馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

難産による子宮穿孔からの腹膜炎

2019-02-05 | 繁殖学・産科学

5日前、私が出張中に来た大難産。

まだ5歳だが肢に問題をかかえた馬で、立てなかったので牧場で切胎したが、それでも出ない、と運ばれてきたのだそうだ。

その後、調子が悪く、再来院した。

オーナーの意向で、やれるだけのことはやってください、とのこと。

開腹したら血様腹水があふれ出た。

感染により徐々に増量した腹水というより、難産時の子宮穿孔による出血が大きかったのだろう。

早い時期に超音波検査で見えたはずだ。

腹腔内からは胎便も出てきた。

胎便はもともとは無菌だが、やはり便だし、消化酵素を含んでいる。

子宮穿孔創は2ヶ所だった。

これはいつも気をつけないといけない。

腹腔内へ生理食塩液を5-7リットル入れて、シリコンチューブで吸引することを繰り返す。

40リットル以上で洗浄した。

サイホン式でも洗える。

血餅や胎盤の切れ端も流れ出てきた。

                  -

生きながらえるか、

今年は無理でも来年以降に受胎するか、

そして、難産の要因になったであろう肢の問題も治せるか、

やるだけやる、というのはそういうことだ。

                ///////////////

家の裏のオンコが丸裸。

風でやられたのか?と思ったが、枝も折れているし、樹皮も削れている。

周りには・・・・シカの足跡いっぱい。

オラが居ない夜が増えると、こうなります。

ちゃんと番犬してるんだから、もっとエサよこせ

 

 

 



2 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2019-02-05 07:27:50
 託されたのは命で、繁殖牝馬。
 そういうことなのですね。
 
 オラ君、居るだけでいい命というのもあるけど、オラ君にはお役もあるんですね。おやつが鹿肉だったり、、、?どうでしょね?
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>はとぽっけさん (hig)
2019-02-06 05:22:39
繁殖雌馬だからといって、肢が痛くてかまわないかというとそんなことはなく、肢が痛いと運動できず、そのため難産になることがあり、お産の途中も寝起きが不自由で、病院へ運ぼうにも立ち上がらず、分娩しても動かないと子馬にもよろしくなく・・・

相棒が居ればこんなことはなかったのですが、すっかり剪定されてしまいました。

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