馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

結腸捻転・変位と小腸閉塞の併発

2015-06-04 | 急性腹症

昨夜開腹手術した馬は、痛みと腹囲膨満はひどかったが、術前PCVは42%だった。

開腹したら結腸捻転に小腸が巻き込まれて小腸も盲腸も結腸も膨満していた。

その馬、2年前にも2回開腹手術している。結腸捻転と小腸閉塞と。

開腹して結腸捻転だとはっきりしたら、とくに膨満していないかぎり小腸を探査したりしないが、気をつけないと結腸の捻転や変位と小腸閉塞を併発していることがある。

今回のように結腸捻転に小腸が巻き込まれることもあるし、

小腸閉塞が先にあって、そのせいで結腸まで変位してしまったんだろうな、と思うような症例もある。

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先月来た繁殖雌馬。

2ヶ月前の分娩以来5回疝痛を起こしているとのこと。

術前の超音波検査では小腸閉塞像があった。

しかし、右の体表から結腸動脈らしきものも見え、結腸の変位も疑われた。

開腹手術したら、結腸は位置がおかしかった。

引張り出して骨盤曲切開し、内容を排泄させて、そのあと小腸を探査したら・・・・

空腸の最上部の腸間膜が破れて小腸が入り込んでいた。

今年の分娩で腸間膜が破れ、そして小腸が入り込むことで疝痛を何度も起こし、そしてその日は二次的に結腸まで変位してしまったのだろう。

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腸間膜の孔は縫合して閉じた。

colopexyはしなかった。

今年の分娩までは疝痛を起こしたことはない馬だ、ということだった。

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今日は、1歳馬の球節の関節鏡手術。捻挫で折れた骨片を摘出。

繁殖雌馬の食道梗塞からの誤嚥性肺炎と胸膜炎。気管支肺胞洗浄と胸水ドレナージをするが、予後は・・・・

急患で、初産馬の難産。

午後は、子馬の球節内反と中足骨湾曲の矯正手術。

もう一頭の子馬の肢軸異常はスクリュー抜去と蹄のエクステンション装着。

そのあと、急患で黒毛子牛の臍除去。

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4 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2015-06-05 23:18:09
 深刻顔で読み進んで、最後が難解。臍はホルモンやさんでもメニューにないし、と、いう理由でないことは確からしいと思いました。
 colopexyもすでにかなりの症例が集まっているのではないでしょか?再発の予測が適応の判断には大事な要素なのでしょか?
  オラ君、なんだか背中が青ざめてるヨ-ナ?空の青が写ったのでしょか?Blueな気持ち?カメラの設定かな。
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>はとぽっけさん (hig)
2015-06-06 05:42:03
臨床では難しいことを簡単にできるようになることもあるし、簡単なことを難解にしてしまうこともある、ということです;笑。

colopexyは100頭以上やりましたね。やらなければ再発率は20%以上でしょう。適切な方法でやれば再発は5%未満です。

「男の背中」ってイメージだったんですが、オカマなんだった・・・
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Unknown (zebra)
2015-06-07 07:40:42
前回の書き込みはいつもにも増して意味不明ですね。すみません。
関節鏡手術に上乗せして開腹手術が、という意味でした。

腸間膜が破けても癒着しないのは自体の運動性でしょうか。
剖検したら癒着がひどいという症例もあるのでしょうけれども。

簡単な事を難しくするというのも、慣れて忙しい先生からしてみれば迷惑でしょうけれども、そこを通る人間に反省があればまあそれも有りかと。
難しいことを簡単にやるですとか、パターン化してそれ以上は拾わないというのは獣医師としてまずいわけです。
統計的表現として二種類の過誤というのがありますが、ややもするとそれが同時に成立していることを見る症例も有ります。
もちろん自戒を込めてであります(苦笑)
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>zebraさん (hig)
2015-06-10 05:17:19
基本的には難しいことを簡単に終わらせるのがよいのでしょう。ただ、それが「あきらめ」じゃだめなんですけど。
簡単なことを難しく考えてみるのも必要なことがあります。ただ、診断や治療に失敗して難しくしているだけということもありますけど。
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