馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

有茎脂肪腫による小結腸閉塞

2024-06-10 | 急性腹症

繁殖牝馬が朝5時から疝痛。

けっこうひどかったらしいが、直腸検査に来た獣医さんは、「あきらめろ」と言ったらしい。

20歳だからだろう。

間違った判断ではないかもしれない。

           ー

結局、6時間以上経って連れてこられた。

馬運車の中で立てなかったが引っ張って無理矢理立たせた。

腹囲膨満いちじるしい。

胃液も10リットル近く抜けた。

超音波検査で直腸壁は肥厚しておらず、小腸?らしき拡張した消化管が見えた。

PCV48

           ー

開腹したら、小結腸の閉塞だった。

それで、便も水もガスも抜けず、腹囲がひどく膨満したのだ。

ただ、これほど痛いのは小結腸閉塞にしては珍しい。

有茎脂肪腫が小結腸に巻きついて絞扼された。

高齢馬に多い。

この部分はもう壊死している。

切除吻合しなければならない。

小結腸の腸間膜は脂肪が厚くついていて、切除のために血管を結紮止血するのが難しい。

無影灯でも、窓の光でも良いから、透かしてみると良い。

血管の走行が見える。

これは私のオリジナルテクニック;笑

           ー

術後は軟らかい便が続くように給餌管理してもらう必要がある。

吻合部位は2週間後にもっとも狭くなる、とされている。

それを過ぎるまでは、あのボールのような小結腸便は通過しにくいからだ。

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オオデマリ

1本の幹だが葉色も花色もちがう。

そういうもんなの?

 

 

 



4 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2024-06-12 06:57:03
 子馬の腸管を見て小さいと思うのはここで見慣れたせいだと思うのですが、20歳の馬の腸管には老化が見て取れますね。
 あきらめずに馬運車を走らせた方々の気持ちに応えられてよかったですね。お馬さんも頑張った。まだまだ予断を許さないのでしょうけど、美味しい牧草が食べられるように、もう少しがんばって。

 オオテマリ ジェミニ?そういうものらしい、にしても見事な咲き分けですね環境によるもの?来年の姿はどうなのでしょう?
 白花ツツジに赤花や斑入りが少しずつ増えて、毎年同じところに咲くので取り木してみたことあります。この場合、トランスポゾンは定着という結果でいいのだろうと思っています。
 朝霧が晴れてさわやか~
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Unknown (ふみふみ)
2024-06-12 18:19:41
オオデマリですか、ぱっとみてアジサイ?と思ってしまいました。
二色が混合で咲くのは上の方も書いてますが他の花でも見かけますね、うちのそばでは紅白が一本で咲く桃があります。
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>はとぽっけさん (hig)
2024-06-13 04:38:05
20歳となると手術や麻酔自体も、術後の回復も若い馬と同じとは行きません。腸管の見た目もそうかもしれません。脂肪腫もひとつではなく、いくつかありました。

そういうと動物でも左右で虹彩の色がちがうとか、ありますね。不思議。
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>ふみふみさん (hig)
2024-06-13 04:41:44
1本の木に赤と白が咲く桃ですか。きれいでしょうね。木は接ぎ木できたりもしますが、そういうことではなく、局所で遺伝子の発現が異なる、ということなんでしょうか・・・・
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