先日、
アンドレ・リュルトン氏(Andre Lurton)が来日された際に、ご一緒する機会がありました。
アンドレ・リュルトンといえば、ボルドーにいくつものシャトーを所有し、
その名を知らない者はいないほど著名な人物。
また、
「リュルトン家」もワインビジネスに広くかかわり、
一族でどれだけのシャトーを持っているんでしょ?と、数え切れないほどです。
そんなリュルトン家の頂点に立つ存在が、アンドレ・リュルトン氏です。
お年は?と訊ねると、
「
82歳、えー、84歳だったかな?」と、なんともあやふやですが
とにかく、“いいお年”なのは間違いなく、足が少し弱ってきているというものの、
とてもお元気な様子のアンドレ氏。
お肌の色艶がいいのはワインのおかげ?
今回は、所有するシャトーのひとつ、
シャトー・ラ・ルヴィエール(Ch. La Louviere)が
日本の輸入業者(中部貿易株式会社)と日本における独占販売契約を締結するために来日。
ボルドーワインはネゴシアン(ワイン商)による取引が主体で、
ワインはまずネゴシアンに引き渡され、ネゴシアンから卸売り業者や小売店などに販売されます。
ですが、インターネットの発達などにより、近年の
販売形態の変化に伴う競争が激化し、卸売業者や小売店の利益の確保が難しくなってきています。
そこで、適正な利益の確保を目指し、ネゴシアンを介さない
販売代理店制(中部貿易が販売代理店ということですね)を採ることになったわけです。
で、当のシャトー・ラ・ルヴィエールとはどんなワインなんでしょ?
アンドレ氏は、
「1965年、このシャトーを発見した時、本当に
ひとめぼれしてしまいました
服はボロボロだけど、きれいな女性だということがすぐにわかるみたいにね。
畑は30haありましたが、きちんと手を入れてあげなければならない状態で、辛い作業でした。
建物は内装からすべて作り直さなければなりませんでしたが、
今ではフランスの歴史的建造物に指定されているほどです」と言います。
シャトーはボルドーの
ペサック・レオニャンにあり、
白ワイン、赤ワインとも生産していますが、
飲ませていただいた中では、
白の「Ch. La Louviere 2004」が特に素晴らしく、
コクのあるボディと酸味のバランスがよく取れていました
Ch. La Louviere 2004 Blanc
「土壌、畑をどう育てていくか?
収穫のタイミングはいつにしようか?
醸造をどうするか?
ワインの品質をどれだけ向上させることができるだろうか?
ということをいつも考えてきました」 と語るアンドレ氏。
現在、ボルドーのグラーヴ地区の北部は「ペサック・レオニャン」(Pessac-Leognan)
というAOC名が付けられるようになっていますが、
「グラーヴ北部で土壌が例外的に素晴らしいところを発見し、
独立したアペラシオン(AOC)をINAOに要求したのも、実は私なんです」とアンドレ氏。
その結果、
1987年に「AOCペサック・レオニャン」が承認され、
1986年のワインから名乗れるようになったとのこと。
素晴らしいです、アンドレさん!
現在、グラーヴ地区の優れた16のワインに
“クリュ・クラッセ”という格付けが与えられていますが、
そのすべてがペサック・レオニャンに集中しているとのこと。
アンドレさんの
シャトー・ラ・ルヴィエールはクリュ・クラッセではありませんが、
次に格付け改定が行われれば、クリュ・クラッセに入ってくるトップ候補とも目されています。
今のうちに、要チェックすべきシャトーですよ!
アンドレさん、今回はありがとうございます。
またぜひ日本にいらして下さいね~