カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

自由と言葉が過激な世界   ショー・ミー・ラブ

2018-06-13 | 映画

ショー・ミー・ラブ/ルーカス・ムーディソン監督

 98年のスウェーデン映画。名作とは聞いていたようだが、そんなに古い奴だったか(タイタニックと同時期らしい)。
 僕は知らずに観たが、思春期の恋を描いた作品で、それも同性愛を取り扱っている。他にもさまざまなタブーを同時に描いているが、奔放で危なっかしい思春期を見事に描き出している。こんなにも内面の葛藤が分かりにくい時代だったのかと改めて大人は思う訳で、子供を育てるのって、本当に大変である。もちろん子供が育てられるのだって…。
 内気な女の子は誕生日を迎える。家族(特に母親のアイディアのようだ)で娘の友人を呼んでパーティを開こうと画策するが、本人は乗り気じゃない。内気で誰を呼んでいいか分からない(というかそういう付き合いを学校でやってないようだ)。適当に配っていると、不良の同級生にからかわれて逃げ出してしまう。
 夜になると、当然誰もやってこない。娘はベジタリアンなのに母親は肉料理を作り盛り上げようとしている(客人を考えて)。そこに車椅子の子が一人プレゼントをもってやってくる。娘はこのような状況に嫌気がさしている感情がピークになり、車椅子の子を罵倒して追い返してしまう。最悪の誕生日になってしまうが、遅くなってから、また来訪者がある。今度は不良の姉妹で、面白くない夜に気まぐれで来たようだ。親からワインをもらうと、娘の部屋に鍵をかけて二人で飲んでいる。そうしてこの娘はレズらしいという噂を思いだし、妹の方が女同士キスが出来るかできないか賭けをする。ところで娘は本当にこの不良姉妹の妹に恋焦がれていて、この賭けを知らないまでも、キスを受け入れてしまう。
 ことごとくタブーを打ち破るというか、人間的にはやってはいけないことや、とても口にしてはならないようなことを言ってしまうオンパレードである。本当に酷い。ただでさえ傷つきやすい思春期に、もの凄く気にしていることを表にだして平気で罵倒する。見ているだけでひっくり返るくらいのインパクトがあり、恐らくこれは日本の脚本では絶対に無理だろう。車椅子の子が終始酷い悪役で、これだけのことをされたのだからひねくれて当然だとは思うが、そのフォローが無いまま嫌な感じである。障害者であっても容赦がないところに、この物語の真実性のようなところがあって、後で気付いたが、大変に良いのではないか。思春期のセックスにもストレートに突っ込んでいて、女に好かれようとするあまり強がったりあいまいだったりする男の姿も見事に描いている。スウェーデンではタイタニックより興業的に成功したというから、やはり大人の国は一味もふた味も違うものだな、とひたすら感心してしまった。凄い映画では無いのかもしれないが、これが大変に面白いとまで理解できる日本人というのは、やはりそんなに多くは無いだろう。
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