弁理士の日々

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各地の放射能汚染の現状

2011-06-24 23:24:46 | サイエンス・パソコン
ダイヤモンドオンラインで坪井賢一氏の特別レポート「実態がわかってきた関東平野の放射能汚染 各地で空間放射線量の測定進む」を読みました。

まずは、群馬大学教育学部地学教室の早川由紀夫教授が、東北・関東の各自治体が観測した数値を集めたデータをもとにして地図上に表し、ブログで発表した放射能汚染図拡大図)を見てください。

現在の東北・関東地方における放射能汚染がどのように分布しているか、定量的かつ一目瞭然に整理されています。
テレビや新聞を見ているだけでは、このような情報にはなかなか接することができません。放射能汚染状況に関して、政府は「見える化」に逆行した対応で極力全体が見通せないような公表を行っており、テレビや新聞はその政府の姿勢を追認しているだけ、というのが現状なのでしょう。政府が率先して、群馬大早川教授が行ったような「放射能汚染地域の見える化」に取り組むべきでしょう。

首都圏について見ると、放射線量の地域的な頂点は千葉県柏市、流山市あたりで、ついで松戸市、茨城県守谷市です。東京都東部や茨城県南西部、千葉県北西部の数値が高くなっています。
テレビ番組で、千葉県の特定地域に在住の母親たちが神経質になっている映像を見ましたが、理由がわかりました。実際に放射線量が高いのですね。

それでは、地図に示された放射線量の地域に住んでいる場合、どのような生活をしたらいいのでしょうか。

年間20mSvという目標があり、ICRP(国際放射線防護委員会)が「2007年勧告」で緊急時の一般公衆の許容量下限(上限100mSv)として決めた数値であり、事故収束時の上限だそうです。そして、1日のうち屋内に16時間、屋外で8時間の生活パターンの場合、年間20mSvをクリアーしようとすると、屋外の放射線量が3.8μSv/h以下でなければならない、という計算結果があります。
しかし、年間1mSvというのが、ICRPが勧告して日本を含む各国が法制度化している「一般公衆の年間被曝許容量」だそうです。年間20mSvではなく、年間1mSvを目指すならば、3.8μSv/hも20で割らなければなりません。すると、0.19μSv/hという値になります。取り敢えず、放射能汚染図の薄緑部分は0.25μSv/h以上ですから、この領域に入っていたら、「年間1mSvを超えるかもしれない」との注意信号が発せられている、と理解すべきなのでしょう。
『このラインを超えているからといってあわてても仕方がない。今後、地域の局所的な汚染スポット(側溝、水溜り、雑草が繁茂している場所など)を集中的に計測して発見し、除染の方法を考えるとか、子どもの屋外時間を減らすなど、年間積算量を減少させることはできる。まずは地域のデータをつかんで、できることからはじめて今後の被曝量を減らそう。』
川口市においては、
『(1)0.31マイクロシーベルト/hを超えた場合、保育所・幼稚園・小中学校の屋外の保育、授業時間を3時間以内とする。(家庭生活も含め、屋外での活動を6時間以内とする)
(2)0.38マイクロシーベルト/hを超えた場合、屋外の保育、授業時間を2時間以内とする。(同様に屋外での活動を4時間以内とする)』
という基準を作成して公表しているそうです。

そして目を福島県内に向けると、福島市は2μSv/hを超える領域にすっぽりと覆われ、東側は4μSv/h以上にかかっています。この地域にお住まいの方々のご心配がよくわかります。
一方で、福島第一原発から20km以内の避難地域であっても、4μSv/h以下であって福島市よりも放射線量が少ない地域がずいぶんとあります。これらの地域については、避難指示を解除していいはずです。放射線量が低くても一律半径20キロで定めている理由について、以前官邸は、「いつまた原子炉からの放射能大量放散が発生するかわからないから」と述べていましたが、現時点ではそのような危険時期は過ぎ去った、と見て良いはずです。

管直人首相を頂点とする官邸と政府は、まず現実をしっかりと見極め、生活の指針を提示していくべきです。その際、いたずらに安全サイドに偏るのではなく、「東日本のわれわれは今後数十年、この放射能とつき合って行かざるを得ない」という覚悟を見せるべきです。自分の人気にしか興味のない現首相には無理かもしれませんが・・・。
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