風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

臆病な風屋

2006-02-13 | 風屋日記
「風屋」というハンドルネームについては
このブログの第一回目(2004.8.18)でちょっとだけ触れたが、
もともとブログを始める前、というよりネットを使いはじめる前から
およそ20年近く使い続けているペンネームだ。
事情により、いろんな方に頼まれてコピーライターの真似事をしてみたり、
あるいは地方発信のミニコミの通信員をしたりするために使い始めた。
「情報屋」とでも受取ってもらえればいい意味だったが、
カッコよく言うと
「花も揺らすし、時には大木を倒すこともある」風を目指したネーミングだった。

でもね。コピーライトでも通信員報告でも、
結局は実名を名乗ることができなかった憶病者ということなんだなぁ。
最初は自分の書くコピーや文章に自信がなくてのペンネーム。
それが段々実名で書かないことの気楽さに甘えられることがわかってきた。
それ以来、文章が人の目に触れる時は(ゴーストライターの時を除き)私は「風屋」だ。
そしてネットを始め、ブログを始めて、なおさら実名を出すことに臆病になった。

今井紀明さんのブログが話題だ。
いうまでもなく、一昨年イラクで人質となり生還した3人の中のひとり。
当時高校を卒業したばかりで、劣化ウラン弾の使用を糾弾する団体を主宰していた。
イラクで人質となった時の世論からの「自己責任」批判を覚えておられると思う。
手紙で、メールで、電話で何百という批判が彼らに集まった。
そして2年近くたった今、今井さんは自分のブログを立ち上げ、それらを公開し始めた。
・・・途端に、またものすごい数の批判コメントが殺到している。もちろんTBも。
今日現在、アクセスが集中して開くことができない状態だ。

手紙を公開したことに対しては色んな考えがあろう。
「ちと大人気ない行為だ」との声も多い。
だが私は、彼自身が直接体験したことを彼自身で考え公開したことに対し、
とやかくいうつもりは毛頭ない。
彼なりの考えがあってのことだろうし、第一それらの批判によって彼がどう感じたのかは
彼じゃなければ分からないことだからだ。

ただここで言いたいのは、それらの批判や中傷がほとんど匿名であるのに対し
今井さんは逃げも隠れもせずに堂々と名前を出していることだ。
すごいよ。とても私にはできない。
匿名による他者への攻撃について、これまで散々書いてきているのに
そういう自分が名乗る勇気を持てないというのは情けない。
でもね、匿名性のウラ側に深い闇を感じるんだよ。

イラクにおけるテロと人質事件について、
あるいは人質となった、生還した3人や殺された香田さんについての
私の考えはこれまでに何度か書いているものの、
2004.10.18「日記」2004.10.27「雪」
2004.10.28「被害者の不幸、加害者の不幸」の3回の記述で
言いたいことは大体表現しているつもり。
「だったらそれを実名で書いてみろよ。なぁにが風屋だよ」と
別の自分の声も聞こえるけどやっぱりできないなぁ。
検索によりアクセスしてくる人達のことを考えると、
今井さんの名前をココに書くだけでも結構勇気が必要だったんだよ。
コメント (4)
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