2歳馬が朝から疝痛で、昼すぎに来院した。
順調に調教されている馬。
だから便秘する理由はない。
朝飼いを食べてすぐに疝痛が始まったらしい。
これは結腸左背側変位のひとつの特徴でもある。
結腸は胃にくっついて沈んできた脾臓の背中側へひっかかるのだろう。
案の定、体表からの超音波画像検査で左の腎臓が見えない。
血液はさほど悪くないし、痛みもひどくはないので、もっと待てなくはないが、
手術が遅れれば、全身状態も結腸の状態も悪くなるだろう。
結局、開腹して正解。
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繁殖雌馬が夜飼い前に疝痛をした。
鎮痛剤投与で落ち着いたが夜中にまた痛くなった。
胃カテーテルを入れたら胃内容が回収できたとのこと。
来院して超音波検査すると小腸閉塞を確認できた。
血液検査所見はさほど悪くないが、開腹手術を決断した。
小腸捻転だったが、腸管はチアノーゼを起こしてはいなかった。
整復だけで済んだ。
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その繁殖雌馬が手術から2日後、もう退院していたのだが、また疝痛を起こした。
超音波検査してもはっきりした異常所見は確認できなかった。
しかし、痛みは治まらなかった。
数時間経過を観て再開腹手術を決断した。
今度は結腸捻転を起こしていた。
それも結腸の中ほどで・・・・
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おまけ。
黒毛和種子牛が朝から疝痛。
寝たり起きたりして、お腹を蹴るしぐさもするという。
超音波検査すると、小腸閉塞像が見えた。
開腹手術すると、盲腸が気脹していた。これはガス抜きした。
そして、空腸上部が色が悪くなっていた。
根部捻転?
ほかには著変なし。
疝痛と腸閉塞が治まるか不安だったが、その後、元気になったとのこと。
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診断というが、かなりは疫学というか、経験に頼って見当をつけている。
便秘するはずがない状況の育成馬が、食餌後に疝痛が始まったら結腸左背側変位じゃないか?
とか、
小腸閉塞で胃液が逆流するようになったら、もう手術した方がいいな。
とか。
だから、小腸捻転手術2日後の結腸捻転とか、
子牛の小腸捻転とか、あまり経験がないことに出会うと戸惑う。
動物種が違うとなおさらだし、
飼養環境がちがうだけでも経験則は役に立ちづらい。
しかし、常に客観的指標により確定したり、除外すべき疾患に見落としがないか、気にかけて診療することが大切なんだなぁと思うこのごろ。
なので、今回の記事ははとぽっけの机上のお勉強とシンクロして、興味深く、おんまさんとうしさんのことを読みました。
飼養環境の情報については、わんこ・にゃんこの先生もかならず質問なさいますね。
もう秋の青空ですね。おんまさんはほどほどに肥えるようだといいのでしょうか?
x線画像で骨折線のようなものが見えても、こんな折れ方をすることはまずない。ということで否定できることがずいぶんあります。パターンを知るということは何にもよらず大切ですよね。
ポニーには晩秋の草は危険なようです。糖分を蓄えているので、食べ過ぎると蹄葉炎になります。これもまた疫学情報です。