西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

つれづれに ( 時代劇 「 一命」 を見た )

2011年11月13日 | つれづれに
  監督:三池崇史

海老蔵の時代劇映画「一命」をみた・・・・・武家の没落を描いたつらく悲しい物語だ。1962(昭和37)年の小林正樹監督の名作時代劇「切腹」(白黒映画)のリメイクということで期待して見に行った・・・・・旧作と比べても遜色なくてなかなかの見応えがあったと思う。 僕自身は「切腹」は1970年代になって何かの映画祭で映画館で見たことがあって強烈な印象をもちましたが、さらに図書館の映画上映会で見た2回目の時もそれは変わらなかったです・・・・・「切腹」はDVDが出されていました、今回の「一命」と話の筋は変わらないのでその解説を借りて載せました・・・・・・・・・()内の役者さんを新旧併記しました

<物語>
寛永7年(1630)井伊家 上屋敷に津雲半四郎(市川海老蔵、仲代達矢)と名乗る壮年の浪人が訪れ、庭先での切腹を申し出た。井伊家の家老 斉藤勘解由(役所広司、三國連太郎)は春先にも同じ申し出をした若い浪人 千々岩求女(ちじいわもとめ=瑛太、石浜 朗)を思い出す。浪人の当世流のたかりを苦々しく思っていた勘解由は切腹の場をしつらえてやるが、思惑外れた浪人は狼狽し、自分の差し料である竹光の刀で腹を切ることとなり無惨な最期を遂げたのだった。
庭先に端座した半四郎は介錯人に井伊家の剣客 面高彦九郎(青木崇高、丹波哲郎)ほか2名を指名した(この3人が求女に自らの刀での切腹を迫ったのだった)。その到着を待つ間、静かに語り出す。それは井伊家を代表する武家社会の虚飾、不条理を暴き出す驚愕的な事実であった・・・・・・・とあります

<補足>戦国の世から徳川の太平の世となり豊臣家恩顧の大名 福島正則家の改易(取り潰し)のために浪人となった津雲半四郎(市川海老蔵)とその娘みほ(満島ひかり、岩下志麻)と元僚友の子息 千々岩求女(瑛太)の困窮する生活と、徳川家筆頭の家臣井伊家との狂言切腹をめぐる武家社会の悲劇を描いた作品。

津雲半四郎の願いで みほと夫婦となった千々岩求女はやがて困窮する生活で妻子を養うために書物を売り、着物を売り、ついには武士の魂である刀までも売って竹光の刀を差すほどに落ちぶれた状態となった。求女は病気の幼い息子 金吾の治療費三両を得るために井伊家の門前で切腹させて欲しい-と申し出るのだった。”狂言切腹”、武士の矜持(きょうじ)を守るための止むにやまれぬ行為とはいえ体のいい ” たかり ”である・・・・・徳川幕府による大名取り潰しが相次いで世に浪人が増えていた頃に ある浪人が大名屋敷の門前で切腹をさせて欲しいと申し出てその殊勝な志に仕官の口を与えた-という話があった。しかし似たようなことが続くようになると大名側は面倒がっていくらかの金子を与えて追い払った-などのことが起こった時代だったのだ。

三両を工面するために止むに止まれぬ思いで臨んだ求女の思惑は井伊家の非情な仕打ちとも取れる計らいで悲惨な竹光の刀での切腹という形で終わった。 半四郎にとって孫の金吾の病死、井伊家から送り届けられた求女の無惨な死骸、娘みほの自死と悲劇は続いていく・・・・・・そして半四郎は・・・・・という具合に物語りは進行します

<私の感想> 戦国期を生き抜いた侍としての 津雲半四郎の雰囲気や凄味、すべてを失った悲しみの表現は旧作の仲代達矢の方がそれらしさがありますが今回の海老蔵、瑛太、満島ひかりも好演しているのがわかります。
「一命」での最後、井伊家の家臣たちとの斬り合いで津雲半四郎の刀がいきなり竹光になっていたのはちょっと理解できなかったです・・・・・死んだ3人を供養するために刀を売ってしまったのだ---とでも解釈しないと納得がいかないように思います。
他に、ドラマの中で数ある大名家の中で井伊家が選ばれているのには訳があるんだと思います・・・・・映画の中に出てくる ”赤備え ” という言葉と井伊家藩祖の鎧、かつては武田信玄の一武将の騎馬軍団が鎧ほかを全て赤一色に染めて武勇の誉れ高かったものを徳川の世になって井伊家が ”赤備え ”と称して真似して受け継いだいわば尚武の藩である・・・・・という設定がないと構成上成り立ちにくいからだと思います。 

世界に出してもおかしくない日本映画はやはり時代劇かなぁ・・・・と思わせる作品でした。今年の時代劇では「 桜田門外の変 」とこの「 一命 」がよかった、ぜひぜひお奨めです( 写真は2種類のチラシと手持ちのDVD表紙から )
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