村上春樹さんの自伝的エッセイ。
「なるほどこういう思考か」
「なるほどこうやって書いているのか」
「なるほど小説というものはこう考えて書くのか」
などなど、個人的には腑に落ちる話が満載。
だからといって「じゃあ書いてみるか」と
簡単にかけるものではもちろん無いし
作家の方々それぞれスタイルも違うと思うんだけどね。
ただ村上さんがずっと持ち続けているスタンスや
客観的で広い視野については似たものを自分も持っているし
(漠然と持っていたものをロジカルに文字で読み納得)
できれば真似たいとも思う。
バブル時代に違和感を感じて
そんな日本から距離を置いたことも共感したし、
メンタルを維持するためにフィジカルを強くするというのも
ある意味目からウロコだった。
そしてなにより「学校について」の章を繰り返し読み
「我が意を得たり」という気持ち。
ワタシも学校の勉強よりは本を読む方にウエイトがあったし
それが今のワタシを形成してくれていると思う。
「千万人といえども我行かん」の気概はそこで育まれた。
常に本質を考え、空気に流されないことも。
「右向け右」的学校教育はイノベーターを生み出さない。
(というより、生まれて欲しくない?)
現代の閉塞感というのはそこが根底原因というのも
確かにそうだという実感がある。
それにしてもすごいのは
それらをすべて文字で表現できちゃう村上さん。
だからついついついて行きたくなっちゃう(笑)
でも本書を読んだ後
村上さんの小説の読み方、感じ方が
(もちろん良い方向に)変わること請け合い。
「村上マジック」のある意味「種明かし」的な本だ。
「職業としての小説家」村上春樹:著 スイッチ・パブリッシング刊