3月の大震災の直前に、素晴らしいお誘いを知人からいただきました。
それは、
1900年 を含む シャトー・マルゴー の垂直飲み比べ
会費の点から少し悩みましたが、いや、これはもう二度とない機会ということで、シャトー・マルゴー4ヴィンテージの会に参加してきました。
シャトー・マルゴーはボルドーのメドック地区マルゴー村のシャトーで、記録に残っている最初のヴィンテージは1771年とされています。1855年のメドック格付け以来“1級”を守ってきました。
ワインはカベルネ・ソーヴィニヨン主体で、特に90年代半ば以降はカベルネの比率が上がり、メルロが下がってきています。
(2010年はカベルネ・ソーヴィニヨン90%、メルロ7%、カベルネ・フランとプティ・ヴェルド各1.5%)
また、1998年からは樽の洗い方を変えたため、味わいにいい影響を与えた、と言われています。
Chateau Margaux 1988 1982 1978 1900
今回は、上記4ヴィンテージを垂直で楽しみました。
4ヴィンテージともソムリエの手で慎重にデカンタージュ
1988
なめし革のニュアンスが感じられますが、まだまだ全然若い!
タッチは軽快で、バランスとしては今の段階では酸味が目立っていました。
もう少し寝かせておき、変化を楽しんでみたいと思いました。
1982
20世紀後半の中で、1961年に次ぐ傑出した年といわれています。
まだ早いかも?と思っていましたが、ちょうどいいひとつの飲み頃になっていました。
なめらかでやさしいタッチで、なめし革の中に甘みを感じます。エレガントで余韻が長く、バランスも非常によく、完成されたおいしさがありました。
1978
クラシカルでタンニンが強く長期熟成の能力を持つが、すでに飲み頃になっているワインが多い1978年ですが、このマルゴーはまだまだ熟成しそうです。
非常に色が濃く、黒紫色をしています。3つのワインの外観だけ見ると、これが一番古いとは思えません。味わいにも若々しさがありました。
タバコっぽいスモーキーさがあり、複雑な風味を持っています。
左から 1978 1982 1988
1978年の濃厚な色には驚きました。
Chateau Margaux 1900
さて、1900年。
1世紀以上が過ぎ、果たしてどんな状態になっているのか?
(1999年にリコルクされていました)
生きていました!しかも健全な状態で!
キノコを思わせる、熟成したワインならではの風味があり、香りだけでもううっとり。
口にすると、しなやかで甘い!
複雑な旨味があり、じんわり滋味。
まだまだ生き永らえそうな生命力を感じました。
1900年(左)と1978年(右) ―1900年の色はさすがに淡くなってきます
エチケットデザインも変わってきています
下に書かれた 「Barton & Guestiere」 は
ネゴシアンの名前。
当事はネゴシアンで瓶詰めされることもあったのです。
(Barton & Guestiere は現在ディアジオの傘下)
シャトー・マルゴーは日本でも非常に人気のあるワインですが、実は、私はおいしいと思えたマルゴーに出会ったことがありませんでした(飲む機会が数少なかったこともありますが)
そのため、自分から進んでシャトー・マルゴーを飲みたい!と思ったことがなかったのですが、今回はその考えを改めなければいけない出会いとなりました。
もちろん、史上最高と評価された1900年のような年を飲むことはこの先もうないかもしれませんが、また別の機会での新たな出会いを楽しみにしたいと思っています。
お誘いくださったSさん、ワインをご用意くださったMさん、ありがとうございました。