9月8日 釣り3日目
早朝、5時半にテントから這い出る。
気温2℃。
川面に靄が立ち込め、幻想的な風景だ。
早朝から鉄板ポイントでルアーを投げ続けていた高麗さんにビッグヒット! タイメン!!!
ドデカイ魚体が何度も水面を飛び出し、暴れまわる。相当でかいぞ!
押しの強い流れ、走る大魚、岸を走るアングラー。 河の大物釣り最大の見せ場だ。
【今ツアー最大の132cm 見事な面構えのタイメンです!】
一進一退の攻防の末、岸の浅瀬にズリ上げられ勝負あり。
このツアー最大魚となる、132cmのタイメンがキャッチされた!
いやいや、見事なタイメンです。 高麗さん大興奮。オメデトー!!!
初日、村越さんがタイメンを連発したポイントへ皆で小遠征する。川が大きくワンドした先だが、草むらを30分ぐらいガサガサと歩けばショートカットできる。草むら歩きも楽しいぞ。
【草むら歩きも釣りのうち。】
【ズームしてみると二人とも幸せそう。70年代のフォークデュオみたいです。(笑)】
なるほど、大物が潜んで居そうなポイントが連続している。
腰までウェーディングし、対岸の深みにキャストする。
50m程上流で投げていた伊藤さん、ヒット! タイメンだ。
見事にキャッチ。
【隣で投げていた伊藤さん待望のヒッート!】
前日よりも水位が上り流れの押しが強い。僕はこのポイントを止め、足場の良い所へ移動する。
と、オオ! 同じ考えで岸から投げていた金田さんのロッドが、大きく曲がっている!
赤い尻尾が水面を叩いているのが見えた。 タイメンだ!
無事キャッチ! オメデトウゴザイマス。
これで、参加者全員タイメンキャッチ。凄い事ですね!
【金田さんも続けてタイメン! 全員キャッチです。素晴しいですね!】
一旦昼でキャンプサイトに引き上げる。
午後は、中休みモードです。
近場のポイントでゆったりと釣るが、昨日のようなレノックの釣れっぷりが無い。
他のメンバーも首をかしげつつ、三々五々テント場に戻ってくる。
今日は水量が増し、濁りが入っている。どうやら上流で雨が降ったようだ。これが原因なのだろうか?
自然は本当に微妙な事象の組み合わせの中で、調和をもって揺らいでいるんだなぁ。
キャンプは一泊の予定だったが、予想以上に河原生活は快適。なにより朝夕も釣りが出来ると好評なためもう一泊しちゃおうとなった。みんな本当に釣が好きですねぇ・・・
食料やアルコールの補充が必要なため、午後のマッタリタイムを使って、近くに遊牧民の「店」があるとの事で、僕を含め4人が興味深々で買出し班として出掛ける。
装備運搬用のロシア製オンボロバンで出発。
凸凹道を、のたりくたりと走る。
何度もエンジンが止まり、もうダメかと思うと最後の最後で奇跡的に掛かる。
急坂の途中で力尽きてずり落ちたって、2度3度とトライしてよじ登る。
河を渡るときや、妙に調子づいてスピードが出ちゃった時は、もう祈るしかない。
もう、完全にマンガのような世界です。 最高だ! 愉快、愉快!!!
「ここが村です」
なるほど、何にも無かった広大な草原に中に、小屋がパラパラと建っている。確かに集落だ。
突然現われた来訪者に、牛も人も、不思議そうな顔でこっちを見ている。
【草原の中の小さなお店。この1軒で70km四方をまかなっているそうだ。。。】
一軒の小屋の前にズザザッと砂煙を巻き上げて僕らのバンが止まる。 なんか西部劇みたい。
5m四方ぐらいの小さな小屋。 そのまた小さな入り口を入ると、土間の左側にダンボールが積まれ、タバコやお菓子と僅かの雑貨が雑然と積まれている。
オバサンが一人居た。
土間の右側には、ベッドとかまどと、ほんの僅かの身の回り品。
ここは「お店」であり、このオバサンの「住居」でもあるんですね。。。
【お店の中はこんな感じ。タバコとお菓子が大半だった。】
聞くと、70キロ四方に「お店」はこの一軒だけだそうです。
何に対してかわからないが、もう感動するしかありません。
16時ごろキャンプ地へ戻る。
残留組もすっかり毒気が抜けたかのようにまったりしており、支流でグレイリング釣りなどのんびりムードが漂っている。
この日は全体に釣果はパッとせず。 僕はレノック2匹で終了。
モンゴリアンチームともすっかり打ち解けている。
ひょんな事から日蒙「指」相撲が始まり、日本代表市ノ川君が勝ってしまった。
これがいけなかった。
相撲好き、勝負好きのモンゴル男たちの闘争心に火を付けてしまい、指相撲は腕相撲へ発展、ついには草むらでモンゴル相撲が始まってしまった。
何やら自信あり気な市ノ川君(柔道初段)は、あっさり負け。(笑)
ドライバー、ガイド、通訳入り乱れてのモンゴル場所が始まり、やんやの大喝采。
いやマジでモンゴル人はみんな強いです。モンゴル人恐るべし・・・
【モンゴル相撲が始まった。彼らは本当に強い。】
この日の、何故か日本チームが夕食当番に。 カレー汁が大評判。
殆ど我々の口には入りませんでした。(笑)
冷え込む夜も、焚き火があれば身も心も暖かい。
今夜も満天の星空。
アー 最高だ!
9月9日 釣り4日目
釣り最終日です。この日は撤収準備があるため昼過ぎでストップフィッシング。
村越さん、伊藤さん、僕の3人は対岸(右岸)へ渡り、4日間の集大成として、下流側の秘境ポイントを釣り下る。
このポイントは、左岸が断崖絶壁のため岸に立てない。右岸からウェーディングし、左岸の崖縁を狙う訳だ。
緩いトロ場が続き瀬音がしないため、静寂の中で釣りが出来る。
100m、200m先に居る二人を眺めると、キャストする度にスプールから沸き立つ飛沫が逆光に輝きとっても美しい。
人工物、人工音の一切無い完全無垢な大自然に、文字通りどっぷり浸かって釣りが出来る喜びを、胸いっぱいに感じる。 シアワセだなぁ。。。
【釣り場点景。一眼レフが欲しくなります。】
最近の僕は、釣果やサイズは二の次、三の次。プロセスとかロケーションとか仲間など、質の高い釣りをしたいと思うようになっている。
その上で、狙いの魚が釣れれば言う事は無い。
【村越さんヒット! 楽しそうにやり取りしている。】
静寂を破るように、村越さんがタイメンを掛けた!
水面で暴れるタイメンはなかなかのサイズ!
安心感のあるファイトの後、浅瀬に誘導されキャッチされたのは120cm。
このサイズになると、タイメンは怪魚の様相を呈してくる。この川の主だ。
【タイメン120cm 嬉しそうですね。】
今日は水位が元に戻り良い感じ。よーし、頑張るぞ! 僕も一投一投丁寧にルアーを投げ込む。
ゴンと来た!
掛かった直後、グッと止まって動かないのがタイメン。バタバタ暴れるのはレノック。
こいつ、動かない。のたくるような引き。 タイメンだ!
慎重に寄せ、無事キャッチ。
幸いにも3匹目のタイメンを釣る事が出来ました。70cmぐらいかな。
【僕も3匹目のタイメンをキャッチ。】
そろそろ戻る時間となった頃、足元の小場所で僕と話しながら投げていた伊藤さんヒット!
流れの中なのでなかなか手強い。
無事キャッチは104cm。見事なメーターオーバーです。
【足元の小場所でヒット。なかなか寄らない強い奴でした。】
【104cm ツアー最後を締めくくる一本でした。】
昼過ぎでストップフィッシング。
いやはや、3人ともタイメンが釣れました。やはり凄い所です。
最高に綺麗なロケーションの中、少人数で気持ちよく釣る事が出来ました。大満足です。
【偉大な自然に大満足。素晴しい釣りを堪能しました。】
テントサイトまでは直線で約1km。膝下ぐらいのブッシュの中を一直線に横切って帰ります。
雄大な岩壁や優雅な山並みを遠望しつつ、ロッドを片手に歩く草原。
空は晴れ渡り、一点の翳りも無い モンゴリアンブルー。
実に爽快です。
今回の遠征を締めくくる最終日、最高の釣りを堪能しました。
キャンプサイトに戻るとすでにテントは撤去され、3日間過ごした河原もガランとした風景に戻っています。
ゆっくりと釣り装具を解除し、大満足でエギー河を後にしました。
また来れるといいな!
(最終章に続く)