まつなる的雑文~光輝く明日に向かえ

まつなる兄さんのよしなしごと、旅歩き、野球、寺社巡りを書きます。頼りなく豊かなこの国に、何を賭け、何を夢見よう?

第32番「観音正寺」~西国三十三所めぐり2巡目・29(西国めぐりとBCリーグ観戦のコラボ・その2)

2018年09月05日 | 西国三十三所
6勝22敗3分、勝率2割1分4厘。9月1日終了時点での、BCリーグ・滋賀ユナイテッドの2018年後期戦績である。もちろん、前期に続いて後期も西地区のダントツの最下位。8月には今季指揮を執った元ジャイアンツの松本匡史監督が休養(理由は体調不良)する事態となった。シーズン途中も他球団のトレードや新加入で戦力の入れ替えを行っているが、なかなか結果に結びつかない。

そんな中、9月2日に湖東スタジアムにて栃木ゴールデンブレーブス戦が行われる。以前の記事でも書いたが、栃木には今季ジャイアンツから入団した村田修一が在籍しており、先日「引退」を発表したところだ。特に村田のファンというわけではないが、栃木球団が滋賀まで遠征するのは年に1試合だけのことだし、湖東スタジアムにもこれまで行ったことがない。青春18きっぷも残っているから出かけることにする。

湖東スタジアムへのアクセスは、近江鉄道の八日市駅から東近江市のコミュニティバスで20分ほどとある。八日市へは近江八幡から近江鉄道で行くことになる。

ただ、大阪から直接湖東スタジアムに向かってもいいのだが、せっかくなのでタイトルにあるように西国三十三所めぐりを組み合わせたい。西国2巡目も残り6ヶ所となったが、その中の一つに32番の観音正寺がある。先般、31番の近江八幡の長命寺参詣と組み合わせて甲賀スタジアムでの滋賀ユナイテッドの試合を観戦したのだが、今回観音正寺を同じように組み合わせてみよう。湖東スタジアムも観音正寺もエリアは離れているが同じ東近江市ということでちょうどよい。

観音正寺は繖山の頂上近くに建つ。戦国時代に存在した観音寺城の一部でもあった。前回訪ねた時は、安土で下車して4キロほど歩いた後、石寺楽市から1200段ある表参道を上って到着し、帰りは桑實寺を経由して安土駅に戻った。今回は湖東スタジアムへ向かう時間も考慮して裏参道ルートで行くことにする。裏参道ルートというが、公共交通機関で行く場合は、能登川駅から八日市駅へ向かう近江バスの観音寺口から向かうことができる。まあ、繖山に上ることには変わりないのだが、能登川~観音寺口~観音正寺(繖山)~観音寺口~八日市~湖東スタジアムというルートがつながる。

というルート決めで、大阪6時21分発の快速に乗って7時47分に能登川に到着する。バスは2分前に出たばかりで、次は8時15分発である。数人の客とともに発車する。

バスは金堂、ぷらざ三方よしという停留所を過ぎる。ここは近江商人ゆかりの五個荘の一角である。時間の関係で通過するがいずれまた訪ねてみたいところである。

能登川から12分ほどで観音寺口に到着。バス停には黒板が掛けられていて、地元の人たちが寄せた俳句が記されている。「水不足苦労のあとか稲穂たれ」「新米のとれて我が子に宅急便」・・猛暑や豪雨、台風に見舞われた長い夏だったが、一方ではこうした秋の気配も少しずつやって来ていることがうかがえる。

バス停から集落を抜けると結(むすび)神社というのに出る。祭神は誉田別尊で、創建年代は詳らかではないとしながらも、古く壬申の乱の時には天智天皇、天武天皇の皇子たちが乱を避けてこの地にやって来て勧請したと伝えられる。特に観音正寺と神仏習合のつながりがあるわけでもなさそうだ。

その境内の一角に「観音正寺参道」の標識がある。これより13丁だからおよそ1.4キロの山道である。獣除けのフェンスを手で開けて参道に入る。セミの音が賑やかである。

「裏」参道とはいえ観音正寺への公共交通機関でのルートとして案内されているから通る人もそれなりにはいるのだろうが、階段には落ち葉も散乱している。また何ヶ所か倒木もある。先日の台風20号のものか、あるいはそれ以前の大雨や強風で倒れたのがそのままになっているのか。そんなところもあるが、道としてはむちゃくちゃ急勾配というほどでもない。

途中に設けられたベンチに着く。そこからは五個荘の町並みも展望できる。山上りの途中にちょっとした休憩ポイントである。

早くも汗が噴き出る中、前をゆっくり歩いていた男性一人を追い越して、結神社から30分あまりで幅の広い道に出た。裏参道側の駐車場から続いており、寺に勤める人たちのクルマでの通勤道である。ここからはなだらかな道が続いていてホッとする。以前に表参道から来た時は最後の石段が特にきつかった印象があったので。その時に石段の手すりに掛けられていた「言葉」が、裏参道の脇にも立てられている。それらをカウントダウン方式で読んでいく。標高が上がったためか、ここまで来るとセミの鳴き声もほとんどなくなった。風が通ると幾分か涼しさを感じる。

またこちらからだと奥の院の前を通る。鳥居があり、その奥には巨大な岩がそびえる。これは繖山の神である磐座を祀っている。となると、観音正寺も神仏習合の歴史があったのかなかったのか。

上り始めてから40分ほどで表参道と合流し、境内に到着する。観音正寺には山門はなく、露天に仁王像が並んでのお出迎え。合わせて観音正寺を開いたとされる聖徳太子像もお出迎えである。ここまで歩いてきたのでまずは休憩する。といっても少しは風が通るし、8月中旬のような35度超の猛暑というほどでもない。先般四国を歩いた時のようなノックアウト感もない。

正面の奥にある本堂に上がる。2004年に再建された新しい建物で、本尊はインドから特別に輸入された白檀で造った千手観音像である。板の間の外陣に上がり、お勤めとする。

先達用の納経帳に朱印をいただく。境内からは麓を見下ろすことができ、ちょうど東海道新幹線が走るのも見える。16両編成といえば地上で間近に見ると長く感じるが、山の上から見るとミニチュアである。他にも日本百観音のお砂踏みや、聖徳太子堂、護摩堂が並ぶ。

次のバスの時間を考慮するとあまりゆっくりもしていられず、下山することにする。上りで40分で、下りは多少慎重に歩を進めることになるとしても同じくらいの時間見ておけばよいか。再び裏参道コースを通る。今度は何人か上ってくる人の姿を見る。この人たちもバスでやって来たか、あるいは駐車料金を惜しんで下のどこかに停めて歩いて上がって来たか。下りとなるとどこに足を着地させるかも考えながらだし、落ち葉で足を滑らさないようにも注意することになるので慎重になるが、35分ほどで麓の結神社まで戻ってきた。

次のバスは10時28分発。こちらに乗車して八日市駅に到着する。次のコミュニティバスは11時20分発である。その前の便が9時54分発で、観音正寺に行かなければこの便で早くに湖東スタジアムに向かうことができるが、11時20分発でも十分だろう。30分近く時間があるので駅前のアルプラザで昼用の飲食物を仕入れ、ロータリーに戻る・・・。
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