真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
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福岡市在住のピンクス。ピンクスとは、ピンク映画愛好の士、を意味する造語である。
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ノーパン家庭教師 痺れ下半身
さ行
/
2008年07月22日
「
ノーパン家庭教師 痺れ下半身
」(2005/製作:シネマアーク/提供:Xces Film/監督:下元哲/脚本:関根和美・水上晃太・宮崎剛/企画:稲山悌二・奥田幸一/撮影:下元哲/照明:代田橋男/編集:酒井正次/監督助手:高田宝重/撮影助手:岩崎智之・中村拓/出演:合沢萌・佐々木基子・間宮結・なかみつせいじ・久須美欽一)。出演者中間宮結が、ポスターには間宮ユイ。
ピンク映画既出の温泉宿を舞台にした宮前家、家長の弘太郎(久須美)は既に仕事は定年退職し、後妻の由美子(佐々木)、高校生の娘・紫苑(間宮)との三人暮らし。紫苑は継母の由美子に対しては、明確に快く思つてはゐなかつた。受験生である紫苑の為に、由美子の姪・古沢栞(合沢)が、宮前家に住み込みの形で紫苑の家庭教師に当たる。とかいふ次第で、栞と紫苑の家庭教師シーンにて開巻。とはいへノートにマンガを描いてばかりの紫苑に、まるでヤル気は欠片も無いのだが。紫苑は由美子が連れて来た栞に対しても、あからさまな反目を隠さうとはしなかつた。ところで、
間宮結が女子高生?
制服一辺倒な衣装やおさげの髪型で、精一杯胡麻化さうとした苦心の跡が窺へるのは微笑ましいが、ツーショットでは何処から見ても合沢萌より年上にしか見えない。さて措き、もとい、さて措け、けふのところはひとまづ栞が匙を投げたところで、カット変ると深夜に時間は飛び下着姿での合沢萌排泄シーン。ヒロインのその姿を描くことに最早執念すら感じさせる、下元哲の頑強な姿勢が清々しい。栞は洩れ聞こえる弘太郎と由美子の夫婦生活の気配に、自ら秘裂に指を這はせる。
翌日。教科書を逆さに持つ子供染みた抵抗を見せる紫苑は、シモネタを栞にぶつけるばかりで矢張り勉強する意欲をまるで見せない。業を煮やした栞は、不意に紫苑の唇を奪ひ黙らせる。その夜、一切会話の交されぬ異様な夕食の風景。紫苑と由美子の対立に加へ、定年後家でゴロゴロするばかりの弘太郎にも、家の中に居場所は無かつた。ここのところに関しては、残念ながら事前の佐々木基子と久須美欽一の普通に濃厚な絡みとの間に、生じる齟齬が解消されてはゐない。栞は由美子から水を向けられ、弘太郎にジャズダンスを教へることになる。
バラバラの一家に現れた、オフェンシブに官能的な家庭教師。ダンスのレッスン後、栞と弘太郎は露天風呂にて体を重ねる。栞を想ひ自ら慰めてゐた情けない現場を、由美子に目撃されてしまつたことを告白した弘太郎に、栞は「ワープしちやはうか?」と駆け落ちを持ちかける。一方紫苑は自ら栞を求めたところに、タイミングよく由美子が闖入。すつたもんだの末に、勢ひで紫苑は家を飛び出してしまふ。共に栞を巡り、父娘がそれぞれ宮前家から退場する。ここから掛け値なく意外な結末は強度を有しておかしくない筈なのだが、意外な弱点は主演の合沢萌。これまでは濡れ場要員を旨とすることが多いやうに見受けられ、その限りに於いては特に不足は感じさせなかつたのだが、この人よくよく見てみると、瞳に表情がまるで無い。映画の支柱として物語を牽引させるには、甚だ心許ない。ただでさへ飛躍の大きさが肝のサスペンスにあつては、なほさらその馬力不足が露呈されて仕方がない。変に生真面目にストーリーを追ふよりも、いつそのことスポーツブラに極小のホットパンツといふ、阿呆みたいに扇情的な衣装で栞がジャズダンスをタラタラ踊つてみせるやうな、どうでもいいが麗しくいやらしいシークエンスを延々連ねてみせた方が、素材の料理法としてはより適切であつたのではなからうか。
共に栞に袖に振られた格好の、弘太郎と紫苑。早々に悟つた娘に対し、老いた父親はなかなか事実を受け容れられない。子供の癖に、と負け惜しむ弘太郎に対し、男の不明を嘲笑する紫苑の一言が、より場面を整理する上でも欲しかつた。
なかみつせいじは、紫苑の援交相手・宮下誠一、純然たる男優部濡れ場要員に止まる。
宮前家の舞台となる温泉宿は、主にエクセス映画で何度か観たやうな覚えがある。たとへば中村和愛の「
美人女将のナマ足 奥までしたたる
」(1997/脚本:武田浩介/主演:須藤あゆみ)や、新田栄の温泉映画でも使用されてゐたやうな既視感を覚える。ところで改めて思ひ出したが、そもそも栞がノーパンといふ描写なんて別に無かつたぞ。
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