山ヤのゲンゴロウ

山登りと自転車、ログハウスなど趣味にいつて

Völkl BMT122 にTLT取付け

2021年02月08日 | 山の道具たち
今日は、みなさんご存じの山仲間の白山北部管理人のIさんの依頼でビンディング取付けとシールカットを行いました。
正直…ビンディング取付け作業中に思ったのは、「この板凄い!」と思いました。

 Völkl BMT122 176cm トップシートが減肉され軽量化!そしてカーボンで補強、太さの割に軽い!!2㎏は軽く切っている。

毎シーズン色んな板を目にし、それらの取り付け作業を行っていますが、メーカーの道具(スキー)に対する理念が伝わってきます。そういった意味で、いろんな感慨を感じつつ、取付け作業は面白いです。
昨晩、Iさんが我が地下工房にスキーを持ってこられました。今日は暇なので一日(約6時間)かけて丹念に取り付けました。そして本日夕方に取りに来られました。
 
 いつものようにトップシートにテープ貼って毛書き    FISCHER製のTLTビンディング(ヒールのスライド量が大きい。デモ用か?)

いつもお馴染みのDIYビンディング取付けですが、専用治具が無い中、正確に取り付けるためにトップシートにテープを貼って、長軸方向の中心線を毛書き、更にブーツセンターを書いてから始まります。今回は初めて取付けるFISCHER製のビンディングだったので、ビスの穴を決めるために何度も測定しビスの寸法を記録します。
 
 ブーツセンターとスキーのセンターを合わせ、ビンディング位置を決めます      何度も正確を期すために測定しスキーセンターからの位置を決めます。

そして、トップシートにブーツを置いてブーツとスキーのセンターを合わせ、ビンディングのビス孔の位置を決定します。左右の板が相対するよう正確に正確にと何度も確認しながら行います。そう・・・一発勝負だから。
 
 トップシートにビンの位置を記録       176cm 143-122-133です。made in germany


 毛書いたビスの中心にポンチングします。これをする事によりドリル刃は中心に行きます。

ビスの中心が決まったら、「けがき針」で中心を記し、その後はポンチング。このポンチングすることにより、ドリル刃は低い所へ掘り進める性質があるので正確に穴を開けることができるのです。
 
 ボール盤でΦ2の先行穴、専用キリで本穴を開けます    雌ネジの冷間圧造後に盛り上がったトップシートを鑿で削り平滑に

いきなり本穴を開けるとズレる恐れがあるので、径の小さい先行穴を予め開けたのち、専用キリで本穴を開けます。その後はビスを打って雌ネジを冷間圧造します。これをすると、逃げ場を失ったトップシートが一部盛り上がるので、平滑にするために鑿で表面を削ります。(これをすることにより、ビンディングとトップシートが面ー面で付くので剛性がかなり上がります。乗り味にも可成り影響が有ります)私見だけど、インビス加工により雌ネジを埋め込むと、ネジ同士の僅かな隙間により引っ張りや圧縮応力がそれらの間で生じ、板とビンとの一体性が失われ剛性が著しく失われ乗り味にも影響することが考えられ、滑りのダイレクト感が無くなるので、ボクとしてはインビスはあまりお勧めしていません。
 
 2液混合性エポキシ接着剤を煉って      ビス孔に入れます。粘度が高いので、慎重に入れます。

ビスと母体との間には水が入り込み腐食が生じないよう、接着剤を封入します。若干溢れ出ても良い程度に入れます。またこの接着剤を使用する理由は、ときどき瞬間接着剤や母材がウッドなので木工用接着剤でも由としているところもありますが、硬化の過程で揮発成分が出るものは減肉作用が生じることによりビスと母材との隙間が生じる恐れがあるので、減肉作用の発生しない化学反応による硬化で固まる2液混合性エポキシ接着剤を用います。しかも強度が強い!
 
 トゥーピースを取付ける際何度も調整しながら、ヒールセンターが中心に来るよう取り付けます   そして取付完了!完璧な仕上がり

先ずは、トゥーピースの取付けですが、以前にも説明した通り、いくら正確にビス孔を開けてもビス(木ねじ)は真っすぐ中心を目指して入っていかないので、4個有るビスをそれぞれ締める順番を変えつつ、締め付けトルクを変えながら、何度もブーツを付け、ヒールセンターがトップシートに毛書いた中心に来るように締めます。もうこれは職人の勘!?みたいなもの。競技スキーと違って山屋さんはそんなところあまり拘る人は少ないだろうけど、ボクの性格上その辺のところがきっちり出来ていないとストレスが溜まるので、可成り気をつかっているところ。そしてヒールピースを取付け完成です。

 ボクのPON2OONとBMT122との比較  Völkl太いなぁ!!Ponが小さく見えます。

今回もイイ感じで、満足いく取付けができました。山スキーは高価な道具。板は10万円くらい、ビンディングは5万円くらいします。失敗は許されません。取り付け作業は真剣に何度も何度も測定しつつ、慎重でなければならない。今回もシールも含め作業に要した時間は約6時間かかった(休憩したり自分の板をいじったりする時間も含む)割が合わないと思いつつ、仲間が引き取りに来るときの嬉しそうな顔を見ると、こっちも嬉しくなるし、山スキーを始める人たちの為にも何か協力できることが有ればと思ってやっています。そしてボクも新しい道具を見て触れることに対する興味や関心が湧いてくることも今まで永らくやってこれた動機に繋がってきているのかなと思います。
自分の命を託す山スキー!!信頼できる人に託すのはイイと思うけど、これら道具を自分でDIYすると更に山スキーの面白みや深さを実感できるのでは。生意気な事を霹靂してすみません(;^_^A

 この後はシールをカットしました。
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