因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

因幡屋10月のひとこと

2010-10-02 | インポート

 口をつけば「いつまでこの残暑が」と嘆き、いまは「やっと秋らしくなりましたね」と会う人ごとに言っては、手紙の挨拶にも書いてしまう。八百屋の店先をみるのが楽しみな季節、旬の野菜や果物をおいしく食べて、元気に劇場に通おう。

Project BUNGAKU太宰治 4人の演出家が4つの太宰治作品を上演する試み。
Jacrow#13.5『窮する鼠』(1,2)
風琴工房code.28『葬送の教室』(1,2,3,4,5,6,7,89)
劇団文化座『大つごもり』
ハイリンド (1,2,3,4,5,6,7,8,9) 第10回公演『グロリア』は、サスペンデッズ(1,2,3)との合同公演で、初の書き下ろしに挑戦。作・演出はサスペンデッズの早船聡。
カムヰヤッセン『やわらかいヒビ』
MCR 『神様さん』
水素74% 『転転転校生』 劇団掘出者(1,2,3,4,5) が解散し、作・演出の田川啓介が立ち上げた新しいユニットの旗揚げ公演。

 BUNGAKU太宰治、実は今夜みてきました。堪能しました。しかし4本のうち1本はほぼまったく理解できず困惑するばかりだったのです。
 思い出すのは7月3日朝日新聞土曜版「フロントランナー」で紹介されていた現代アートコレクター佐藤辰美さんのことばです。尊敬する作家から「分からないもの、嫌いなものを買え」と教わったのだそう。それは「分からない、嫌いだと感じるのは、表現されているものが自分にはないものだから、接するうちに何かをつかみ、発見することこそが『行為』だと」。
 人が何かを考える器の容量には限界があり、今夜の困惑の1本は完全に自分の器からは溢れ出てしまうものでした。しかしひょっとすると、その溢れ出たものから感じ取る糸口がみつかるかもしれない。困惑の1本ですが、不思議と集中してみることができました。いますぐには無理でも、この体験を活かす日がくることを願って、因幡屋10月のひとことは佐藤辰美さんからいただきました。

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