●コ ー ス : 金沢市発着時計回り「能登半島一周」
●距 離 : 404km
●時 間 : 19時間8分(7月24日0:00発19:08着)
●平均時速 : 27.7km/h
●メンバー : YASUHIROさん、T崎教授、源くん、ボク
海岸線沿いの道をひた走る~!
この企画、実は6月にYASUHIROさんからメールで「一緒に走らないか?」と打診が有った。そのとき正直今まで走った事の無い400kmなんて無理じゃないか!?いや自信が無いと思った。最長でも琵琶湖一周の200kmだし。職場の先輩からは「無理じゃねえの!?」と言われ、自転車屋の店長からは「ボクだったら走らんけど、もっちゃんやったら完走できるって!」と励まされた。もちろん、人生の思ひ出としてこんな経験はお金では手に入れる事は出来ないし、苦難のうえ完走できたならば何か新しいものが見えてくるかも!?と超前向きなスタンスで、思い切ってエントリーすることにしました。もちろんヤルからには皆に迷惑はかけられない。ので・・・仕事明けの炎天下、目標を定めトレーニングをしてきました。もちろん山に登ってもいましたけどね。
仕事の手帳のスケジュール欄には24日「400km完走!」の言葉が記され、日を追い捲るたびにその日が近づいてくる。しかし・・・子供の風邪が移ったのか辛い。23日になって病院で診察すると風邪、しかも長い間ほったらかしにしていたので蓄膿症になりかけているとのこと。ヤバイ!でもこんなのを理由に、こんなチャンスを逃す事は一生の不覚と、薬を携え走る事に決めた。ゴホゴホ・・・
自転車のタイヤは交換したし、その他メンテナンスをやって土曜の昼過ぎ勝山を出発する。途中でリタイヤの可能性もあるし、皆でゴールした暁にはYASUHIROさんの奢りで焼き肉&ビールの祝杯にありつけることから、カミさんに金沢まで送ってもらう。文句言わず運転するカミさん。いつもながらカミさんには感謝です。途中、行きつけの自転車屋「Natural」で出発する旨の申告をし、カーボショッツ(カフェイン入り)を数本購入。店長は餞別として携帯食糧2個くれました。そのためにも頑張らんとね!
金沢に入り、二人でイタリヤ料理店に入りパスタで腹を満たし、YASUHIROさんの医院に到着。すると奥様が待っていて下さいました。(遅く着いた事を後悔しました)そして医院の一室に布団など寝具一式を揃えて下さりそこで仮眠をとることに。しかも源次郎にとお土産まで頂き嬉しかったです。カミさんとはここで別れ、医院の一室で11:30まで仮眠(3時間しか寝れない・・・)
スタート前の医院にて。ワクワク!ドキドキ!! スタート前の皆!気合い入れて行きまっし~!!(写真提供折戸さん)
【金沢-富来】0~72km 2:45
定刻に起床し準備をし、駐車場で皆を待つ。暫くでカメラマンの折戸さん、T崎さん、YASUHIROさん、源くんが集まり
0:00スタート!車に轢かれないようテールライトやヘッドライト全開で煌びやかな一連が夜道を疾走する。先頭はYASUHIROさん。夜道は涼しく気持ち良い。満月が出ていればまだしも、こんな暗い状況で飛ばしすぎ!?AVE32kmのスピード。ボクは闇夜に照らされる路面状況の変化に付いていけず不意に下から突き上げるような凸凹があったりと一瞬冷や汗をかく事も有ったが、最後まで路面状況は良好だった。順調に進み千里浜も過ぎコンビニで休憩。ここでゼリーを購入し一気飲み。食欲はあまり無いけど摂っておかなくては。トップをYASUHIROさんから源君に交替。彼も強い!!自転車の価格はピナレロに遠く及ばないが、最新式のエンジン!で皆を引っ張る。だってフルマラソン3時間斬りだもん。羽咋から富来まで地味なアップダウンが有るものの、海岸線は漆黒の闇に包まれ風光明美なそれを窺い知る事は出来ない。工作船が上陸しても分からない程だ。志賀原発前も通過。鉄塔や施設がが不気味点滅していた。
羽咋のコンビニにて真っ暗です。 暗闇の中の道路をカッ飛ばす!風も無く快適でした。
【富来-輪島】72~110km 4:20
ここまで72km富来からはT崎さんが先頭だ。輪島まで2回ヒルクライムが有る。頑張らないと置き去りとなってしまう。コンビニ休憩中、T崎さん実はT大学の教授ということが判明。機械工学の熱力学を教えているとのこと。ボクも昔勉強したのだけど今は畑違いで忘れてしまった。確かエントロピーがどうのとか、レイノルド数とかCd値とか・・・みんな忘れちまった。そんな事はさておき、ヒルクライムのレースに参戦している方で自転車歴40年のベテラン!付いていくのにヘロヘロでした。少しでも空気抵抗をなくすためにT崎さんの後ろにへばり付いて、気流の乱流の中に入って抵抗を和らげてヒルクライムするセコイ手を使って付いて行きました。そんな中、輪島に抜ける中屋トンネル手前でYASUHIROさん猛ダッシュ!ぶっ千切られ、腰の激痛に耐える源君とボクがトンネルに。あとは輪島まで下り一辺倒。快適だけどあまり飛ばしすぎは危険!傾斜も弛みだし潮の香りがしてきたら輪島市街地だ!ここのコンビニで4度目の休憩に入る。徐々に辺りは白々としてきだし、既に110km走った。あと3/4弱だ。まだまだゴールの確信は持てない。ここで源君のヘルニアの悪化の症状で完走が難しい旨を訴えてきたが皆で叱咤激励し奮起させるのであった。そんな事を言っていたボク自身も風邪の症状が顕れ少し萎えはじめてきた頃で有り、自分自身に対し喝を入れる気持でもあった。もちろん山屋の彼は気迫を取り戻し、ボクは大福餅を食べて薬を飲み恢復につとめた。
ヒルクライムを2回終えて輪島のコンビニで休息。コンビニで必要なものが手に入る。有難い時代デス。
【輪島-狼煙】110~164km 6:40
輪島からはボクが先頭となる。今まで後続の乱流を享受してきた。皆にお返しする番でもある。ギアを軽くしてAVE31km前後を意識して漕ぐ。地味なアップダウンがある眺めの良い海岸線だ。路面状況はとても良好で磯の香りが鼻腔をくすぐる。勝山市の中山間地域で生活するボクにとって水平線を眺めるのって非日常的な光景。本当にこの海岸線を自転車で走るのは気持ちがイイです。途中で立ち止った千枚田の光景にも唖然としました。裕福な時代に生まれたボク達が、昔のお百姓さんの苦労を分かりえる手段としてこの光景一つ見れば分かるやうな気がしました。この海岸線を走っているとその始原的風景から、過去の漁民、農民達の貧しかった暮らしが思い起こされます。そんな感慨にふけながらペダルを踏み続けるのでした。(これって愛読する著者「吉村昭」の影響だと思います)
ゴジラ岩や窓岩など観光スポットもちゃんと楽しみながら走り、狼煙手前のヒルクライム!椿の展望台向けてあの二人が競って前方を疾走!ボクはヘロヘロだったのでただ傍観・・・早く狼煙に着かないかな~を呪文のように唱えながら走っていました。そして輪島から50km走って辿りついた能登半島最北端の「狼煙」に到着ですここまで164km何だか光明が見えてきたぞ~。あと240kmだ!!!時刻は6:40
ここで、定番となった禄剛崎の灯台へ!物凄い激坂を乗り越えると白亜の瀟洒な灯台が立っている。石造りのこれは「日本の灯台50選」にも選ばれているとか。ここで皆と記念撮影!これは一生の宝物の一つとなりそうです。
千枚田を見下ろす。稲刈りが大変そうだね。当時の稲作への執念を実感 目を凝らし想像力をはたらかすと・・・ゴジラの後ろ姿に見えてきます。
禄剛崎までアップダウンが有って疲れた~ 狼煙だ!能登半島最北端です。珠洲、能登、穴水へと向かいます。
禄剛崎の灯台で記念撮影!海上交通の要衝なんですね!日本海のパノラマ!!誰だ!!この呼称を東海って言う奴は!!(写真提供YASUHIROさん)
【狼煙-穴水】164~250km 11:50
狼煙の道の駅で休息後、今まで北上してきた進路を南にとり、先頭はYASUHIROさんに戻り進みます。20kmほど走ると珠洲市!ここのコンビニで朝食となる。今までゼリーといった流動食ばかりだったので「冷やしうどん大盛」の弁当とコーラ500cc購入。体内にエネルギーが満たされていく感じ!途中見附島の軍艦島を立ち寄る。いかにも軍艦と行った感じ。鐘を思いっきり鳴らし完走を祈願。(縁結びの鐘だとか)
穴水までは海岸線をひた走りアップダウンも殆ど無い。後続の乱流の恩恵を受けながら風光を楽しむ。所々静かな漁村を通る曲がりくねった狭い道を走る。何とも風情のある感じで、バイパスでトンネルやら高架橋で繋がれた高規格道路には無い楽しみが此処にはある。
小さな湾が連続して見え出すとそろそろ穴水だ!ここで昼食となる。ここまで250km走ったことになる。ゴールまであと150km(11:50)。町の中華料理屋といった店構えでメニューもあまり無いけど、ご飯が食べたかった。ヤッパシ日本人は米だね!酢豚定食で腹を満たしTV見ての束の間の休息。ニュースでは中国の高速鉄道で死亡事故が有ったと伝えられていた。「内心、日本の技術を盗用まがいの事をして急遽整備したこの鉄道では絶対事故が発生すると思っていたが、こんなにも早く起きるとは唖然とした。」この事故を見て、後半こそ集中力を切らさないよう安全に行かなくてはと思った。そこでカフェイン入りのカーボショッツを途中飲んだ。
えんむすびーちで軍艦島と記念撮影(端島のことではないよ) 細かいアップダウンもあります。
定番の穴水町の中華料理店です。疲れた体に酢豚の酸味がグッドです。 ツインブリッジを渡ります。
能登島大橋を渡ります。あれは和倉温泉かな? 小さな漁村にはしる道。ナカナカ良い風情。
能登島へ向け海岸線を走ります。暑い~!(写真提供折戸さん)
【穴水-高岡】250~350km 16:40
穴水から能登島まで七尾の海岸線を走る。折戸さんは奥さんの運転するGOLF GTIで駆けつけ要所要所でカメラを構えてくれる。写真ありがとうございます!!朝まで曇りがちの天気も徐々に太陽が燦々と照りはじめ暑い。能登島へのツインブリッヂ手前の休憩所で井下さんが補給の為に待っていてくれました。ここで糧食、水、氷を頂く。特に美味しかったのがRedBullという微炭酸のエネルギードリンク!サイコーでした。
橋を渡り、能登島に入り再び能登島大橋を渡る。海を渡るこんな大きな橋なんて明石海峡大橋以来でゴールが近づいてきたという感慨も加わり胸が高鳴る。橋を渡り先頭がYASUHIROさんになる。3順目だ!七尾から太田火力発電所を北上し北端から南下する。氷見まで変化の少ない海岸線をひた走る。海がキレイだ。天気がもっと良ければ立山連峰も見えただろう。氷見で再び補給を受け、伏木まで大回りしてやっとここで金沢に向け西に転針する。町に伸びる道が複雑で何処を走っているのか良く分からない。後を付いて行くだけだ。
能登島大橋を渡る。日差しが強い~ 途中、井下さんより補給して頂きました。ありがとうがざいました!生き返りました。
氷見に到着!あと僅かだね。頑張りまっし。 源君(みなもとくん)と、源君(げんくん)
快適な道! ボクは最後尾で楽チン走行中!(写真提供折戸さん)
【高岡-金沢】350km~404km 19:08
高岡市を過ぎ小矢部に(17:30 370km地点)。国道は込んでいるので快適な県道を走るのだけどT崎さんは疲れ知らず。後半もAVE30kmを超えてる。皆、声には出さないけどもうちょっと下げてほしいと思っていたハズ。
さて最後の峠越えでボクの番。倶利伽羅峠越えだ。国道8は危険なので傍を通る県道(旧国道)を走り、トンネル中は国道8を走る。自転車による死亡事故が過去に数件発生していることからライトチェックして生温かいトンネルを通過。後ろから大型トラックが迫る。ヤッパシ田舎道がイイね。ここでやっと金沢入りだ!!目頭がちょっと熱くなった。それと喉ごし最高のビールに早く在りつきたい。
太陽の高さが徐々に低くなり、気持ちも少し焦るがゴールはもう目の前、県庁近くになると先頭はYASUHIROさんに変わり医院に導かれ19:08にワンデイ能登半島1周404kmの激走の幕を閉じた。奥様に労いの言葉をかけて頂き記念撮影となった。
医院の前でゴール後の記念撮影。もう疲労困憊って感じです。(写真提供YASUHIROさん)
この後は、テルメ金沢で汗を流し、そのまま焼き肉で宴会!!空きっ腹にビールを流し込むと、疲れ果てた胃腸はビックリしたのかちょっと気分が悪くなったけど、肉を食べたら復活!しました。もちろんビールジョッキで数杯頂きましたよ~。ヤッパシ運動した後のビールは美味しいです。
帰りはカミさんに電話して勝山から遠路車を運転して迎えに来てくれました。「頑張ったネ!お疲れ様」と嫌な顔一つせず迎えに来てくれたカミさんには感謝です。本当にいつもありがとうね!
最後に、この「ツールド能登400km/1日」を皆で無事完走できたこと。これが一番嬉しかった。こんな境遇を共にしたメンバーとの思ひでは一生の宝物です。自転車というツールを利用して人力で400kmを走った。巡る風物を目にし様々な感慨に浸れた事。19時間も自転車に跨りながら何を考えていたんだろう。自転車で旅をするのって本当にイイな~と実感しました。これぞまさしく青春!
最後に志を共有する仲間が居たからこそ400kmもの長距離を一日で走れたんだと思う。そしてサポート頂いた皆さんにも本当に感謝しています。
いつまでたっても(50歳になっても)青春していきたいと強く思いました。
あんまし関係無いけど、自転車を連ねて走る行為は何だか山スキーに似ているね。山スキーでは先頭が切り開いたラッセル跡を後続が追従していく。これを自転車になぞらえると、先頭が切り裂いた空気の壁を後続が追従していく。これらローテーションして目標を果たす。何か似てるネ!