まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第29番「宝山寺」~近畿三十六不動めぐり・28(聖地を目指す電車とケーブルカーと石段と)

2018年12月18日 | 近畿三十六不動
今年も残すところ10日あまり。世間では「平成最後の年越し」というムードが少しずつ高まっている。

そんな中での近畿三十六不動めぐりは、生駒山の中腹にある宝山寺。十何年か前の正月に一度参詣したことがあるのだが、その時は友人と一緒に橿原神宮、三輪神社、宝山寺、枚岡神社を1日で回るという結構ハードなものだった。

その宝山寺は不動明王を本尊とするが、宝山寺というよりは「生駒聖天」という呼び名のほうが知られているように思う。なお「聖天」とは歓喜天の愛称であり、災難よけ、財運、夫婦和合、子宝というところのご利益があるとされ、企業の商売繁盛の祈祷も行われている。

宝山寺に行くにはまず近鉄奈良線に乗る。生駒山の西を少しずつ上り、生駒トンネルに入る。この生駒トンネルは1964年開通の2代目で、その前身は1914年、近鉄の前身である大阪電気軌道により建設された。当時は難工事で、岩盤の崩落事故で多数の死傷者も出したが何とか開通。しかし、当初の見込みよりも費用がかかりすぎたことから、開通当初は社員の給与の支払いや、切符の印刷代にも事欠くという事態が起こった。そこで大軌のトップが宝山寺に頭を下げて、宝山寺のお賽銭の支援をお願いした。宝山寺はこれを受け入れ、その代わりに寺の下までケーブルカーを敷いてもらった。これは一部都市伝説のようなところもあるようだが、宝山寺が広く信仰を集めていることの現れと言える。現に生駒トンネルの開通で大阪~奈良間の時間が大きく縮まり、生駒や学園前など、近鉄の中でも1、2を争うベッドタウンができたことは事実である。

現在は大阪メトロ中央線~近鉄けいはんな線もある生駒に到着。駅前を抜けてケーブルカーの鳥居前駅に向かう。鳥居前・・・といっても周りに鳥居は見えない。かつては宝山寺の鳥居があったそうだが、駅前の開発にともない寺の前に移されたのだとか。まあ、ここから宝山寺まで歩いて歩けない距離でもないようだし、四国八十八所の札所なら間違いなく歩かされるくらいの距離に思われる。

生駒ケーブルカーといえば「ブル」と「ミケ」という、それぞれ犬と猫をあしらったデザインの車両で知られる。ただこの日はお休みのようで、「ブル」は宝山寺で、「ミケ」は鳥居前で待機状態。稼働するのは従来型の車両である。ケーブルカーは単線で、その中間点ですれ違う仕組みなのだが、生駒のケーブルカーは複線で、片方が従来型、もう片方が「ブル」と「ミケ」がすれ違う仕組みである。どうやら客の多い時期に「ブル」と「ミケ」が稼働するようだ。

両側に住宅やマンションが並ぶ中を走り、5分ほどで宝山寺に到着。この先生駒山上に乗り継ぐケーブルカーも待機しているが、この日は生駒山上遊園地も休園とある。そんな日にこの区間に乗る人はいるのだろうか。

駅から寺までは徒歩10分ほどとあり、そのほとんどは石段である。寺への参道が石段というのは一種風情のあるところ。両側には旅館や食堂が軒を連ねているが、寺の参道によくあるように盛んに呼び込みをするという光景はない。

その筋の方には有名なのだが、宝山寺への参道で営む旅館というのは、多くは「料理旅館」という名のいわゆる「ちょんの間」なのだという。(ここからは伝聞として)そうしたスペースといえば大阪なら飛田新地が有名だが、生駒の宝山寺新地も歴史があるそうだ。飛田のように店の軒先にサンプルのように着飾った若い女性が座っていて婆さんが呼び込みをするわけでもなく、女性の数も少なく平均年齢も高いそうだが、普通の旅館のように一緒に「宿泊」も可能だとか。まあ、その辺りは体験談を書いたネット記事もたくさんあるのでそちらを参照いただいて・・・。

石段を上がると両側に灯籠が並び、正面に石造の鳥居がある。真新しいしめ縄が張られ、鳥居の下では掃き掃除をする人たちがいる。この日(12月16日)は宝山寺としては聖天(歓喜天)の縁日であり、正月を前に新たなしめ縄を張る日だそうだ。朝方に法要が行われ、最後に紙の散華を撒いたそうで、掃き掃除はその片付けである。

広い駐車場があり、その奥に拝殿がある。クルマの交通安全祈願はここで執り行うそうだ。ここまでクルマで上がる参詣者も多いのだろう。梅田や天王寺の歩道橋に立ってそうな托鉢姿の人もいれば、山門の手前で不動明王の真言をひたすら唱える僧侶姿の人もいる。

さていつもながら前置きが長くなったが、これから宝山寺の境内に向かう・・・。
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