真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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駄楽ひまなときブログ
行きつけのお店のブログ、下戸なのに。しかも閉めたんだけどね
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友松直之監督のブログ、激しくエモーショナル
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自己紹介
福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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熟女のはらわた 真紅の裂け目/ex.DMM戦
さ行
/
2019年02月11日
「
熟女のはらわた 真紅の裂け目
」(1997/製作:国映株式会社/配給:新東宝映画/脚本・監督:佐野和宏/原題:『ふくろふの夏』/企画:朝倉大介/撮影照明:京王撮影兄弟会/音楽:安田光一/編集:酒井正次/特殊造形:松井裕一・山崎覚之/助監督:梶野考・森元修一/応援:広瀬寛巳/録音:シネ・キャビン/現像:東映化学/協力:中島宋松、福島清和、大迫さん、リスキー・バー、苗田忠彦、本多さおり、バンブー・ハウス/出演:麻生みゅう、佐野和宏、工藤翔子、白都翔一、吉行由実、神戸顕一《特別出演》、小林節彦、板橋元、チン・ピョー、楠本頼子、山岡樹《子役》)。撮影の京王撮影兄弟会は、斉藤幸一の変名。特殊造形メインが祐一でなく松井裕一なのは、本篇ママ。
寄るにしても寄り過ぎで何がどうなつてゐるのかよく判らない、手足から舐めた脱獄者の佐野が、眼光をギロリと呉れてタイトル・イン。八ヶ岳の山中を、タケオ(佐野)が囚人服のまゝワッセワッセ逃げる。それを見下ろす梟―の精密な模型―が、全篇を通して執拗も通り越し食傷するほど繰り返し繰り返し、殆どどうかした勢ひの頻度で登場する割に、その視点に如何なる含意があるのかは、節穴の見る限り佐野の口なり筆から確たる言葉で聞かぬことには瞭然としないにさうゐなく、あへて雑な物言ひを吹き散らかすならばいはゆる国映系が否定した、量産型裸映画といふ属性ないし本分に最も重きを置く当サイトの立ち位置としては、さういつた禅問答に何本か毛を生やした程度のモチーフに興味はない。山の中から一転、ネオンが安く光る
RISKY BAR
。服役中の刑務所から逃亡したタケオについて、弟分(白都)が店を訪ねて来た官憲の対応に追はれ、その声だけ聞こえる店内では、白都翔一の情婦・ユウコ(工藤)が呑気に悠然とグラスを傾ける。タケオを警察に売つたのは妻の頼子で、なほかつ白都翔一は頼子と関係を持ち、元来タケオの店であつたバーのマスターの座にも座つてゐた。タケオが草野球の男(多分チン・ピョー)を半殺しにして衣服を奪ふ一方、東京から援交男(小林)といづみ(麻生)が、あくまでデート限定の名目で八ヶ岳を訪れる。この期に改めて見てみると、デビュー年の麻生みゅう―封切りは「
ザ・痴漢教師 制服狩り
」(脚本・監督:北沢幸雄/主演:メイファ)の方が一ヶ月半早い―が最終的に首から上はウホッてゐるものの、手足はハッとするほど細い。時の流れは、残酷である。
俳優部残り、京極夏彦『魍魎の匣』の登場人物に遮られ素性に辿り着けない楠本頼子が、タケオ配偶者の概ねハーセルフ。佐野の映画にカメオで参加する―挙句ただでさへ数少ない絡みをもこなす―縁が謎な神戸顕一は、いづみを連れタケオが侵入した山荘に、現れた正当な管理者。吉行由実が、物件を見に来た有閑マダム。山岡樹は、エピローグに出て来る頼子の息子。問題が、切つてしまつたのか、消去法で板橋元に該当する配役がどうにもかうにも見つからない。
九戦目にして、
国映大戦
急展開。これまで素のDMMにも入つてゐなかつた国映作がex.DMMの、しかもバラ売りのみならず月額にもまさかの新規着弾。「バット・オンリー・ラヴ」(2015)で十八年ぶりの監督復帰を果たすまでの、佐野和宏商業第十五作に喜び勇んで喰ひついた。前回の「
ペッティング・レズ 性感帯
」(1993 秋/監督:サトウトシキ/脚本:小林宏一/主演:ゐろはに京子)に関しては、正味な話素のDMMでバラ買ひした直後に、ex.DMMのピンク映画chに新着してゐて正直微妙な心持ちでもありつつ、まあよしとしよう。キモオタたる者、好きなものに切る身銭惜しむべからず。
復讐を期し脱獄した男が、偶さか知り合つた援交少女を伴ひ、自らを裏切つた妻の所在地を目指す。結局元ゐた場所に戻つて来たりするのもあり、詰まるところあまり動かないロードムービー。外堀すら満足に埋められない、女主役のいづみが特にも何も輝かず、幾ら佐野だけ見てゐればそれでいいともいへ、逆に佐野のカッコよさくらゐしか見所が見当たらない起伏を欠いた物語は、平板な展開に終始した果て遂に力尽き、失速する感は否めない。これで叙情的にでも纏め上げたつもりなのか、そもそも撃つたの誰ならないづみと母子のミーツに開いた口が塞がらないか腰も砕ける以前に、女の裸をさして満足に拝ませもしない癖に、クレジットを起動させてから優に五分!もちんたらちんたら他愛なく潰す尺が象徴的な、漫然とした冗長な一作。とりわけ、撮影部は孤軍奮闘するギッリギリにソリッドな画の中で、大御大映画に出演する際と全く同様、何時も通りペッラペラにヒャッハーする白都翔一の迸るミスキャストぶりは比類なく、神戸顕一以上だか以下に今作最大の謎。別に、そこ既に二年目の川瀬陽太でよかろ?
唯一正方向―かどうかも甚だ疑はしいが―に特筆すべきは、無理ッから捻じ込まれる吉行由実の濡れ場。山荘内に通された有閑マダムは、暑いからとか神戸軍団総帥に脱ぐやう促し、自身も「許して下さるはね」だの上品ぶつた台詞を垂れながらザックザク脱ぐ。
ぶ、ぶわはははは!
よもや佐野が今上御大と寸部違はぬ底抜けシークエンスを撮るとはと、度肝を抜かれると同時に腹を抱へた。
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