風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

人生に一度だけ

2016-01-09 | 文化


ワタシが卒業した岩手県立花巻北高校には
校歌の他に応援歌、逍遥歌、遠征歌、花高賛歌、月歌と
入学と同時に覚えなければいけない歌がいくつかある。
これらは以前書いたように
壮絶な応援歌練習によって入学と同時に叩き込まれる。
卒業してかれこれ40年近く経った今も
ほぼ歌詞を見ずに歌えるのはその賜物と言って良い。

校歌はことあるごとに(今も同窓会のたびに)歌われる。
応援歌も遠征歌も、在学中は壮行式や試合応援で歌われる。
逍遥歌や賛歌も、応援歌ほどでは無いけれど
同窓会などでは「歌いたい」とリクエストが寄せられる。
(残念ながら月歌はなかなか歌われない地味な歌)
これらの歌の中で
長い歴史の中で卒業したたくさんの同窓生のほとんどが
おそらく人生の中で1度だけしか歌わない歌がある。
花高賛歌の3番だ。

1番、2番は在学中も歌うし、同窓会でも歌うことがあるのだが
なぜか3番だけは特別な歌なのだ。
花巻北高では入学式や卒業式という行事よりも
全員加入の応援団への入団式、退団式の方が
重要な行事に位置付けられている。
花高賛歌3番とは、退団式において退団する3年生だけが
涙とともに歌う歌なのだ。
なんの指示や連絡が事前になくとも3年生たちは
全校生徒で歌った1~2番の後続けて3番を歌い始める。
詠嘆の多い歌詞は、そのまま退団していく3年生たちの心。
そして卒業してからも
3番だけは大切に心の中にしまいこみ1~2番しか歌わない。
(応援歌練習でも確か3番だけは練習しなかったと思う)

楽しくもあり、苦しくもあり、
大いに笑い、泣き、怒り、語り合った3年間の思い出をこめ
3番は人生に1度きり、歌われる歌なのだ。

 嗚呼パラダイス花高に
 思い出深き嗚呼3年
 桜ヶ丘は永遠に咲け
 緑ヶ丘の常磐木よ
 嗚呼懐かしき学び舎に
コメント (8)
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