるものの、ムールヴェードル主体でアッサンブラージュしているので骨格がしっかりとし、果実味と旨味の乗った逸品でした。
ローヌは強すぎて、ちょっと…という方でも、マス・ド・リビアンのワインを飲むと、きっとローヌ好きになること間違いなしですよ!
(輸入元:ソレイユ・テルクール)
(取材協力:クラブ・パッション・デュ・ヴァン)
よって、現在はインタビュー当時と異なる内容があることをご了承ください。
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(更新日:2004年7月11日)
第3回 Helene Thibon <Mas de Libian>
第3回目のゲストは、フランスはコート・デュ・ローヌのドメーヌ“Mas de Libian”(マス・ド・リビアン)のオーナー、Helene Thibon(エレーヌ・ティボン)さんです。
初めて日本を訪問し、「久しぶりのバケーションを楽しんでます」と屈託なく笑うエレーヌ。若くして(しかも美しい!)ドメーヌを引き継ぎ、現在はご主人のアランと力を合わせ、また、引退したご両親も手伝って、4人でドメーヌを切り盛りしています。
メカニックなことは男性陣が、営業的な面は女性陣が主導権を取りつつも、大事なアッサンブラージュ(*1)などは常に4人で決めているという、とても仲のよいファミリーです。
<Helene Thibon>
1974年12月11日生まれ。血液型はO型。3人姉妹の長女。ハンサムなご主人アランとの間に11歳の男の子がいます。
オフのときも“試飲”をしているという熱心なエレーヌは、植物や花が大好きで、家の庭の手入れが趣味とか。
インタビュー前日には、上野の「ぼたん園」を楽しんできたそうで、日本の「お茶」の木にも興味を持っているという、根っからの植物好き。
現在のラインナップには、下記のワインがあります。(2004年の春時点)
●Vin de Pays Coteau d'Ardeche 2003(Rouge)
● Cotes du Rhone Blanc 2002
●Cotes du Rhone Rouge 2002
●Cotes du Rhone Village 2002(Rouge)
●La Calade 2002(Rouge)
Q.マス・ド・リビアンのあるロケーションは、どんなところですか?
A.南ローヌでのアヴィニョンから北西に車で1時間ほどのところにあります。アルデッシュ県の南の端に位置し、ローヌ河の右岸です。
乾燥した北風、ミストラル(*2)の影響がありますが、冬は比較的暖かく、夏は家の中でも35~40℃になるほどの暑さです。
畑は全部で17haありますが、この地域は赤ワイン用品種がほとんどで、私のところも白用品種は1.5haしか持っていません。
Q.畑には大きな石がゴロゴロしていると聞いたのですが?
A.大きいもので赤ちゃんの頭くらいの丸い石がゴロゴロしています。
この石が日中に受けた太陽の熱を夜間も保ってくれるのです。この石の層はどれくらの深さまであるのかと思い、掘り返してみたことがあるのですが、1mまで掘ったところで諦めました(笑)。数mはあるみたいです。
この石の層の下に粘度層があり、ぶどうの根はそこまで伸びて水分やミネラルを吸い上げています。
こんな土壌なので収穫量は自然と減ってしまい、収穫量は平均して15~30hl/haです。他に粘土石灰土壌の畑もありますが、そちらの収穫量は40hl/haです。
Q.昔からビオロジックでぶどうを栽培していたのですか?
A.1670年から農業をしていましたが、ぶどうだけでなく色々な農作物をつくっていました。その頃はワインは自家用のみでした。しかし、1870年頃にフィロキセラでぶどうは死滅してしまい、その後30年は試行錯誤の時期があったと聞いています。
本格的にワインをつくり始めたのは父の代からで、1970年にカーヴを建て、今に至っています。昔から現在まで、農薬も化学肥料も一切使っていません。
Q.かなり古いぶどうの樹があるということですが、樹齢は平均でどのくらいですか?
A.フィロキセラで死滅した後、1902年に植えられたグルナッシュの樹があります。すでに100年が経っていますが、実はこの樹からのぶどうはそれほど品質が優れているわけではなく、珍しいからブレンドしています(笑)。
白品種でクレレットの樹齢75年の樹がありますが。これは素晴らしいワインになります。
ほかのぶどうの樹齢はバラバラですが、平均すると40年くらいです。
Q.マス・ド・リビアンのワインの特徴、コンセプトは何でしょうか?
A.この土地の土壌と収穫年の特徴を反映させたワインをつくりたいと思っています。また、ワインは飾るものではなく、すぐに楽しく飲めるもの、と考えていますので、自然で、ピュアで、バランスよく、エレガンスを感じさせるものを目指しています。
私が一番愛するぶどうは“グルナッシュ”なのですが、みなさんが思うよりもずっとやわらかでエレガントなワインになります。但し、南のワインですので、少し冷やし気味の16℃以下程度で飲むと、より美味しくいただけると思います。
(*1)
アッサンブラージュ:仕込んだワインを瓶詰め前にブレンドすること。
(*2)
ミストラル:南フランスで、ローヌ河の谷間や海に向かって吹く北(西)風のこと。
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■ インタビューを終えて
今回はエレーヌのご主人のアランも同席してくれたのですが、活発な彼女に対して、アランはとってもシャイで無口。
「彼は口ベタだから、営業的なことは私と母が取り仕切っているのよ(笑)」とエレーヌ。
南仏の太陽のように明るくナチュラルなその姿は、彼女のつくるワインにも現われています。
ふっくらしながらも酸がきゅっと引き締まった白ワイン、濃厚過ぎず、軽快な口当たりなのにタンニンの輪郭がはっきりとしている赤ワインは、いずれも2,000円以下というコストパフォーマンスの良さ!
スペシャル・キュヴェの“ラ・カラード”はさすがにお値段も少々上がるものの、ムールヴェードル主体でアッサンブラージュしているので骨格がしっかりとし、果実味と旨味の乗った逸品でした。
ローヌは強すぎて、ちょっと…という方でも、マス・ド・リビアンのワインを飲むと、きっとローヌ好きになること間違いなしですよ!
(輸入元:ソレイユ・テルクール)
(取材協力:クラブ・パッション・デュ・ヴァン)
「キャッチThe生産者」の終了残念ですが、これを機会に過去を振り返るのも新しい読者としては悪くないかな。
新しいコンテンツ楽しみにしております。
こんな美人がつくっていると思うと、余計においしく感じるかもしれません(笑)