今週、都内で
自然派ワインの試飲会 がありました。
オーガニックやビオロジック、ビオディナミをはじめ、ケミカルなものを極力使用せずにつくられたワインが集められた試飲会です。
この試飲会は数年前から開催されていますが、「今回はこれまでで最も多い来場者になった」と主催者より聞きました。
来場者が過去最高ということは、
どんどん注目されてきている、ということです。
また、来場者の中には20代の
若い人の姿も目立ちます。
若い世代にとって、自然派ワインは、ワインを飲み始めた頃からすでに存在していたジャンルであるため、特に意識せずにスーッと、それこそ自然に受け入れられているのでしょうか。
さて、自然派ワインの現在ですが、
自然派ワインの三大産地は相変わらず、
ボジョレー、ロワール、ラングドック です。
どの産地でも
新しい生産者が増えてきており、特にボジョレーは
若手生産者の活躍が目覚ましいようです。
ボジョレー といえば、我々日本人には“ボジョレー・ヌーヴォー”のイメージが強く、新酒の味わいや、大手生産者の名前が強く印象に残る産地ですよね?
でも、そればっかりじゃありません。
Beaujolais Cuvee GIGI 2010 Georges Descombes
(輸入元:テラヴェール、希望小売価格:2300円)
故マルセル・ラピエールとも親交が深かった
ジョルジュ・デコンブのエントリーレベルのワインです。発酵は二酸化炭素を加えないセミ・マセラシオン・カルボニックで、天然酵母で自然発酵させています。
果実味がキレイで、すーっと自然に入り、ほどよい飲みごたえ、うまみがあり、素直においしい~と思えるワインです。エチケットもワインの名前(ジジ:奥様の愛称だそう)もキュートで楽しい!
このつくり手の本拠地は
モルゴンにあります。畑の標高が高いため昼夜の温度差が大きいこと、砂利や砂が混じるやせた花崗岩土壌であるため雑草が生えにくく、除草剤が不要なことが、よいぶどうの収穫に繋がっているようです。
クリュ・ボジョレーのモルゴン、ブルイイも試飲しましたが、モルゴンはパワフル!ブルイイはグッドバランス!(各2800円)
樹齢の高いモルゴンVV(50~100年)、ブルイイVV(平均50年)もあり、複雑味や安定感が加わります(各3800円)
私がつい最近、別の仕事で飲んだクリュ・ボジョレーも、とんでもなく美味でした。
こうしたワインを飲んでもらうと、ボジョレーの認識が大きく変わるはずなんですけどね。
さて、次は個人的に大好きな
ロワール から紹介します。
Fee des Bulles NV Sablonnettes
(輸入元:イーストライン La Vigne、小売価格:2700円 税抜)
シュナン・ブラン100%の白の微発泡ワインで、“フェー・デ・ビュル”は“泡の妖精”の意味。
シュナンの個性をしっかり感じ、豊かな果実味のやさしい味わい&軽やかな泡にほっと癒されます。これはもう、何も考えずにゆるゆる飲みたいです。
サブロネット は、レイヨン地区ラブレイ村で3代目になるつくり手。
1996年にビオ栽培の認定を受け、2001年からビオディナミに移行しています。
左)
Julien Courtois Originel 2009 右)
Julien Courtois 100% 2009
(輸入元:イーストライン La Vigne、小売価格:各3380円 税抜)
左がムニュー・ピノの白、右がガメイ100%の赤で、どちらもVin de Table。
旨味系のワインです。エチケットも目を惹きます。
ロワールの自然派生産者である父のクロード・クルトワの元でワインづくりを学び、1998年から自身のワインをリリースした
ジュリアン・クルトワ(ワイン担当)と、モーリシャス出身のアーティストであるマダム(エチケット)の合作です。
左)
La Boheme 2010 右)
La Folle Blanche 2009 Domaine de la Senechaliere
(輸入元:エスポア、希望小売価格:2360円、2400円)
私の大好きな
セネシャリエール(ミュスカデ)から、白を2本紹介します。
どちらもVin de Table。現当主は4代目のマルク・ペノ氏。彼は2004年の途中からすべてのワインをVdTでリリースしています。
“ラ・ボエーム”はムロン・ド・ブルゴーニュ(ミュスカデ種)100%。
ソフトな口当たりで、やさし~い味わいの癒し系。
“ラ・フォル・ブランシュ”はフォル・ブランシュ(グロ・ブラン種)100%。
ミネラルと酸のキレがキリリとしています。生ガキと一緒に楽しみたいですね~
お次は
ラングドックを含む 南の地域 から。
左)
Cuvee Savagine 2011 Paul Reder 右)
Les Sens de Fruit 2011 Cateau Jonc-Blanc
左)(輸入元:エスポア、小売価格:2340円)
右)(輸入元:イーストライン La Vigne、小売価格:2000円 税抜)
“ソヴァジーヌ”は、白ワインしかつくらない
ラングドック の
ポール・ルデ が、グルナッシュ・ブラン75%+ロール25%でつくったAOC Coteaux du Languedoc。
赤ワインがメインの産地ラングドックにおいて、白ワインのみ!という心意気が嬉しいですよね。果実味、ミネラル、酸、旨味のバランスがよく、食事に寄り添うタイプです。
“レ・サンス・デ・フリュイ”は、
南西地方 のVin de France。ソーヴィニヨン・ブラン50%+ソーヴィニヨン・グリ50%でつくられ、果実のほんのりした甘さが心地よい白ワインです。カジュアルな食事に気軽に合わせられそう。
シャトー・ジョンブラン は2000年からスタートした新しいつくり手です。
左)
Juste Ciel 右)
Trinquette La Petite Baigneuse
(輸入元:エスポア、小売価格:3400円、2800円)
水着姿の女性がワイングラスを持っている姿のエチケットが目を惹きます。
ラ・プティット・べニューズ は、アルザス出身のオーナーが、
ルション地方モーリィ村に立ち上げたドメーヌ。
“ジュスト・シエル”(=まさに空だけ!)は、グルナッシュ・グリを使用した、Vin de Tableの 白ワインで、“トランケット”(Trinquer:乾杯する、の造語)は、グルナッシュ60%+カリニャン40%のAOC Maury Sec、辛口赤ワインです。
モーリィは赤の天然甘口ワインの産地。土壌はシスト。
この地の白ワインや赤の辛口ワインは少なく、非常に興味深いもの。
白のシエルはミネラル系、赤のトランケットは明るいカラーで、味わいも軽やかでデリケート。オーナーがアルザス出身というのが、これらを飲んで納得しました。
試飲会場で、輸入元の方に話を聞いたところ、
「さまざまな技術の向上で、安心して飲めるワインが増えてきている」とのこと。
自然派ワインというと、独特の還元臭や微妙な風味などがあり、また、傷みやすい状態のものがあったり、広く受け入れられるワインかどうか?という疑問点が過去にはありました。
が、今は情報や経験の積み重ねにより、健全で安心して飲めるワインがつくれるようになってきたというのですから、飲む側はもちろん、ワインを販売するショップや飲食店にとっても、客からの苦情が減るわけですから、ありがたいことですよね。
自然派だからいい、自然派じゃないからよくない、と単純に決めつけるのではなく、まずはワインの味をみましょう。自然派とうたっていても、飲むに堪えないワインもあるかもしれませんし、ね?
あ~、それにしても、自然派ワイン、本当に増えてきました!
少ししか紹介できないのが残念です。