風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「まぐだら屋のマリア」

2014-02-15 | 読書
その時々によって
リアルな小説を読みたいこともあれば、
こんなファンタジーを読みたい時もある。
ファンタジーと書いたけれど、
ハードな過去を抱えた人たちばかりが出てくる。
それぞれ罪を背負い、償う方法がわからず、
それでも他人にに優しくできる人たち。
登場人物の名がマリアにシオンにマルコにヨハネ。
笑ってはいけない。
各々十字架を背負っていることを意味する
寓話としての名前なのだから。

ワタシの周りにもワタシにとってのマリアがいる。
荒れそうになる心を優しく包んでくれる人たちがいる。
(女性ばかりではない)
その人たちにもこの作品を読んでもらいたいと思う。

それにしても
原田さんの描く世界はなんて優しいんだろう。
「カフーを待ちわびて」もそうだったけれど、
傷つき、落ち込み、何らかの罪を背負った人たちが
読み手の心のささくれを潤してくれる。
どちらの作品も南の島や山陰など日本のどこか、
普通にありそうな場所なのに、
原田さんの筆により素晴らしい特別な場所に思える。

「まぐだら屋のマリア」原田マハ:著 幻冬舎文庫
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