胃のあとは十二指腸、その後は盲腸の右側の背中側を通って、左の腹腔へ入り空腸となっている。この空腸の最も近位部の腸間膜に孔が開いていて、そこへ小腸が入り込むことで腸閉塞を起こすことがある。
腸間膜の孔は縫えているように見えるが、実際には奥に縫えていない部分がある。しかし、腹腔内のほとんど背中に近い部分なので、この孔を完全に縫い閉じるのは非常に難しい。
完全に縫えないと、また腸管が入り込むことがある。
盲腸の尾側を通って左腹腔へ入ったところの腸間膜に孔があり、縫った部分(緑矢印)と縫えなかった部分(黒矢印)を示した。
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考察その1.
いつも小腸閉塞では、盲腸側から小腸を上位へとたどる。そのとき胃の方へと小腸を並べ胃の方で縫おうとする(1枚目の写真のように)が、実際には腹腔へは盲腸の尾側を通ってきているので空腸最上位の腸間膜を露出させるためには、盲腸結腸は右へ、小腸全体は左頭側へ出した方が良いのではないか?
考察その2.
この腸間膜の孔の由来がわからなかったが、今回の症例は分娩13日後で、孔の辺縁は裂けてから1-2週間経っているような様子だった。出血の跡が残っており、しかし辺縁は丸く収縮しつつあり、しかし結合織にはなっていなかった。
2枚目の写真に示したように空腸の中でもっとも子宮に近い部分であり、腸間膜は短い。分娩時に牽引されて腸間膜が裂けるのではないか。
この空腸の腸間膜裂孔へのヘルニアは、仔馬や育成馬では見たことがなく、繁殖牝馬ばかりだ。分娩による腸間膜の損傷だと考えていいだろう。
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捲土重来。この次は完全に縫合する。手術即全治。を目指したい。
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遊びに行きたいな~。
私は、競走馬の一口出資を楽しんでいる一ファンです。
いつも、ちょっとでも知識になればと読ませていただいてます。
(基本的に、凄いな~と感動しているだけですが・・・)
さて、今回の内容とは違うのですが、以前より疑問に思っていることがあり、もし教えていただければと書き込ませて頂きますことを、お許しください。
Q.下記の疾患は遺伝の可能性があるものなのでしょうか?
◆DDSP
◆屈腱炎
出資検討馬の兄姉が相次いでDDSPで引退になりました。
また、屈腱炎も兄弟馬に多いような気がします。
いかがなものなのでしょうか?
これは難しい質問です。どちらも遺伝疾患だとは考えられていませんが、まったく遺伝形質がないとも言えないでしょう。
DDSPで引退ですか?事情を知らずにいい加減なことは言えませんが、基本的にはDDSPは調教が進んで馬が肉体的、精神的に強くなれば治ります。
屈腱炎は・・・・要因は数多くありますが、遺伝はその一つでしょうが、大きな要因ではないように思います。強い調教、競走さえしなければ起こさない事故ですから。
屈腱炎は、色々な原因があるようですが、やはり競走馬としてお稽古やレースをこなすとどの仔にも可能性があるものなのですね。
またDDSPは、その馬が精神・肉体面で強くなると治るものなんですね!ちょっと驚きました!
ただ、実際はその強くなる期間を待っているのが難しいから引退や手術となるのでしょうね。以前拝見したDDSP矯正馬具?が可能ならレースでも使えるようになって、馬の助けになってくれるといいですね。
良く分からなかったことが、少し分かった気がします。
これからも、一緒に夢を見たくなる魅力的な馬を探して、成長を見守りたいと思います。
本当にありがとうございました。