弁理士の日々

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日本の人工衛星たち

2007-11-25 20:02:19 | サイエンス・パソコン
《月周回衛星「かぐや」》

  提供 JAXA
「かぐや」については、打ち上げのときと月周回軌道突入のときに話題にしました。
その後も順調で、予定通りに2つの孫衛星を放出し、月表面から100km程度の円軌道に変更し、各種観測機器の準備を完了し、観測機器の試運転に入っているようです。

月の裏側の重力場の直接観測について11月12日に報告されています。
高度約100kmの月周回観測軌道に投入した月周回衛星「かぐや」の主衛星と、高度約2400km×100kmの月周回長楕円軌道に投入された「おきな(リレー衛星)」とを用いて、月の裏側の重力場の直接観測(4ウェイドップラー)試験を2007年11月6日(日本時間)に機能確認の一環として実施し、正常に観測ができることを確認しました。

地形カメラおよびマルチバンドイメージャによる観測状況が11月16日に報告されています。
月の裏側や極域での地形カメラによる10mの空間分解能での月の立体視観測およびマルチバンドイメージャによる20mの空間分解能での複数のバンドによる観測は世界で初めてとのことです。
地形カメラ(TC)は、可視域波長帯で衛星の真下に対してやや斜め前方・後方を撮影する2台のカメラで、世界で初めて、10mという非常に高い分解能による月全球の立体視(ステレオ)観測を月の昼間の領域に対して行います。
マルチバンドイメージャ(MI)は可視から近赤外波長域の9つの観測バンドで反射光を分析して鉱物分布を計測する観測機器です。異なる波長の画像を比較(比演算)することにより、鉱物分布やクレータ形成により月表層に掘り起こされた物質分布などの詳しい地質情報を得ることが出来ます。マルチバンドイメージャは最高20mの空間分解能を有しており、これまでの月探査機に比べ1桁高い空間分解能を持ちます。

《惑星間探査機「はやぶさ」》

  提供 JAXA
小惑星イトカワの観測を追えた「はやぶさ」は、満身創痍でありながら、地球への帰還の旅を続けています。
10月30日の報告によると、「はやぶさ」は10月18日にイオンエンジンを停止させ、慣性運転に入ったようです。2009年2月までこのままの運転を続け、そこで再度イオンエンジンを起動し、2010年6月に地球帰還の予定です。
ここまで、イオンエンジンの宇宙作動時間合計は3万1千時間、軌道変換量1,700m/sに達しています。2009年2月以降、地球帰還までの残り軌道変換量は、たったの400m/sだそうです。推進性能も推進剤残量も十分に余力を残しています。
イオンエンジン停止と前後し、姿勢制御を一旦スピン安定モードなるものに移行させたそうです。スピン安定に入っても発生電力を最大限に維持するため太陽を追尾し続ける必要がありますが、太陽輻射圧を用いたスピン軸制御のみで、太陽電池を常に太陽指向させる微妙な姿勢制御を実施するそうです。「はやぶさ」は不思議な能力を持っているのですね。

現在、JAXAのページではやぶさ物語の映像を見ることができます。プロローグ祈りがあり、「祈り」を見てみました。ナレーションなしの大部分がCGであり、ゆったりとした音楽が流れています。全編をとおして流れる甲斐恵美子さんによる美しいジャズの調べは、「はやぶさ」がまだMuses Cと呼ばれていたころに応援歌として作られたものだそうです。
地球から飛び立った「はやぶさ」少年が、女神に見守られながらミッションを遂行し、地球に戻ってくるまでの物語です。あらためて、はやぶさミッションを追体験することができました。

はやぶさが本当に無事地球へ帰還することを祈ります。
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