18歳の繁殖雌馬。
前日にも疝痛だったそうだ。
そして、次の夜、7時半に疝痛発見。
フルニキシンをうっても転がるとのことで診療依頼。
夜10時に来院したときにはPCV70%、乳酸値9.7mmol/l。
痛くて立っていられない。
それだけの所見だが、結腸捻転であり、予後不良だと判断した。
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小腸も盲腸も大結腸も膨満してなんだかわからないかもしれないが、
手術するなら腕が入るだけの術創でも結腸捻転だと判断をつけられなければならない。
大結腸が腫れて分厚くなっていたら結腸捻転だ。
紫色の度合いで予後が推測できる。
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盲腸と結腸の間が見えるようにしているところ。
大結腸の前回りの捻転。
腹側結腸が腹側へ来ているので、360°の捻転だ。
どれだけ絞扼されるかは回転角度だけの問題ではない。
ペタンコなら折れていようが、捻れていようが、さほど締め付けられない。
しかし、膨満していると180°捻れただけで閉塞し、絞扼される。
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左はEquine Emergencies に載っている結腸捻転の模式図。
剖検した状態とまったく同じ。
と言いたいところだが、
この図では後ろ回りに捻じれ方が描かれ、矢印も後ろ回りになっている。
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こちらも後ろ回りだ。
よくある回り方は前回りだと思う。
どちらでもいいわけではないのは、どう回転させれば整復できるかに関わってくるからだ。
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暑そうだね~
体表からドップラーエコーで対象の腸管とその血流を把握することは手術の適応の判断の一助となるわけですね。
「腹八分目」、重く受け止めなくてはいけないと感じました。
牛の4変もそうですが、知っているから治せるので、考え込んでいたらどうにかできるものではありませんよね。
体表から大腸の血管が見えることはまれなのです。でも見えたら、それが盲腸外側紐の血管か、結腸動脈か判別しなければなりません。
これだけ膨満したら痛いだろうと思ってほしいんですけど・・・・
結腸捻転が続いていますが、昼間放牧した夕方から夜の発症。来院したら重症。が、続いています。食べすぎなんですよね。
私には、はるかに、想像できるレベルを超えています。
昔、乗馬クラブで、疝痛で死んでしまった馬の馬房の壁の、割と高い場所に、蹄で付けたと思われる傷が残っていました。
その壁の傷も、膨らんだ内臓の画像も、唖然としてしまい、何も考えられないです。
大丈夫です。捻れた結腸を自分で治す機会は来ませんから(笑)。でも知っておいてほしい人や、わかってもらいたい人でも、知る機会がない人は多いと思うんですよね。