風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

本末転倒

2020-02-23 | 世界・平和
「貯金」と「預金」の違いをご存知だろうか。
「貯金」とは文字通りお金を貯めること。
財布の中に貯めようが、金庫に貯めようが、蔵だろうが(笑)
「貯金」とはすべからくお金を貯めるという意味だ。
「預金」は「金融機関にお金を預けること」を意味する。
当然金融機関を使って(「預金」して)「貯金」する人もいる。
今でも高齢者を中心に「預金通帳」のことを「貯金通帳」と言うが、
恐らくそれは第二次世界大戦当時、国からの呼びかけで
「お国のために金融機関に『貯金』して質素な生活を」という
植え付けられたある種の倫理観が残っているせいだろうと想像する。

金融機関は「預金」された原資を元に融資して利ざやを稼ぐ。
それが金融機関のビジネスの根本だ。
だからある意味「預金」とは金融機関への「投資」とも言える。
「投資」には当然「預金利息」というリターンがある。
そうう意味では株式と似たものと考えられる。
「預金」はあくまで任意のものだから、
考え方によっては「好意によって金融機関の原資として投資」したと
表現することができるだろう。
金融機関では原資があればあるほど融資に回せるわけだから
言ってみれば「商売の武器」を豊富に持ちたい。
ということで、預金者囲い込みのために給与振り込みや口座決済、
最近ではキャッシュレス決済などを推奨してくる。

さて、最近の日銀によるマイナス金利政策の影響で
金融機関の経営が厳しくなってきた。
そこでどうやら預金口座に「銀行口座維持手数料」を課すことを
各金融機関は考え始めたと言うニュースが少し前に流れた。


これって、ちょっと考え方を変えると
企業への投資(株式購入など)するだけでお金取られるってこと?
投資ってのは資金運用のためにする場合が多いから、
逆に手数料を取られるのなら誰も投資なんかしなくなる。
口座決済などが増えてコストが嵩むようになってきたと言うけれど
元々は顧客を囲い込むために金融機関自身が始めたことじゃないの?
はじめは誰もそんなこと頼んじゃいない。
勝手に始めておいて「コストが嵩むから手数料を」って
そりゃ詐欺がよく使う手口だよね。

でも、本当の問題はアベノミクスによるマイナス金利政策だろう。
金利安くして、企業が融資を受けやすくし、
設備投資などにお金をつぎ込んでもらうことにより好景気を期待、
その効果として購買意欲を高めてデフレを解消する。
簡単に言うと、アベノミクスはそういうことになる。
融資を受けてどんどん設備投資できる企業にとっては大歓迎だ。
お金を持っている人も、より潤沢な資金で資産運用できる。
そうじゃない人たちは? 一般庶民はその影響で手数料を取られる。
金があるところへはますます金が集まり、金に余裕ないところから搾取。
それがアベノミクスの本質だ。
第一、デフレ解消と言うけれど、それは物価上昇という意味。
金がない人たちはますます生活が苦しくなるという寸法だ。
消費税増税も同じ考え方だよね。
家計に占める支払い消費税の割合は、
可処分所得が高いほど少なく、低いほど高い。
これが全額社会保障に当てられるならば誰にでも恩恵はあるが
そうでなければ明らかな金持ち優遇税制だ。
(ヨーロッパ各国では消費税率高いけど、
  社会民主主義に則ってその分社会保障がしっかりしている)

マイナス金利で恩恵を受けているのは大企業ばかりじゃない。
実は一番メリットあるのは国だ。
なにせじゃぶじゃぶ金融緩和している影響で
国家の負債額は減らないどころか増え続けているからだ。
プライマリーバランスなんざ知ったこっちゃないと
防衛費(軍事費)や経済対策費につぎ込み、
果てにはもりかけ云々や桜云々にも税金が投入される始末。
国の将来のための先行投資であるべき教育や文化、
一般国民に直接的に影響ある社会保障や地方交付税は
減らされていく一方だ。

すべて本末転倒。
これにより、当然格差は広がる。
コメント
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