因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

古典戯曲を読む会@東京

2011-10-24 | 舞台番外編

 公式サイトはこちら 会がはじまるきっかけや、これまでの活動の様子も詳しい。
 古今東西の戯曲を声に出して読んでみようという試みが生まれ、継続していることがすばらしい。さまざまなところに演劇の可能性があることは、昨年秋のクリニックシアター公演『ザ・ピンター・ツアー』が記憶に新しいが、「古典戯曲を読む会」も、出席者の顔ぶれは、俳優や制作など実際に演劇にたずさわる方々だけでなく、研究者やほとんど舞台をみない方と実にさまざま。
 ツイッターやミクシィが効を奏し、今回は初参加4名、総勢11名のにぎやかなものとなった。
 因幡屋も新参で、内心戦々恐々で教室に入ったが、世話役の方々はじめ常連の皆さんも自然に受け入れてくださった。今月の課題は岸田國士の『驟雨』、『明日は天気』、『秘密の代償』。

 岸田國士とその作品についてのレジュメをいただき、続いてごくシンプルに座った順に役をわりふって『驟雨』を読みはじめた。実際の舞台では、ナイロン100℃の『犬は鎖に繋ぐべからず』と、東京乾電池の月末劇場をみたことがある。それから大学時代の恩師から伺った、劇団民藝公演での終幕の印象。
 短いお芝居と思っていたら、読んでみるとこれが長いこと長いこと(笑)。ひとが読んでいるのを聞くときはいろいろなことを考えるが、さて自分が読む番になると余裕はまったくなくなる。恥ずかしながら因幡屋は夫の譲役をいたしました(汗)。妻とその妹のりょうほうをうまくかわしながら、ともかくも何とかその場をおさめる。ちょっとずるいなと思いながらも、実社会に出て働いている男性の腕前というか、妻や妹よりも長けていることをあまり嫌みにならぬよう示す。難役だ。

 『驟雨』を読み終わったところで時間になる。
 実際に舞台づくりに関わる仕事をもつ方の感想や疑問は具体的で率直であり、芝居をみない方の感想は新鮮であった。自分が本作に対してずっと抱いている疑問は、夫の譲が帰宅する場面だ。妻の問いかけに返事もしないで奥に去り、声だけで「おい」と呼び、妻は黙って奥にはいって長い間。この場が示す夫婦の関係とは?

 来月早々、文学座が岸田國士短編集の上演を行う。
 舞台をみる楽しみ、戯曲を声に出して読み、また読み返す楽しみが増えた。
 温かく受け入れてくださった会の皆さまに感謝いたします。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんばんは!先日「読む会」でご一緒した藤村です。 (かおる)
2011-10-26 23:14:39
こんばんは!先日「読む会」でご一緒した藤村です。
「因幡屋通信」読ませていただいて、とても誠実でお人柄が出ている文章だなと、あと継続して続けていらっしゃることも、本当にすごいし素敵だなと思いました。
また来月もお目にかかれると嬉しいです。
色々おしえてください^^
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かおるさま (因幡屋)
2011-10-27 09:12:01
かおるさま
先日の「読む会」では楽しい時間をありがとうございました。
通信をお読みくださいました上に、過大な評価で痛み入ります(汗)。
「読む会」は、仕事や興味の方向の異なる方々が、
ひとつの戯曲に向き合っているところがとても刺激的だと思いました。
できればまた来月お目にかかりましょう!
コメントありがとうございました。
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古典戯曲を読む会のレポートどうもありがとうござ... (camin)
2011-10-31 00:23:37
古典戯曲を読む会のレポートどうもありがとうございました。
因幡屋のブログを前から読んでいたので、会でお目にかかれて嬉しかったです。かおるさんに先に書かれてしまいましたが、「因幡屋通信」、演劇愛と優しさに満ちていて、読むと心が和む劇評ですね。

あのあとAtelier SENTIOにshelfの「幽霊」を見にいったときに(二回目観劇)、棚に並んでいた「因幡屋通信」を貰ってきました。
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caminさま (因幡屋)
2011-11-01 15:54:12
caminさま
 こちらこそ、先日の「読む会」でお目にかかれて嬉しかったです。お世話になりました。
 アトリエセンティオさんは因幡屋通信がバックナンバーまできれいに設置してくださって大変ありがたく、しかし部数がなかなか捌けていないことでもありまして、棚をみるたび複雑です(泣)。
 手にとってくださった由、ありがとうございます。
 『幽霊』を再見されたのですね。自分も可能なら他の劇場での公演に行きたいくらいです。

「読む会」前夜の劇評セミナーですが、主催者側と自分との劇評観のちがいというより、「格差」を実感したのが消耗の理由ですね・・・。
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