妊娠末期に、母馬がひどい状態に陥ることがある。
致命的な骨折とか、消化管破裂とか、子宮動脈破裂とか、etc.
そういうときに、帝王切開して仔馬だけでも助けられないかやってみることがある。
ただし、分娩徴候がまったくないときに帝王切開しても子馬が助かる可能性はほとんどない。
馬では仔馬が出生して呼吸する準備は分娩前の24時間ほどに急速に進むことが研究で知られていて、
それ以前に帝王切開しても仔馬は呼吸できずに死んでしまう。
人で未熟児が助かるようになったのは、肺サーファクタントを使えるようになったことが大きいのだが、
馬ではまだそのHow toがない。
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先週、膀胱破裂からひどい腹膜炎になった繁殖雌馬から緊急帝王切開で仔馬を取り出した。
その仔馬は元気になって、次の日、乳母に付けられた。
強い胎動で膀胱破裂したくらいだから仔馬が生まれる準備ができていたのかもしれない。
腹膜炎はひどかったが、消化管破裂による腹膜炎とちがい、猛毒であるエンドトキシンにやられていなかったのだろう。
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今週、盲腸破裂で緊急帝王切開して取り出した仔馬は数時間後に死んでしまった。
剖検したら肺の1/3ほどしか空気を含んでいなかったそうだ。
その母馬は、7年前、子宮捻転と膀胱破裂で2回開腹手術して助かった馬だった。
その後もお産していたが、3年前に子宮動脈破裂をして生死をさまよった。
その後は受胎しても妊娠維持できなかった。
今年はもう分娩予定日を過ぎていた。
しかし、疝痛を起こし、開腹手術したら癒着疝だった。3年前の動脈破裂で癒着を起こしたのだろう。
癒着を剥がし、小腸の閉塞を解除した。
翌朝は順調で、元気で食欲もあったのだが、昼前に状態が悪くなった。
消化管破裂だと判断して、再開腹し、盲腸破裂を確認した。
仔馬も一度は乳を飲めそうなくらいだったが・・・・・死んでしまった。
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今朝、「ゆうべから産気づいているが出てこない」と連絡。
来院してみると口粘膜チアノーゼでショック状態。
白血球数は2000と激減。PCVは50%超。
急いで緊急帝王切開した。
仔馬の口粘膜もひどいチアノーゼ。
お母さんの胎盤から酸素をもらっているのに、お母さんがチアノーゼなんだから仕方がない。
お母さんにオキシトシンを投与して、臍帯の臍動脈を鉗圧して胎盤の血が仔馬に戻る時間だけ待って臍帯を切る。
仔馬の気道を吸引して羊水を吸出し、気管挿管してデマンドバルブで酸素吸入する。
30分ほどの間に仔馬の口粘膜の色は改善した。
目つきもしっかりし、体を起こすようになった。
大きな牡仔馬だ。
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母馬は盲腸破裂だった。
助ける方法はない。
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ンニョウ ニャニャ ニョニョ とネコのような、海鳥のような鳴き声がすると思ったら、道沿いの水溜りでカエルが出産中だった。
どの生き物も、産むというのは命がけだ。
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すごい量だ。
魚卵が好きな日本人も食べないのは、味がないのかね。
そういうと悪食のカラスも食べない。
当たり前に元気なんて、何かの奇跡でしかありえないと思っちゃいませんか、医療現場でお仕事していると。
明日も晴れてうれしい、花粉症真っ只中だが。
でも子供時代がないなんて、可哀そうな気もします・・・・笑