真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「いんび巫女 快感エロ修行」(2012/製作:ナベシネマ/提供:オーピー映画/監督:渡邊元嗣/脚本:山崎浩治/撮影照明:飯岡聖英/編集:酒井正次/助監督:永井卓爾/監督助手: 山田勝彦/撮影助手:宇野寛之・大坪隆史/編集助手:鷹野朋子/応援:広瀬寛巳/効果:梅沢身知子/タイミング:安斎公一/協力:中田圭/協力:他一社、ウィズコレクション/出演:眞木あずさ・Maika・野村貴浩・なかみつせいじ・津田篤・西藤尚・山口真里)。出演者中、西藤尚は本篇クレジットのみ。
 飛騨山脈、渡邊元嗣四作前「人妻旅行 しつとり乱れ貝」(2011/主演:星優乃)に於ける、矢張り開巻の舞台としても見覚えの新しい高台。因みに、劇中設定では大蔵ならぬ大倉山。会社を無断欠勤してその地を訪れた樋口彩乃(眞木)が、ポップに思ひ詰めた風情で佇む。自らのお人好しを恥ぢる、イメージ風の絡み―その中に見切れる巨漢の男は、永井卓爾の役得か―を挨拶代りに噛ませ、弾みでバランスを失し崖から転落しかけた彩乃を、田島理恵(Maika)と哲司(なかみつ)のカップルが両側から腕を掴み危ふく助ける。山中、一年前に病死した姉・北島冴子の墓を参つた彩乃は、今度は男運のなさを嘆く。彩乃のこの一年の男性遍歴はといへば、浮気・ギャンブル狂・酒乱・女装・DVと来た止(とど)めに、結婚詐欺師に有り金を巻き上げられてゐた。消沈し自死すら口にする彩乃の前に、「そんなこと考へたらあんたブッ殺す」と物騒に、ベリー・ショートの巫女装束に三角頭巾を合はせた、冴子の幽霊(山口)が堂々と登場。彩乃が仰天したところで、幾らナベシネマにしてもショボ過ぎるタイトル・イン。
 彩乃が目を覚ましたのは、ペンション「大倉山荘」。傍らには相変らず平然と冴子―だから故人―と、代々巫女の血筋で実は霊能力を持つ彩乃だけでなく、冴子の霊が3Dでバッチリ見える、冴子の夫即ち彩乃からは義兄に当たる、「大倉山荘」管理人の亮太(野村)が。冴子今際の間際の夫婦生活回想をコッテリとこなした上で、妹の男難は、無節操な淫乱の悪霊が憑いてゐるからであるとする冴子は、改めて後述する悪霊祓ひの修行を彩乃に課す。やがて上達の兆しも窺へ、いよいよ姉とお揃ひの巫女装束を着装した彩乃を、何者かが昏睡させ拉致。彩乃が再び意識を取り戻すと、そこには妙に暗い表情の理恵と哲司とが居た。
 彩乃が二人を文字通り昇天させた「大倉山荘」に現れる津田篤は、ネット情報を鵜呑みに霊感女将を頼る竹内道彦。写真と声のみ出演の西藤尚は、半年前に没した道彦妻・尚子。
 2012年も好調を軽やかに維持する渡邊元嗣の第一作は、何はともあれ、何はなくともオッパイ映画の名作。冴子がこの世に残した未練云々や、クライマックスの姉妹キャットファイトへの導入。語り口は終始そこかしこでゴチャゴチャと滞つたり躓きはしつつも、細かいことは気にするな。映画にとつて必要なものを三つ挙げるとするならば、当サイトが提出する答へはアクション・特撮・女の裸。とりわけ最も肝要なものは、それはオッパイに決まつてゐるぢやないか。これは形而上学だ、異論・反証の類は認めない。もう一度いふ、何はともあれ、何はなくともオッパイだ、オッパイといつたらオッパイなのだ。何だか、処女の純潔を―どうかした勢ひで―激賞する北村透谷にでもなつた気分。今作の白眉は冴子が彩乃に施す、悪霊祓ひの修行と称した桃色特訓の数々。まづは水行、巫女装束の彩乃を滝に打たせ、背後から合羽を着た冴子が露にさせたオッパイを揉みしだく。続いては習字、習字?兎も角快楽を超克させるべく、“色即是空”を書かせた彩乃を後背位で、冴子が羽箒でくすぐり責める。更には縄を秘裂に喰ひ込ませる縄行―何だそれ―に際しては、何故かスクール水着を着用。その結果、結構際どい画をレス修正で見せる、もとい魅せる。今度は赤ブルマーでの、ローター仕込み山頂マラソン。そして仕上げがエクストリームに素晴らしい、絶頂に達する直前に張形を次々とチェンジする、御百度オナニー!バイブの輪の中心で眞木あずさが手当たり次第に新しいバイブを観音様に宛がふ光景は、馬鹿馬鹿しいのと同時に破壊力も抜群。エクセスのエロ映画重戦車軍団をも蹴散らし得よう、滅多にないナベの豪腕が火を噴く。かと思ふとそんなオッパイ祭りの合間には、一人風呂に浸かる彩乃を、亮太がドア越しに訪ねる件。浮かれてゐると何気ない繋ぎの一幕で、容易く正方向にホロッと来させる辺りには、映画監督渡邊元嗣の決して侮れない地力がスマートに漲る。明るく楽しく、なほかつ扇情的に眞木あずさのムッチムチのオッパイを尺もタップリと費やしお腹一杯に愉しませ、そこに山口真里の蕩けさうな美巨乳が適宜飛び込んで来る。眼福などといふ言葉では納まらない、この至福、このたほやかに満ちる多幸感。これが娯楽映画の到達点でなくして、果たして何であらう。単なる即物性に過ぎまいだとかいふ輩は、豆腐とオッパイ代りにマシュマロの角にでも頭をぶつけてデスればいい。とまれ、再々度繰り返すがオッパイ映画の名作。待てよ、流石に映画的に“名作”とまで評するのは、我ながら如何なものかと自省せぬでもない。それならば映画はさて措き、

 オッパイの名作。

 最後に、唯一の不満は、野村貴浩のポジションの、西岡秀記の不在。と書きかけて、嫌な予感がしたのでナベの2012年にザッと目を通してみたところ、二作前の2011年第四作「ノーパンの蕾 濡れたいの」(主演:西野翔)を最後に、西岡秀記の名前がビリングに見当たらない、卒業してしまはれたのか?元来が保守的な人間なもので、組常連の役者が居なくなることは、とても寂しい。
 コッソリ付記< 後部協力の他一社は、変心したオープンハートペンション平川


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