真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「痴漢電車 舌は許して」(1994/製作・配給:大蔵映画/監督・脚本:小林悟/撮影:柳田友貴/照明:永井日出雄/編集:㈲フィルム・クラフト/助監督:国沢実/スチール:佐藤初太郎/フィルム:AGFA/音楽:TOKIO BGM/録音:シネ・キャビン/現像:東映化学《株》/出演:吉行由美・西野奈々美・藤沢美奈子・板垣有美・七重八絵《新人》・冴木直・港雄一・白都翔一・樹かず)。
 鉄橋を通過する電車にズームして車内、白都翔一が如何にも怪しげに周囲を物色して起動する、何気に開巻は痴漢電車的に完璧。河原(白都)は吉行由美に強引に接触、パンティ越しの観音様攻略戦をじつくりと見せた末に三分前、軽くフュージョン系の劇伴が鳴り始め再び走行する電車のロングにタイトル・イン。由美りんは河原の指戯に失神、適当な近場の公園で介抱されると妙なノリのよさを大発揮。早朝ソープの出勤に郊外から乗つて来たにも関らず、ちやうど降りたすぐそこにもあるとかいふマンションに、サクサク河原を連れ込む。由美りんが二ヶ所に家を持つさりげなくも強力な不自然さを、別に後々回収するでも何でもない実に大らかな大御大仕事は、判で捺すが如き配役で板垣有美がママの店で半田(港)・石井(樹)と飲む際の河原の回想。挙句に女に対しての口唇性行を嫌悪する石井と半田の会話に絡むですらなく、単に河原が勝手に想起してゐるだけといふのが奮つてゐる。小林悟の映画は、何処まで自由なのか。重ねて河原の勝手な回想は続行、七重八絵が、二度目に登場する時とでクンニを拒むのか好むのか造形が180°フレキシブルに変化する河原カノジョ。グダグダあるいは、何も考へてゐないだけともいへる。兎に角、半田の思ひつきで三馬鹿は、五万円の賞金を賭けて―半田が成功した場合は二人で二万五千円づつ―電車痴漢でのハモニカに挑戦する。
 残り配役西野奈々美は石井カノジョ、西野奈々美の絡みは迫力がある。西野奈々美と同一人物である草原すみれの関係を改めて整理しておくと、元々はAV時代からの名義である草原すみれでデビュー、初陣は「団地妻 不倫つまみ喰ひ」(1992/監督:池島ゆたか・鳥丸杏樹/脚本:五代響子/未見)。その後基本大蔵と新東宝では西野奈々美名義を併用する形で活動しつつ、確認出来てゐる範囲で、北沢幸雄1993年第三作「痴漢と覗き -社員女子寮篇-」(脚本:笠原克三/主演:上杉愛奈)ではエクセスなのに西野奈々美で出演してゐる。河原と石井個別のトライ・アンド・エラーを経て、河原は三人がかりでのジェット・ストリーム・アタックを思ひたつ。ビリングの―実際劇中の扱ひも―低さが地味にストレンジに映る冴木直は、ジェット・ストリーム・アタック一人目の犠牲者。超絶美身をどうでもいい濡れ場で空費する勿体なさがある意味気前のいい藤沢美奈子は、ジェット・ストリーム・アタック二人目の被害者。
 電車痴漢に於いて女陰を舐めることは果たして可能か、一見果敢か魅力的な風呂敷を拡げてみせたかに思はせた、小林悟1994年第六作、ピンク限定だと第四作。結局三馬鹿が展開する三位一体のフォーメーションが、三人でドア際の女の三方を封鎖した上で、内一人が身を沈めるといふ創意工夫の欠片もない解答には、困難な障壁をクリアする娯楽映画のカタルシスもへつたくれもなく、ラスト河原が単独で成し得るに至つては、座つた座席からそのまゝ前に立つ女の股間に首を伸ばすだなどと、グルッと一周したプリミティブが前衛性の領域に突入しかねない―する訳ないが―底の浅さといふか何といふか、底といふ概念自体の消失具合に、今更ながら量産型娯楽映画の極北に触れた感を強くする。


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