真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
仮名遣ひは正仮名を使用。
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スチュワーデス みだらな私生活/DMM戦
小林悟
/
2017年11月21日
「
スチュワーデス みだらな私生活
」(1994/製作・配給:大蔵映画/脚本・監督:小林悟/撮影:柳田友貴/照明:渡部和成/編集:㈲フィルム・クラフト/スチール:佐藤初太郎/録音:シネ・キャビン/音楽:東京スクリーンサービス/効果:サウンドBOX/助監督:国沢実・広瀬寛巳/現像:東映化学/フィルム:AGFA/タイトル:ハセガワ プロ/出演:吉行由美・冴木直・藤沢美奈子・愛田真奈・西野奈々美・白都翔一・坂入正三・樹かず・森純・神戸顕一・港雄一)。
飛行機のエンジン音から雑踏にズームで寄つた先は、三人組のスチュワーデス。エアロジャパン航空国際線の、画面左から葉子(藤沢)・ミヨタ瑛美(吉行)・エリカ(西野奈々美/a.k.a.
草原すみれ
)が、“機内”と“着ない”をかけた他愛ないネタに話の花を咲かせてれてれ歩いた上で、改めてANA機の機影にタイトル・イン。適当な札の提げられたエアロジャパン航空乗員部、開巻を背中に引つ繰り返した葉子・瑛美・エリカの並びでシャワーを浴びながら、社内不倫を称して機内食や男性自身の意で管制塔まではまだしも、ビアンが胴体着陸で―勃起の―持続時間が滑走路となると由来が全然判らない、オリジナルの隠語を駆使して各々の外堀を何となく埋める。のはこの際さて措き、早くも巨乳部を三枚揃へたジェット・ストリーム・アタックが苛烈に火を噴く中でも、とりわけ藤沢美奈子の超絶ぶりが圧巻。コンビニから制服のまゝ出て来た葉子を、足元しか見せない謎のバイカーがロック・オンする一方、エリカは瑛美と葉子には否定した、胴体着陸こと百合相手に連絡する。
配役残り、無造作な吉行由美によるアテレコで観客―か視聴者―の耳を幻惑する愛田真奈が、エリカのお姉様・キミエ、寿退職してゐる。その頃瑛美の部屋にゐた白都翔一が、機内食相手にしてキミエの夫でもある丸山修一。更にその頃、この人もこの人で制服のまゝ狭いバーで荒れる冴木直は、エアロジャパンの国内線客室乗務員・マキ。マキが荒れてゐる理由は、丸山の不在、シラート途方もないヤリチン野郎。神戸顕一が何やかや丸山にあやつけつつ、何だかんだとマキを手篭めにする外道マスターなのはある意味麗しきタイプキャストとして、ところで瑛美の部屋と神顕の店に、同じZI:KILLの「VIDEO ROCKET LONDON SIDE」(1993年発売)のポスターが貼つてある謎のメッセージ性は何なのか、誰のといふのと。坂入正三は、嘘労災の認定を受けての休職期間中に、銀座のクラブでバイトしてゐたエリカを喰ふ部長。キミエは兎も角真性だつたのか、この時までエリカ処女。港雄一は、弁護士会会長といふとかなりの要人でもある、瑛美パパさん。森純も森純で葉子が関係の継続を瑛美とエリカには否定した、フライト中の機内で捕まへたロック歌手・キタロウ。そして樹かずが、殆ど忘れかけたラスト五分、漸くにもほどがある再登場を果たし自宅の葉子を襲撃するレイプマン。ところで樹かずと森純は、前年の第六回ピンク大賞で特別賞を受賞―何が評価されたのかは知らないが―した、神戸顕一率ゐる神戸軍団の成員。残り二人はマオックスとやまきよ、同窓会的に再結成して呉れたなら脱糞するほど特大歓喜する、
糞は漏らすな
。
三月下旬封切りといふと盆暮れでも黄金週間でもない割に、異常に俳優部の豪華な小林悟1994年第五作、ピンク限定だと第三作。エリカとキミエが咲かせる百合と、吉行由美V.S.白都翔一戦が並走する以降を臆面もなくトレースしてのけると、まづ冴木直V.S.神戸顕一戦が二戦を追走。瑛美宅を適当に辞した丸山は、恐らくマキの家風呂でマキを抱く二連戦を華麗に敢行。続けざまに、瑛美にパパさんから上京する旨の電話がかゝつて来る。坂入部長がエリカの水を揚げる件に続いて、港会長はジョイトイ満載で瑛美とお楽しみ。そしてキタロウが藪蛇に葉子の菊を散らし、丸山家夫婦生活挿んで、樹かずが葉子を襲撃する。葉子はマジ休職、何時も三人エリカの車で出勤する瑛美が「私達つて何をしてるのかしら」と軽く自嘲してのけると、エリカが「私達つて何を夢見てるのかしら」と受け心にもない空白感を表出した上で、再びANA機の機影に“完”。物語もへつたくれもあつたものではない、確かにスチュワーデスのみだらな私生活を描いてはゐるものの、銘々が好き勝手にヤリ倒すかヤラれ倒すばかりの六十分。となると珠瑠美の純粋裸映画と何ら変りはない筈なのに、それでも大御大仕事の方が余程全うな劇映画にも映るのは、流石に侮り難い演出上の地力の差か。ビリング頭の吉行由美が、実はただ一人絡みを一回きりしかこなしてゐないのは気づくとバランスを失してゐなくもないとはいへ、劇中退職後のキミエまで含め、女優部が下着以外にはスチュワーデスの制服しか身に着けない徹底した姿勢は清々しい。
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