まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

被災地復興を見る~三陸鉄道・復路、おばんです大船渡

2019年09月10日 | 旅行記B・東北

久慈12時08分発の宮古行きは2両編成で出発する。名物「うに弁当」とビールが胃袋に収まってとりあえずは落ち着く。

陸中野田に到着。駅舎は地元の観光物産館やレストランが入る建物となっており、ちょうど食事中の客たちが列車に向かって手を振ってくる。

天候の変化は激しいようで、野田玉川から海岸線に出ると、往路では濃い霧状態だったのだが今度は青空が広がっている。安家川橋梁から見る景色も先ほどとは対照的だ。ここで一時停車のサービスがあり、撮影タイムとなる。

堀内を挟んで大沢橋梁でももう一度一時停車する。この辺りが三陸鉄道でもっとも海の景色を楽しめるところである。夏でも霧と晴れが交互に繰り返される天候というのも三陸の一つの表情である。

島越に着く。今度は駅前の慰霊碑もはっきりと見える。北リアス線の区間は明治の三陸大津波を踏まえてルートが計画され、路線の多くがトンネルだったこともあって東日本大震災のダメージは最小限で済んだとされているが、それでも島越や田老では大きな被害となった。今日は気動車で通過するだけだが、翌日16日は再びレンタカーで移動するため、こうしたところも立ち寄っていくことにする。

行きよりも時間が短いように感じられ、13時54分に宮古に到着。乗り継ぐのは14時13分発の盛行きだが、改札口を出ずにそのままホームの前方に停車中の列車に乗り継ぐ。お盆期間中ということもあってか乗客も多く、席取り合戦となる。

宮古から盛までは2時間ほどの行程である。時間帯が時間帯なので途中でウトウトした区間があったり、また窓ガラスが曇ってきたりということで淡々と進んでいたように思う。気がつけば盛に到着したような感じである。16時35分着。

盛から1駅だけBRTに乗車する。いったんJR駅に向かい、券売機で大船渡までの乗車券を購入する。みどりの窓口もあるし、ここだけを見ればJRの鉄道と変わるところはない。次の便は16時55分発の陸前矢作行きである。BRTの大船渡線は盛~気仙沼間を運行しているが、途中の陸前高田で気仙沼方面と陸前矢作行きにルートが分かれる。元の大船渡線の線路に沿うならば陸前矢作行きのほうが忠実だが、町の復興計画で市街地の場所も変わったこともあり、気仙沼へは新たなルートができた形である。陸前高田~陸前矢作が大船渡線の支線のような形になっている。

同じホームでの列車とバスの乗り換えとなり、旅行者や地元の人でバスの席もほどよく埋まる。5分走って大船渡に着くとそこそこの下車があった。

さて、14日に続いて大船渡プラザホテルに泊まる。夜は地元の味を求めての居酒屋めぐりかというところだが、この夜は部屋でゆっくりと飲むことにした。そのネタだけ買い求めることにして、隣接するキャッセン大船渡にある地元スーパーのマイヤに向かう。

「キャッセン」というのは、「いらっしゃい」「来てね」を意味する地元言葉の「来ゃっせん」から取られたそうである。マイヤは岩手県~宮城県に19店舗を展開しているが、本社は大船渡にあり、キャッセン大船渡内にある店は言わば本店の位置付けである今は1階建ての広く感じる店舗だが、元は5階建てだったという。震災の津波では3階まで浸水し、従業員や住民数十人が屋上に避難した。4階の売り場にお菓子があったので、それを近くのプラザホテルの屋上に避難していた人に分けるなどして救出を待ったという話もある。幸い、大船渡市内でも内陸にあった店舗が無事だったので、そこにスーパーのネットワークで供給された商品を集め、地元の食のライフラインを支えることもあった。

ホテルで自炊はできないので刺身の盛り合わせとか惣菜などが中心になるが、地酒もしっかり置いている。300mlを何種類か買う。このサイズなら、飲みきれなくても持ち帰りは容易だ。

部屋に戻ると夕方のNHKの岩手ローカルニュースの時間で、その名も「おばんです いわて」。冒頭でアナウンサーが「おばんです」と挨拶するのにおおっと反応する。

県内ニュースがいろいろ伝えられる中で、今回訪ねた、通ったところの話題には目が行く。前夜の8月14日は陸前高田で「改元記念 まちかど盆踊り」というのが開かれたそうで(前日通ったが全く気づかなかった)、その賑わいがレポートされていた。合わせて浴衣コンテストがあり、震災後に陸前高田に嫁いできたという女性の声も紹介されていた。

また、岩手県の一部では例年この時季に成人式を行うそうである。その様子として、南部地区の八幡平市と、三陸の田野畑村の成人式が紹介されていた。田野畑村では遊覧船にも乗っていたし、現在復興工事に従事しているというちょっとやんちゃな感じのお兄さんも真面目に新成人の抱負を語っていた。こうしたニュースも地元局ならではで面白い。

もっとも、旅先でこの時間といえば郷土料理を楽しみに居酒屋にいることがほとんどで、そのぶんこの日夕方のローカルニュースが新鮮に映ったのも事実である。

ニュースの最後は天気予報。台風10号がこの日中国地方に上陸してそのまま日本海に抜けるが、東北は翌日16日は雨風に注意とある。岩手県は進路から外れているが、台風から離れたところも間接的な影響があるそうだ。その後の全国ニュースでは台風の西日本への影響や、山陽新幹線をはじめとした計画運休を中心に取り上げていた。現地はもちろん大混乱だっただろうが、案内が早かったためか、利用客も早めの行動を取って極端なことにはならなかった模様である。

それはそれとして、16日は岩手県内も雨風が強まる予報である。16日の宿泊は普代村の黒崎から別の場所に変更している。それがどこかは改めて触れるとして、いずれにしても長いドライブになる。デスクの上も片付いたので早めに寝ることにする・・・。

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