馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

10年目研修 骨折内固定

2018-11-08 | 講習会

北海道NOSAIでは、10年目の獣医師を集めて1週間の研修をしている。

北海道各地で、NOSAI獣医師として10年働いて、また集まる機会があるというのは素晴らしいと思う。

(私たちのときはそのような研修はなかった)

その研修の1日を受け持って、子牛の骨折内固定を指導しに行った。

参加者8名。

生き残っているのは半分ほど、だそうだ。

Synthes Vet の全面協力で、実践的な実習ができる。

AOのcourse に準じた研修と言っても良いだろうと思う。

AOのcourse だと1日5万円ほどの参加費を取られる。この研修は・・・・・・笑

私は、このような実践実習を指導するのは、もう・・・・那須、宮崎、十勝・・・とやってきたので4回目。

今回は、2名ずつの4チームだったので、各チーム人手が足らないくらいだった。

2名とも指導を受けながら、交互に実習できた。

とても濃密な時間だったと思う。

            ー

各地域に骨折内固定機材も導入され始めている。

普及するかどうか、この数年にかかっていると思う。

「プレート固定してでも牛の骨折を治せるようになったのはあの頃からだよ」

と言われるようになるのか、

「あの頃、器材を買い込んだけど無駄に終わったし、むなしい努力だった」

になるのか、

今、現役獣医師であるわれわれにかかっている。

          //////////

研修の朝、研修所周辺を散歩した。

かつては郊外で空き地がいっぱいだったのだけど、今はおしゃれな家が建ち並ぶ住宅地になっていた。

街路樹も美しかった。

いくつかの公園もよく整備されている。

私はこの家畜臨床講習所で臨床獣医師にしてもらったと思っている。

今は、研修所。

家畜臨床講習所研修生の名を刻んだ銅板ははずされてしまい込まれていた。

大動物臨床獣医師の最も充実した卒後教育を行ってきた機関であり、それは現在も継続されている。


 

 

 

 

 

 



12 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2018-11-08 20:47:58
 すごい実習風景ですねー!
 10年経験を積んでの、1週間の研修には経費もその間の業務のバックアップも、いろいろ大変そうです。うらやましい先生も多いかと。
 牛さんが大事にされる時代が長く続くようにと願います。
 木々も冬支度済ませて、すっきりきれい。
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ありがとうございました (M木)
2018-11-08 23:26:33
hig先生ありがとうございました。Synthes Vet, Canon, ホクヤクさんのサポートもあり非常に濃密な研修の1日でした。新規獣医師臨床研修でキャスト(外)固定、1期5年目で創外固定、2期10年目で内固定術実習、月齢、骨折バリエーションに応じた対応スキルを身につけることによって、牛の臨床現場において骨折=廃用の概念を3年以内に限りなく0(?)にできればと思います。
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>はとぽっけさん (hig)
2018-11-09 06:08:54
10年たって、また同期の仲間と1週間過ごせることの意義も大きいと思います。研修の中身もさておき;笑
技術的な内容だけでなく、後輩のコーチングのための講座もあるようです。
上部組織の研修ですから、断らなきゃ全員行かせてもらえるはずです。
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>M木先生 (hig)
2018-11-09 06:13:26
画像診断の重要性とDRの威力も十分に感じていただけたと思います。牛臨床にも「整形外科」が取り入れられていくことを期待します。日本の牛は世界一高いと思いますし、子牛は可愛いです。臨床獣医師になった喜びと誇りを感じられるような診療のひとつになるかと思います。
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Unknown (zebra)
2018-11-09 07:42:45
全国の中堅講習と被るところがありますね。
それで構わないと思います。
今がどれほどか正確には知りませんが、かつて全国の半分が北海道に就職していましたから、全国研修の半分が道人でも本当はおかしくない笑
中堅までに全国に散らばってしまうのか。。

問題は内固定を自前でやろうと考えていた人は粗方いなくなっていたのではないかという点なのかも知れません。
しかし器具の使い方ぐらいは全員が経験しているというのは大事でしょう。
自前でやろうと残っていく職員のサポートが今回経験された獣医師の役割かも知れませんよ。
ですから、ここから10年で継続的に実施されてく体制を構築していく事になるのではないかと思います。
その間惰性ではなく、適応症をよく考えながら進めていく事だろうと思います。
治らないものダメ元で試してたまたま治った様な症例が報告されていく様では、飼養者に受け入れられる技術にはならないでしょうね。
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Unknown (piebald)
2018-11-09 10:28:22
10年経った時点での、研修って、有意義でしょうね。これからの診察にも、購入する機材も生かせる獣医さんしか、集まらないでしょうね。
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>zebraさん (hig)
2018-11-09 17:34:47
全国の中堅講習というのがどういうものなのか知りませんが、大動物獣医師の半分以上が北海道に居るのは間違いありません。牛も馬も半分以上が北海道に居ますから。

自前で我流でやろうとする獣医さんが居る(居た?)のは知っています。しかし、それでは素人レベルです。今は、AO法にのっとった基本を学び、手技を身につけ、必要な道具をつかいこなせるようになるべきです。知ってみれば我流では一生かけてもそのレベルに到達できないことがすぐに理解できます。
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>piebaldさん (hig)
2018-11-09 17:36:47
本当はこういう研修は、希望する人が参加するのが一番だと思います。その点では、10年目を全部集める、10年目でない人は参加できない、のはどうなのかとは思いますね。
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Unknown (某大学教員)
2018-11-09 22:10:04
かつて宮崎で先生にこの実習をお願いした者です。ご無沙汰しております。10年目というとかつての私の同期達かなと思いながら読ませてもらいました。

種を蒔かなくては何も生えないですし、蒔いても枯れた土地なら立派な木は生えないですし。臨床現場と教育現場がうまく協力し、より質の高い教育をできるようになればいいかなと日々感じております。
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>某大学教員さん (hig)
2018-11-10 05:07:42
牛の骨折内固定の本格的な実習をやったのは宮崎大が初めてでした。石垣島ではもう実践されたそうですよ。
今は、basic courseを1日でやるのが精一杯ですが、1日の実習だけで実践するのは厳しいです。もっと回数も多様性も増えて、お互いが情報交換しながら整形外科が普及していくべきだと思います。

そして、大学で大動物の整形外科も学生に教えてもらいたいです。

そのために大学の産業動物外科の先生たちが整形を学ぶ機会も作ってはどうかと思います。いつまでも小動物の器械を借りなければいけないようでは、ね~
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