ロスト・バケーション/ジャウム・コレット・セラ監督
バカンスで外国の美しい入り江にやってきた医学生の女性が、得意のサーフィンを楽しんでいたところ、足に激しい衝撃を受ける。なんとか近くの岩礁に上がって確認してみると、サメに襲われて大きな傷を負ってしまったようなのだ。岩礁から岸まではそれなりに遠い。岩礁の周りを悠然と大きなサメが泳いでいる。まさに絶体絶命で、岸にはすでにサーフィンを終えて帰ろうとする男たちがいる。声を張り上げて助けを求めるが、遠方であることと波の音で声はかき消されて届かない。足の傷は深いし、潮の満ち引きで、いつ岩礁が水面から消えるのか、それすらわからないのであった。
このような絶望的な状況下で、いったいどうやって人は生き延びることができるのか。いくつか選択の道はある。しかし、どれも危険すぎる。武器になるようなものは何も持っていない。海の中で人間が狂暴なサメと対峙できるものなんて、何もないのだ。
ものすごく恐ろしくて嫌になってしまう映画だが、もちろんこういうものだって娯楽映画である。一定の緊張感がいつまでも続いていて、体験型映画だともいえる。もちろん、主人公が何とか生き延びないことには始まらないと思うのだが、状況は悪いものばかりなのだ。本当にどうやったらいいというのだろうか。
突っ込みどころが無い訳ではない。いくら大きなサメだとはいえ、実は人を襲って食べた形跡がある。そんなに何人も食わなければならないのだろうか。しかし複数匹の設定だと、この結末にはならない。そういうあたりはどうなんだろうか。また、もちろん解決方法もそれでいいのだろうか。そうしないと終わらないけど、そうなるんだろうか、とは考えてしまった。残念という訳ではないが(恐怖から解放されたので嬉しかったが)、サメが頭が悪いという前提が無いと、むつかしい問題かもしれない。
という映画なのだが、改めてサメというのは恐ろしいです。もうすぐ夏がやって来るが、海で泳ぐ気が失せる危険があるので、そういう予定のある人は観ない方がいいでしょう。