カワセミ側溝から(旧続・中岳龍頭望)

好きな言葉は「のこのこ」。好きなラジオ中継「相撲」。ちょっと苦手「煮た南瓜」。影響受けやすいけど、すぐ忘れます。

エスカレータ右空け問題

2023-03-22 | culture

 先日久しぶりに東京出張に行って、複数回電車を乗り継いだ。僕の移動時間は通勤時ではないし、いわゆる混んでいる時間帯では無いが、それでも電車から降りてのエスカレータの前は、長蛇の列になる。第一人が多いのだからそうなるのだけれど、東京地方の人々は、暗黙のマナーのようなものがあって、いわゆる右のスペースを空ける習慣がある。エスカレータを歩かないで登る人は、左側に詰めて並ぶので、その順番を守るために行列がさらに長くなるのである。うっかり右側のスペースに入ってしまうと、あきらめて歩いて上るか、又はこの列の最後尾に並び直すよりない圧力を感じる。ごくたまに右側に立ち止まっている人もいることはあるのだが、何か障害のある人であったり、外国人風であったり(アジアンですね)高齢の人であったり、荷物の多い人であったり、そうしてヤクザな人であったりする。しかしそんな人はものすごく少ないので、正確に確認したわけでは無いが。
 右側を開けるのは、おそらく急いでいる人に対する配慮なのだろうと思われるが(実際他国でもおおむねそういう傾向はあるという話は聞いたことがある。必ずしも厳密に守っているのかまでは知らない。また急いでいる人は大声で、「通してくれ」というような人がいるらしい)、確かに急いでいるらしい人は一定数いそうだが、この並ぶのが面倒で歩いている風の人の方が多いように感じる。並ぶほど悠長では無いが、ほんとは急ぐほどではない程度の人が一定数いるのではないか。電車に乗り遅れるかもしれない人は明らかに走っているが(だからそういう場合は下りのエスカレータですね)、電車を降りてエスカレータを登るような人には、そこまでの切迫感は感じられない。
 そもそもエスカレータを歩くのは危険なのでやめろ、というアナウンスを聞くこともある。また前にも書いたが、エスカレータは両方に並んだ方が効率がいいわけだし、またバランスの問題で、メンテナンス的にも機械の故障や摩耗も少なくて済みそうだ。片側に並ぶのはマナー以前の問題で、考えすぎている配慮に過ぎない。本当に急いでいる人は、あんまり人が使っていない階段があるのだから、そもそもそちらに行けば済むのである。それこそがマナーとしては正しい方向性を感じさせられる。
 博多のビルのエスカレータで、混雑時には詰めて乗るようにプラカードを持った警備員さんが促していたことがある。建物の外まで行列がはみ出すことになったり、店内の移動者が上手く回らないほどの混雑だった。その時はそのような誘導があったので詰めて乗ったのだが、僕はたまたま左側だったけれど、右側に若い女性が並んで立っていた。非常に気合の入った外出の格好をされている方で、僕はその少なからぬ圧力に、たじろいでしまった。前も後ろも横にもそのような状態になると、効率よく運ばれていることは分かるにせよ、なるほどお隣の特殊性というものはあるのかもしれない、と感じられたのだった。
 エスカレータの右空け問題は、ひょっとすると日本人的には、知らない人と並んで立ちたくない心情も含まれている可能性があるのではないか。右側を急ぐ人の配慮で定着したわけでなく、自分は一人で落ち着いていたいという自分配慮の表れかもしれない。そうすると、マナー問題で人を動かすのは、少し困難性があるかもしれない。
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