シーブレ日記

愛艇と綴る釣り日記
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スピニングマーリン【3.実釣編】

2015年04月26日 02時01分27秒 | カジキ
さて、実際の現場でのあれこれを書いてみます。
これも、単に僕なりのやり方に過ぎませんが、試行錯誤の上で辿りついた一つの実績値として参考にして下さい。


【ファイトの練習】
この釣りで一番の見せ場であり、楽しさであり、成否を左右させるのが、”スタンディングファイトを如何に上手くこなすか”でしょう!
絶対に練習した方が良いです。

練習方法は簡単。
沖に出て実際に使うスピニングタックルをセットしたら、ルアーの代わりに布バケツやポリタンなどを接続。
あとはラインを30mほど出して、デッドスローで船を走らせ、バケツ相手にストライクからスタンディングファイト、リーダーワークまで思う存分練習してみてください。

最初はドラグ値5、6kgぐらいが良いでしょう。バネばかりを使ってドラグ調整した方が、きちんとした経験値が積めると思います。

慣れたらやや船速を上げるとドラグが出るので、その分徐々にドラグを上げて練習強度を上げてゆきます。
最終的に10kgぐらいで止まる位の抵抗になるバケツが良い練習になります。

膝を軽く曲げ、腿から胸までが直線のまま上体を後ろに倒し(リンボーダンスのイメージ)、アゴを引く。
肩を前へ絞り込むようにして腕を前へ出し、ロッドを持ちます。
肘は曲げないのが長時間ファイトのコツ。ロッドを保持する場所はリールより先のフォアグリップです。
両手で耐えたり、片手を休める方法などを探ってください。
最適な態勢が取れれば、2、3時間はファイト出来ますよ。(笑)

その他、練習の内容は色々工夫してみてください。
アングラーのファイトだけでなく、ロッドポストに挿した状態から始めて、一連のデッキワーク、最後のリーダーファイトまで。


【ギンバルとハーネスのセット】
ウェストギンバルやハーネスを正しい位置にセット出来るかどうかで、スタンディングファイトの成否が決まるといっても過言ではありません。

ウェストギンバルのバットエンド位置は、腰骨の左右の出っ張りより下が鉄則。ちょうど恥骨で支えるイメージかな。
バッドエンドがお腹の方だと腰が引かれた態勢になってしまい、上体の筋力や体重が使えません。いわゆるノサレタ状態ですね。腰を曲げてファイトすると、どんなマッチョマンでも腰が破壊されます。

ハーネス使用は好みですが、30分を越えるファイトに素手で耐えられる人は相当な筋力の持ち主でしょう。
僕はショルダーハーネスを利用してました。
ハーネスを利用することで、手を空けることが出来るのでファイト以外の作業も可能になります。
僕がファイトしながらも、操船や無線、写真までこなせたのもショルダーハーネスのお陰です。

ハーネスラインの長さも重要なポイントです。
手でロッドを持ったときと手を離したときでも、ロッドの角度が変わらない長さが理想。長すぎるとやはりノサレた状態になってしまいます。


【流し方】
何本流すかはチームの経験値や考え方によります。
ただ重要なポイントは、ベイトに較べスピニングの場合リール内のラインは短いので、緩慢な作業はNGです。
ヒット後、他のタックルの回収に掛ける時間は最短にすべきと僕は考えます。

3人乗船でも3本流しがいいところ。ヒットと同時にキャプテン以外の2名が残りのタックルを回収し、そのままファイトに移れます。
魚の気配が濃い場合は、何名乗船でも僕は2本流しに減らす事も多々あります。
流す本数とヒット率はあまり関係ないような印象を僕は持ってます。

その分、チェーンバードの威力を信じてます。
チェーンバードの位置は、2本流しならロングへ、3本流しなら中心側へ、要はなるべく全ルアーの中心寄りに入れるのが効果的だと感じています。

本数を多く流すメリットは、その日のルアーの傾向が掴めない時、色々な種類を投入し品揃えで集客するぐらいですが、結果的に釣れなさそうな日はいつしか4本5本になってることも・・・

2本流しの場合アウトリガーを使わない手もありますが、僕は2本流しでもアウトリガーを使います。
まず、スピニングリールはクリック音が小さいので、コーナーからダイレクトに流してるとヒットしても気が付かない事もあるかと・・・
アウトリガーならバーンって音で分かります。(航跡とルアーの位置関係にちょっと拘ってます。)

皆さんが一番悩むところで、ドラグの初期設定値ですが、僕は5kgで流し、ヒット後ロッドを抱えたら7~8kgぐらいにドラグを上げてから思いっきり鬼アワセを入れてました。


【ストライク】
最初に大事なことを書いておきます。

『ストライクの瞬間から、ギャフまたはビルを掴むまで、一秒たりともラインテンションを失わないこと!』

これに尽きます。

ヒットと同時に2、3秒スロットル全開でGOを掛けます。
すでにドラグが出ている状態なので、これにはアワセ効果はありません。他のルアーとの距離を取り絡まりを防止するためです。

ヒットと同時にキャプテン以外は全員で他のタックル回収を全力で実施しますが、その作業中もキャプテンは3~4ノットのスピードで船を走ら続けます。
このときカジキは華麗なテールウォークを繰り広げてるかもしれませんが、キャプテンは冷静にカジキの走る方向を見定めラインテンションが掛かるよう操船をして下さい。
どうして良いかよく分からなければ、カジキが左舷側へ走ったら左へ、右舷側に走ってるようなら右へ大きく旋回する感じで操船すれば良いかな。そうする事によりラインはUの字になり効果的にウォータープレッシャーを掛けられラインテンションの喪失を防げます。これは僕が考えた操船方法なのでもっと上手い人は違うことしてるかもしれません。

この間もリールのラインはどんどん失われてゆくので、一秒でも早くファイトに移るためには、やはり事前のイメトレと練習が重要。
回収したルアーのフックなどがデッキ上で危険な状態になりやすいので、どう一次処理したら安全かも全力で考えておいて下さい。
ファイトが始まったらデッキハンドは少し余裕が出来ますので、完全な格納はファイト中で良いと思います。

ちなみにですが、初めてのカジキのヒットであれば、多かれ少なかれビビルと思います。
”マジかよ!ヒットしちゃったよー”ってなもんでしょう。僕もそうでした。
でも、自分でやりたくて始めたことなのだから、腹を据えて冷静に対処することだけを考えましょう。


【スタンディングファイト】

アングラーはギンバルを着け、次にグローブを着けます。ハーネスは後でOK。秒単位で作業を短縮しましょう。
準備が整ったら、自分でロッドポストからロッドを抜きます。
チェアーファイトじゃないんだから、上げ膳据え膳の必要なんてありません。

もの凄い勢いでラインが出てて少々ビビルかもしれませんが、そこは落ち着いていきましょう。しょせん4~5kgの力で引っ張られてるだけですから。
ロッド先端を魚の方に向かせたまま横抱きに抱えつつ、落ち着いてドラグを7~8kgに上げます。
自分のリールで、ドラグ5kgを8kgに上げるのに、ドラグノブを何回転廻せばよいかは、練習の時にちゃんとデータを取っておいて下さいね。もしぶっつけ本番になっちゃったら、ドラグノブ半回転ぐらいまわして手応えを見てください。

ドラグ値を8kgぐらいに上げたと同時に、ロッドを横抱きのまま、力いっぱい2、3発鬼アワセしちゃいましょう!
この感覚は、アングラー人生の中でも輝ける瞬間です!

アワセが決まったら、ギンバルにロッドエンドを収めます。焦る必要はありません。
腕を伸ばしてロッドを両手でしっかり持ち、ラインの出る方向に体を正対させます。足はややがに股にして腰を落として体を安定させます。
このあたりで、もう一度カジキのテールウォークが始まるかもしれません。イイネー!
とにかくロッドを立ててひん曲げておいて下さい。

さあ、始まっちゃいました!
キャプテンは「ヨーシ、これは絶対に獲るぞー」って、チーム全員に宣言し、落ち着かせると共に、緊張感も持たせましょう。

アングラーが落ち着いたら、ハーネスを付けてあげて下さい。

スピニングリールは巻き上げトルクが乏しいので、リールのハンドルを巻いて寄せることは不可能です。
ロッドを立てながら大きく撓らせ、その反発力を最大限利用して魚を寄せ、ロッドのしなりが戻り切る前にロッドを徐々に前方に倒しつつ、その分素早くリールで巻き取り、再びロッドを立てて大きく撓らせる。これの繰り返しです。
一気に書いたけど分かりました?

ロッドが撓っていない状態はラインテンションは限りなくゼロと思ってください。これがナイロンラインとPEラインの大きな違いです。
休む時も含め、人間の動作を止めるときは、必ずロッドは撓らせておくことが重要。
間違ってもロッドを前方に倒した状態で休まないで下さい。それは非常にバレ易い状態です。

ラインの感度が良いので、数百メートル先に居るカジキの動きがけっこうリアルに伝わってきます。
カジキの泳ぐ向きが少し変るだけでも、ラインテンションの変化として現われます。テンションが少しでも落ちたらと感じたら積極的にポンピングを繰り返してラインを巻き取ります。
短いロッドだとストロークも短くなるので、結果的にたいへんです。7ft以上の反発力の強いロッドが、スピニングのスピード感溢れるファイトには合っていると思います。

スタンディングファイトは水平方向に引かれる分には余裕でファイト出来ますが、垂直方向へのファイトは一気にしんどくなります。
なので、キャプテンの操船の主眼はカジキとの距離を詰める事ではなく、水平ファイトになるよう誘導することです。
カジキが潜る場合は、あえてカジキから遠ざかり斜め上へ引けるような位置に操船します。

スプールを手で押さえるハンドドラグはスピニングファイトの重要なテクニックです。
アングラーが自由にドラグ値を上げられるので、ここ一番の勝負時などでハンドドラグを多用すると、主導権をキープできファイトを有利に運べるようになります。

スタンディングファイトの細かなテクニックを書き出すとキリが無いので、それぞれ練習して楽な方法を見つけてください。

一番やってはいけないのが、船べりに立ってのスタンディングファイトかな。
船べりに足を預けると一見楽なようにも思えますが、やってみれば分かります。下半身にまったく力が入らず腰が持ちません。
なによりおっかないです。チョイと前のめりになった瞬間海に転落する危険性大です。

ややボートの奥に陣取り、アングラーと船べりとの間を少なくとも1m以上取ると、全身を使った余裕のファイト出来ます。そういう意味でも短いロッドは不利かな。

きつくなって、ちょっとスタンディングファイトが難しくなってきた時の対応策を一応書いておきます。
その時は、キャビンの壁とかキャプテンシートとか何でも良いから固定物にお尻や腰の後ろあたりを付けて寄り掛かり、自分の体重を後ろに預けるとかなり楽です。
それでもきつければ最終措置としてクーラーボックスとかに座っちゃえば解決。もはやスタンディングファイトではないですが。。。(笑)

ちなみにですが、バトルステーションも下半身の力を使う事が出来ずやけにシンドイ代物でした。僕には理解不能な道具の一つです。



【リーダーファイト】
カジキとのやり取りの詰めの部分をリーダーマンに任せないで、余力があればロッドを使ったリーダーファイトもやっちゃいましょう。
チェアーファイトだと最後はリーダーマンに任せるしかなく、一番凄い格闘シーンをアングラーは見ることも参加することも出来ません。最後までアングラー主導でやれるのもスタンディングファイトの特権です。

ロッドを横がかえでカジキをねじ伏せるようにコントロールします。
僅か数メートルの距離でカジキと釣り人が真っ向勝負する状態になります。ほんとうにもの凄い迫力です。
釣りの概念が変りますよ。

クランキングリーダーがスプールに巻き込まれたら、ギンバルやハーネスからロッドを外し、ドラグを上げてロック状態近くにします。僕は15~20kgぐらいまでしか上げず、ハンドドラグで止めてました。
これは、カジキが暴れてリーダーファイトを一旦諦めてリーダーを放出した際、ラインブレイクを回避するためのドラグ値です。
PE5号なら20kgでもラインブレイクはしませんが、ロッドを立てる事はたぶん困難です。ロッドを寝かせたままドラグ値を10kgぐらいまで落とし、再び態勢を建て直して、厳しいファイトでリーダーを取り戻すよう頑張るところです。

リーダーファイト時は、アングラーはボートの後ろ角に陣取ると270度のエリアを使って魚をコントロールできます。キャプテンはチョンチョンとクラッチを繋げ、僅かに船を前進させてやると、ラインテンションが維持されカジキをコントロールしやすいです。
ベイトタックル時よりも取り込み時の船速を遅くしてやると、上手くいきます。
例えばアングラーが右舷後ろに陣取ったなら、軽く右に回り込むように操船するとアングラーはやりやすいです。カジキがボートの下に入るのを絶対避けたいので、最終段階では舵を大きく右に切っておき、カジキが暴れたら直ぐに船尾を左に振れるよう準備するなどデリケート且つ俊敏な操船が要求されます。

どんな魚でも共通ですが、魚を鼻先の方向に引いてやればコントロールしやすいし、横や後ろにいくら引いても言うことを聞きません。
横を向きそうになるカジキを、ロッドで強引にねじ伏せるイメージです。

カジキとの距離をさらに詰めつつボートの前方へ2~3m立ち位置を移動し、カジキをボートの横に添わせるように誘導します。リーダーマンが手でやることをロッドでやるわけです。

とにかく、最後の最後まで、一秒たりともラインテンションを失わないよう注意してください。ここまできてもテンションを失うとポロリと外れる事が多々あります。
キャプテンは常にカジキから船を遠ざけるような操船をするべきで、あくまでリーダーでカジキを寄せるのです。ボートを後進で寄せるようなことをすると、カジキが無抵抗でもポロリと取れちゃいます。(経験者多数・・・)

話が前後しますが、ルアーリーダーが長いと最後の詰めがロッドではできません。なので僕はルアーリーダーは2mぐらいしかとっていません。
チェーンバードを入れたタックルの場合は、バードが届くところまで来たらリーダーマンに任せるしかないでしょう。僕は一人でやるときは、このタイミングでロッドを放り出してチェーンバードを手で掴んでました。

リーダーファイト時にロッドを大きく曲げることはほぼ不可能で(下手にやると折れます)、ロッドを魚に対し直線に近い状態で斜め上に引き上げるようにロッドを持ち上げます。ラインテンションを掛け続けることを忘れずに!

頃合を見て、デッキハンドがビルを掴むなり、ギャフを打つなりすればゲーム終了です!
おめでとうございます!!!


【安全対策】
これは全てにおいて最優先することです。
僕が気を付けていたことを思い浮かぶままに書いておきます。

出航前に、ギャフ、ナイフ、プライヤー、グローブ、ビリーグラブ、ハンディー無線、ロープなどを全部確認し直ぐに取り出せる場所にまとめます。

ゲーム海域に着いてルアーを流し始めるときは、まずポケットにナイフを入れて、いついかなる体勢でもラインカットできるように備えます。携帯もカールコードなどで落下防止の上、ポケットに常に入れてます。複数名の乗船時でもやってました。

ルアーを流す前に、アングラーにハーネスとギンバルの調整を行っておきます。
このとき改めて全員で役割を再確認。

ルアーを流す時など、絶対にラインを指や手に巻いてはダメです。PEラインが巻きついて引っ張ったら人間の皮膚は簡単に破れます。
リールからラインをフリーで出す時や、ベールを返すときなど要注意。

ヒットを待つ間も、ポケットには常にナイフとグローブを入れておき、いつでも臨戦態勢に移れるようにしてました。

僕はシングルハンドの時は、腰に8mmのザイルを結んで猿回し状態で船と繋いでました。ロープの長さは船尾から落ちないギリの長さ。落ちても良いようにではなく、落ちない長さです。

初心者のスタンディングファイト時も、腰を持ってやるとか、ロープで確保したりしました。



取り合えず、スピニングマーリンについて、僕が考え実践してきたことを忘れないように記録しておくことも含め書いてみました。
僕にとっての一つの記念碑的な感じです。
一気に書いたので、ちょっと変なところがあるかもしれませんので、追々直してゆくかもしれません。
写真とかも入れたいしね。

まあ特殊な釣りですので、あまり参考にする人は居ないとは思いますが、何かの役に立てば幸いです。

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