8月21日(金)
この夏結成された、我が家の女子登山部(カミサン&次女)の富士山登頂計画。
当初の予定は17日だったが、秋雨前線の発生で延期。台風来襲の隙間を狙ってこの日決行とした。
登山経験ゼロの二人が言い出した富士山挑戦。
体力測定として、富士山1~6合目と、塔の岳の練習登山に連れてって、まあ体力的にはOKでしょうとなった。
あとは天候と高山病耐性だけ。
僕はあくまでガイド役です。
午前3時半に家を出発。富士北麓駐車場に車を入れ、5時半発のシャトルバスへ乗り込む。
小一時間バスに揺られ、スバルラインの終点、吉田口5合目に到着。
ここで高所順応を兼ねて1時間ほど滞留する。5合目でも地上の2割ぐらい酸素濃度は低くなるので、油断はできない。
天候は下界は曇り、上空は晴れ!(ただし、気温の上昇と共に雲も這い上がってくるでしょう)
富士山の頂上が間近に見えてます。テンション上がりますね!
さて、ここから登山開始です。
7時、5合目スタート。
富士登山の形態としては、
1.昼頃に登り始めて7~8合目の山小屋で一泊し、深夜に小屋を出発し頂上でご来光。昼頃下山。
2.夕方から徹夜で登り続け、早朝に頂上着でご来光。
3.ご来光とは関係なく、朝登り始めて、登頂後夕方に下山。
1が一番多くてツアーなんかはほぼこれですね。2は弾丸登山といわれ自粛傾向。3はいわゆる日帰りの一般的な登山形式。
我々は、ご来光渋滞やタコ部屋宿泊はご遠慮したいので、3の日帰りパターンで行くことにした。
ほどなく6合目に到着。
6月の練習登山で1合目からこのへんまで歩いてきましたね。その頃はまだ雪が残ってました。
これで1合目からのルートが繋がりましたね。あとは上へ上へとルートを延ばしてゆきましょう!
雲海をバックに逆光シルエットで。いいねー!
日帰り登山客は思った以上に少ないです。
てか、やたらと外人が多い。登山者の半数ぐらいは外人で、そのうちの6割ぐらいが米兵系、ヨーロピアンが4割といったところ。
外人さんは皆さんライトな格好です。短パン、Gパン当たり前。
対する日本人は皆こんな感じです。
僕は雲の湧き上がりに注意しながらも、かなりのスローペースでリードした。
高山病にはオーバーペースは禁物。あとは給水と深呼吸だ。
登山道には15分おきぐらいに山小屋が現れる。
店先には食べ物や飲み物が豊富に並べられ、ほぼコンビニ街道です。これを登山道と呼んで良いのやら?
7合目を過ぎると、登山道は岩岩してきます。一歩一歩慎重に行きましょう。
雲に追いつかれ、ガスが去来する。雨具を着たり脱いだりで忙しい。
なんか娘の足取りが怪しくなってきた。初めての岩場歩きとはいえ、疲れてるというよりふらついている。
僕はさらにペースを落とつつ、娘の様子を注視。
8合目の太子館到着。
3000mを越えましたね。
娘が頭が痛くて体がだるく、気持ちも悪いと訴えている。
あきらかに高山病の症状です。
高山病だけは体力や健康状態とは関係なく発症しちゃいます。いつもは大丈夫なのに今回急になんていうのもあります。
大休止して少し様子を見る。
顔面蒼白で手も冷たい。深呼吸(ハイパーベンチレーション)で血中酸素濃度を上げてみたり、保温して様子を見るが、ついにトイレに駆け込み嘔吐してしまった。
うーん、これは厳しいかな。。。
高山病は、基本的に下山して高度を下げるしか対処法がない。
しかし、娘はまだ登頂を諦められないようだ。
これはリーダーとして悩ましい事態です。
9合目を過ぎてたら多少無理しても頂上まで上げちゃうかも知れないが、8合目じゃまだ先が長い。
そこで、ザックの中身を僕が持ち、負荷を大幅に減らした状態で次の山小屋まで登ってみることにした。
おぼつかない足取りながらも、蓬莱館に到着。
ここでもう一度様子を見るが、再び嘔吐。
これ以上は無理ですね。
本人も納得したようです。残念ですがここで今回は引き返しましょう。
今回の最高到達点は3150m。蓬莱館でした。
11時30分 下山開始。
頂上はもうそこに見えてるんだけど、これがなかなか遠いんです。またね~
我々は右の登山道から分かれ、トラバース道を使って下山道にスイッチ。(吉田口登山道は登りと下りは別ルート)
下山路はほぼガスの中。
ジグザグの砂利道をゆっくり確実に下ります。
高度を下げるにしたがって、娘の顔色もだんだん戻ってきた。
逆にカミサンは下りに滅法弱く、直ぐに離れてしまう。
登頂したらしたで、下山で往生したかも。(僕が三人分の荷物を背負う事態かも・・・)
6合目の登り降り合流点まで戻ってきました。
ちょうど14時で、一泊登山ツアーが続々と登る時間帯です。
朝、僕らが登った頃には、前後100mに一組って感じだったけど、今は前後1m間隔の2列縦隊。
こりゃ渋滞するのも当たり前だな。
いったい、この人たちの何割が無事登頂できるんだろう・・・?
6合目の登山指導所前では、ドコモの社員さん(?)が絆創膏を無料で配ってました。
別の登山口ではauが充電器を配ってるらしいです。
確かに登山道の何所でも携帯バッチリ使えたし、仕事のメールもサクサクとこなせました・・・
さて、5合目に戻って来ましたが、、、土産物屋も外も大混雑で、もう何が何だか。
飛び交う言葉は90%中国語。
何故かトロンボーンを担いで歩き回る女子集団。
タッパの弁当を豪勢に広げて食べてるインド人家族。
この先に何があるのかと聞いてくるインドネシア人。この先も富士山だよ!
日の丸の鉢巻して闊歩してるアメリカ人。
円陣組んで屈伸運動してる中高年登山集団。
人混みの中を馬が歩き、バスが警笛鳴らす。
ここでは登山の余韻を楽しむことなど到底無理。
お土産の一つも買うことなく、速攻でシャトルバスに乗り込み5合目を後にした。
すべてをひっくるめて、とにかく夏の富士山は特殊なところですね。
登山とかではなく、巨大な観光地と思えば納得。
日本人としては、まあ一度は登っておくことは宜しいのでしょうが、登山の範疇とはちょっと違います。
ただ、高所であることは紛れも無い事実で、3000mが一つの分岐点なんでしょう。
下山時にすれ違った多数のツアー登山者の様子を見ても、あきらかに初心者とか素人さん達が大多数でした。
登山道自体は整備されてるので、エッチラオッチラでも登れるでしょうが、やはり体力の問題や高山病でリタイヤする人も相当居そうに思えます。一般的には登頂率50%と言われるがどうなんでしょう?
ネットでちょっと調べたら、環境省が登山者の数をカウントしてて、
6合目通過=228,775人
8合目通過=165,038人
5合目にたむろってる観光客が6合目まで来ることはないので、この数は純粋に登山者と見て良いでしょう。
この数字を単純計算すると、約3割の人が8合目まで到達できずに下山してることになる。
さらに頂上までとなると登頂率50%というのも案外本当かも。
初心者だけを抽出したら、さらに低いんでしょうね。
案外富士山って手強い山なのかもしれません。
娘は今のところ富士山は当分見たくないと言ってるが、再チャレはあるんでしょうかね?
高山病対策はもう少しできるし、富士山以外のもうちょっと奇麗な山に登るのもありかとも思う。
まあ、暫らくはほっておきましょう。
ということで、我が家の女子登山部、富士山のぼり隊は8合目敗退という結果でした。
9月にもう一度という声も上がってはいますが、さてどうなりますか・・・