「論破!」とか「弁駁」とか「言い負かし」とか
どうも日本人はディベートに慣れていないせいなのか
あるいは弱点を知られることを極端に恐れるからなのか、
とかく言葉でマウントを取ろうとする輩が多い。
専制政治の国では為政者が力を用いて異論を封じ込める。
戦前の日本もそうだった(もしかしたら今も?)。
企業経営においても、そういう例はよくある。
しかし、イノベーションは違う意見をシャッフルしたり
様々な視点を取り入れたりすることによってなされることが多い。
自分の経験から言っても、新しいことを始めるには
ブレストがあり、そこから意見集約し、
その複数意見のネガティブチェックによってより具体化する。
それが手っ取り早いし、より懐の深いアイデアになる。
ブレストでは「そんな視点があるのか」とか「なるほど」と感じる
考えてもいなかった他の人からの考えや意見が出てきて面白い。
私自身は個人に寄り添いたいリベラルな考えを持っているが
今年初めに亡くなった右翼論壇の鈴木邦男さんの意見には
ところどころ肯ける話があった。
違う視点の例を挙げる。
元大日本帝国陸軍憲兵大尉だった甘粕正彦の評伝と
関東大震災時に彼によって虐殺された
大杉栄と伊藤野枝夫妻を主人公とした小説。
どちらかだけ読めば、もう片方だけ「敵」に見えるが
両方読むことで、当時の世相や社会の裏側まで垣間見ることができる。
そしてそれぞれやその周辺に人たちが立体的に見えてきて
その息遣いまでリアルに感じられてくる。
読み比べ、お勧めします。
両論を知るべきなのはこの両者に限らずだけど。