真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「好き者家族 バイブで慰め」(2001/制作:『三好家の人々3』製作委員会・セメントマッチ/提供:オーピー映画/監督:池島ゆたか/脚本:五代暁子/撮影:鈴木一博/編集:酒井正次/音楽:大場一魅/助監督:佐藤吏/監督助手:田中康文・井上久美子/撮影助手:西尾朱音/照明応援:下垣外純/録音:シネキャビン/スチール:津田一郎/現像:東映化学/協力:Star dust⦅阿佐ヶ谷⦆/出演:佐々木麻由子・河村栞・奈賀毬子・色華昇子・佐々木共輔・入江浩治・かわさきひろゆき/特別出演と声:神戸顕一/バーの客:池谷早苗・沢木みな・手塚南奈子・ハルナ・麻生みゅう)。
 “人の3倍はスキモノ”の、三好家一家の物語である旨ど頭に謳はれる。
 家長の杉男(神戸)はタイに単身赴任中、堂々と当地で謳歌する買春ライフをしたゝめた手紙を寄こして来る。幾ら五代暁子といへど、流石に無神経な神経を疑はざるを得ない。神戸顕一は写真でのみの登場、但しアフレコはする。欲求不満気味の妻・礼子(佐々木麻由子)に、座頭市に心酔するエロ爺・徳三(かわさき)。息子の椿(佐々木共輔)は全身性感帯といふ彼女・真梨奈(奈賀)を家に招くや堂々と熱過ぎるセックロスを極め、覗く徳三を喜ばせる。そんな最中、椿の双子の姉で、アメリカに留学してゐたさくら(河村)が、向かうで捕まへた彼氏を連れ帰国する一報が入る。
 娘の彼氏がブラピばりのイケメン白人かと礼子が勝手な期待を膨らませる一方、いざさくらが連れて来たのは、何故かわざわざアメリカで指圧を学んでゐる支那人の李(入江)であつたり、椿が彼女を家に連れ込むといふので徳三が再び真梨奈が現れるのかと期待と股間を膨らませてゐると、やつて来たのはオカマの紅子(色華)で一家は唖然とする。とパンチの効いたギャグを巧みに畳みかけつつ、要は好色一家がひたすらヤッてヤッてヤリまくるだけの始終が、潔く右から明後日へと一息に流れて行く。後には勿論何も残りはしないし、そもそも作つてゐる側にも欠片たりとてさういふ余計な色気なんぞありはしないであらうが、それはそれでそれとしての、あくまで映画としてでなくピンクとしてのひとつの完成形ではある。
 椿を紅子に奪はれ袖にされた格好の真梨奈は、河原で黄昏てゐたところ徳三に慰められ、あらうことか元カレの祖父とデキてしまふ。徳三×礼子×さくら×椿×真梨奈×李×紅子、七人の淫獣が入り乱れる文字通りの乱交の果て、三好家が迎へた翌日の朝。差し込む新しい陽の光に感化されたか出し抜けに一同は、「快感には性の違ひも、国境も、齢の差もない」!とオールドタイプからニュータイプに進化を遂げたかの如き結論に達する。こゝで気が利かないのが、音楽の大場一魅。そこまでで無駄に「サウンド・オブ・サイレンス」をパクッてゐる暇があるなら、どうしてそこで「イマジン」を撃ち抜かない

 出演者残り池谷早苗以下は、クレジット通り紅子が営む店の客要員。よく判らないのが今作が「三好家の人々」の3だといふことは、河村栞が礼子の姪・めぐみであるといふ以外にはほぼ完全にキャスト・配役とも同じ前年の「奥様 ひそかな悦び」が、「三好家の人々」の2になるのか。更にさうなると、「奥様 ひそかな悦び」を更に遡る、「三好家の人々」1が存在するといふのであらうか。


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