風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

珈琲を淹れる

2012-09-24 | 風屋日記
かねてアルコールよりも
珈琲を淹れることにこだわりを持っていた。
大学入学後、手回しミルを買い、
珈琲ショップでのアルバイトで淹れ方を教わり、
豆で買ってきて挽いて淹れていた。
本に出てくるカウボーイ式の淹れ方を試したり
自分なりの工夫もしてみたりしながら、
1服淹れて香りとコクを楽しんでいた。
本とタバコと珈琲は切っても切れない関係であり、
またバタバタ忙しさの中にある時も
一段落したあとのため息とともに飲む珈琲も
それぞれに心を癒すものだった。
何杯飲んでも、寝る直前でも体調に影響は無く、
生涯手放せない嗜好品だった。

いつからだろう。
自宅でも楽なコーヒーメーカーを使うようになったり
また手で淹れるようになってからも
ざっと湯を注ぐアメリカンな淹れ方をするようになり
ちょっとおざなりになってきた気がする。
珈琲を楽しむというより、
何となく飲むようになったのも原因のひとつか。
東京で独り暮らしするようになってから
睡眠障害に悩む日が続き
珈琲を夜飲むのを止めたあたりからは
平日家では朝のルーティンとしてしか飲まなくなってしまった。
しかも洗顔中にコーヒーメーカーで淹れるという
とても「一服」とはいえない飲み方。

先月あたりから
ふと「ゆっくり楽しみたい」と思うようになってきた。
挽いた粉で買ってきた珈琲が美味しいと思えず
「うまい珈琲が飲みたい」と思うようになってきた。
まずはドリッパーを買ってきた。
これで手で淹れられる。
そして先日、とうとう手回しミルも買ってきた。

朝は粉でいい。
コーヒーメーカーで淹れたものでもいい。
しかし、例えば夜。例えば休日。
音楽でも聴きながらゆっくりとミルを回してみよう。
淹れることだけに集中して珈琲を淹れよう。
そして何も考えずに
時間をかけて珈琲を楽しもう。
茶の湯のように、静かな気持ちで。
そうすることによって拓けてくることがあるかも知れない。
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