2021年度はプレート固定を13頭
プレート抜去手術は7頭を吸入麻酔で。
プロポフォール持続点滴麻酔で顔面骨骨折プレート抜去を1頭。
無麻酔、立位で尺骨骨折プレート抜去を1頭と、第三中足骨骨折プレート抜去を1頭、顔面骨骨折プレート抜去を5頭、下顎骨骨折プレート抜去を1頭。
牛のプレート固定が、橈骨1、中手骨1、TPC1。
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家畜高度医療センターでは、プレートを使って骨折を治療するのも、珍しい手術ではなくなっている。
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先週の日曜日、新生子牛が脛骨近位を粉砕骨折している、との連絡。
「必ず治せるとは言わないけど、治せる可能性は大いにあります。
給付外料金がかかりますけど、どうしますか?」
飼い主さんは、以前にも骨折した子牛を手術して治してもらった経験者だそうで、「やってください」とのこと。
確かに粉砕骨折だ。
近位側にプレートスクリューを入れる長さがないのが問題のひとつ。
骨端にもスクリューを入れて、成長板をまたぐプレート固定をするしかない。
しかし、ふつうのプレートでは骨端部にもスクリューは1本しか入らない。
脛骨近位骨幹端は割れてしまっていてスクリューが効かない可能性もある。
T-LCPを使えば、骨端に3本スクリューを入れられる。
LHSが効けば、体重を支えてくれる。
しかし、骨端の良い位置へ良い角度でスクリューを入れるのはなかなか難しい。
LCPはプレートの位置と角度が決まってしまうと、LHSの角度も決まってしまう。
近位骨端に1本LHSを入れることができた。
骨折の遠位部にはLHSが2本入っている。
47kgの大きな黒毛子牛だが、充分に体重を支えてくれるだろう。
骨折肢は、少し外反し、内向してしまった。
粉砕骨折なので、骨折部をぴったり合わせて完全な整復をすることはできなかった。
外反していることは悪くはない。
プレート固定が内側の成長を抑えるので、成長に伴ってこの肢は内反するだろうから。
新生子牛なので、骨癒合は速いかもしれない。しかし、粉砕骨折なので、骨癒合は遅れるかもしれない。
プレートは抜かなければならないが、6-8週間後だろう。
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新生子牛の骨折で問題なのは、赤ちゃんの重傷なので、他のダメージやリスクを抱えていることだ。
初乳製剤を飲ませて手術に連れてきてもらったが、低IgGかもしれないし、低蛋白血症かもしれない。
他の部位にも打撲や骨折があるかもしれない。
肺炎、下痢、臍帯炎、が多い日齢でもある。
母牛は、もう何産もしているのだが、興奮してしまって子牛を育てられるような状態ではない、とのこと。
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手術後、骨折肢の後膝は完全には屈曲しなかった。
関節近くにT-LCPを入れて、周りの筋膜をひっぱって傷を閉じなければならなかったせいだろう。
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子牛は5日目に立てるようになったそうだ。
最初は三肢歩様だったが、徐々に骨折肢も着けるようになったとのこと。
9日齢には他の子牛の元気と差がないそうだ。
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これは麒麟。
だめだな~ こんな直飛(まっすぐな飛節のつくり)じゃあ
繋が短くて、立ちすぎている。
尻の筋肉が乏しくて、腹ボテじゃん。
こちらは鷽(ウソ)。
前も折っている農場なら結構大規模なのでしょうか。
まあ北海道ですし。
自身の経験からリピートしてくるなら確かなところでしょう。
治療に限った話ではないのですが、隣の芝生は青いところがあって、自分もやってみたいだけだとなかなか期待に沿えないところもあります。
そこで信用を積み上げていかないと軌道に乗らないのですけれどね。
LCPは遠位保持できますから過剰にプレートを作らないほうがいいのかもしれませんね。
あくまでも理想を大事にするくらいで。
馬医者先生はもしかして頭側で関節観ますか。
この像は肩も含めて関節曲がらなさそー、と思います。
立ち姿の力強さ強調するとこうなるのかもしれませんけれど。
前にもやってもらった、またやってもらいたい、と言ってもらえるのは獣医冥利に尽きます。
LCPも骨に密着させることに利点があるし、LHSは角度が決まってしまうために、LCPを乗せる位置や向きには精度が要求されます。やはりDCPより難しいと思います。
相馬は大事なのは横姿でしょうね。前から後ろからは必要項目のチェックです。銅像の維持のための力学はテーブルのようなまっすぐな脚が造りやすいのかもしれません。しかし躍動的な銅像もこの時代にもあったはずです。
治療を諦めて当然なほどの粉砕だったようで。牛は生きられそうならそのまま飼養することもあるそうですが、肉にも影響でそうですけどね。この子牛はいいとこで生まれましたね。
うわー、空想の産物、麒麟にも普通に馬並みの感想。逆に麒麟にご利益ありそう
時空を移動するのに脚は使わないでしょうね
鷽は感想さえ遠ざける姿なのですね。
こういう想像は今もゲームの発想と変わらないなぁと愉しく思います。
日高は、明らかに他の地域より骨折子牛の予後が良い、というデータも報告されています。X線撮影が普及していること、家畜高度医療センターがあるからです。
鷽は想像さえつかなかった、というところではないでしょうか。笑っちまうような姿ですよね。
整復に対する固定の許容度を妥協に回したらもったいないですね。
脆弱な骨質故スクリューが遊び出したら手をつけられないでしょうし。
全てのLHSは最後に入るのでしょうか。
入り出すまでは全体の整復に配慮する余地があるのでしょうけれども。
掌側観がちなんですけど、整形的には突っ張り側が壊れがちなんですよ、みたいな考え方もあるのかなと。
指関節なんてどうなってるんでしょう。
キリンは偶蹄ですけれど麒麟は奇蹄なんだ、とは別の話ですが。
躍動感出すなら関節曲げて筋肉盛りっと、ですか。
近位骨端へのLHSは先にうちました。あとは皮質骨スクリューをすべて入れてからLHSですね。
球節も飛節も角度がだいじです。直線でないがゆえにその重要な機能を果たせます。
たしかに「キリン」ですからね。偶蹄であるべきかもしれません。しかし、馬の方が尊重されていたことから、ほとんど馬の姿なんでしょうね。
牛なら確率や労力考えても折れたの抜けるの北海道はhig先生のところだけ、でもパフォーマンス的に見合うのかもしれません。
それぐらい技術普及し始めているのではありませんか。
骨端壊さないようにの手技は常識なのでしょうけれども、牛に限らず若齢整形にはまた別のノウハウが構築されていくのかもしれませんね。
wikiみたら麒麟すべてが奇蹄ではないみたいです。
結局想像と空想の二階建てみたいな。
予定外のことが起こると、術中画像撮影、器材、麻酔の安定性、マンパワー、など総合力が問われます。
新生子牛では特有の技術が必要なのでしょうね。「できるだけ内固定は避ける」が小児整形外科の基本のようですが、子牛も子馬もそうはいきませんので。
キリンビールの麒麟はダイナミックですよね。