弁理士の日々

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日韓関係は今後どうなっていくのか

2012-08-19 11:40:15 | 歴史・社会
下記の論説が8月3日に投稿され、その直後の8月10日に李明博大統領が竹島上陸、その後の天皇に関連する李明博大統領発言と続きました。下記論説はまさにこれらの事件を予言しているかのようです。
日韓関係はこれからどんどん悪くなる 漂流する韓国を木村幹教授と「時代精神」で読み解く
鈴置 高史 2012年8月3日(金)
『韓国人は米中の間で上手に立ちまわって生き残ろう、と考えている。その際のひとつの分かりやすい方法は、日本をスケープゴートにしていくことです。中国からは得点が稼げますし、米国に対しては、過去の問題を持ち出すことで「説明」ができるからです。 』
『韓国には、従軍慰安婦問題など日本との紛争が起こるたびに「自分が言っても効果がないから、米国に日本を叱って貰おう」という発想が生まれます。最近はそれが微妙に変化して「慰安婦問題を大声で叫べば米日関係が悪くなることが分かった。これをもっと活用しよう」と訴える記事が出てきました。』
『韓国で新しいタイプの反日が生まれかけています。これまでの反日は外交交渉でモノを得る、あるいは国民のフラストレーションを解消する、あるいはレームダック化した末期の政権の外敵作りなどが目的でした。
これからは、「日本こそが平和の敵だ」と世界で喧伝、中国からはかわいがって貰う一方、米国には日本不信感を植え付ける。これにより米中対立を乗り切る――のも反日の目的となる可能性があります。』
『「我々は長い間、中国、日本、米国の影響下で生きて来た。そのために屈辱を耐え忍んで、他人に頭を下げることも多々あった。日本人は中国人の下風に立ちたくないと言うが、それは真の苦難を経験したことがないからだ。でも、我々には比較の対象がある。今の中華人民共和国が、清朝や大日本帝国、さらには差別意識丸出しだったかつてのアメリカや傲慢なIMF(国際通貨基金)と比べて、飛び抜けて悪いとは思えない」。極端な意見ですが、こう言いきる人すら韓国にはいることを忘れてはならない、と思います。』
『ひとつ目の点について大事なのは、軍事的にも政治的にも経済的にも日本の価値が下がっている、ということです。かつてとは異なり、もはや日本はアジア唯一の経済的巨人ではなく、韓国や中国から見える存在感は小さくなるばかりです。だからこそ、先ほどから申し上げているように、日本は今、もっとも叩きやすい状況になっています。他方、領土問題や歴史認識問題は解決されていませんから、叩き易くなれば、叩く人が増えてくるのはある意味当然です。』

現在の韓国は、貿易の面で圧倒的に中国との関係が深くなっています。
李朝朝鮮時代、朝鮮は清の朝貢国であり、現代の韓国人にはその時代の中国との関係を懐かしがる傾向があるようです。
そういった背景のもと、米中の間でうまく立ち回るため、日本を悪者にしようとしている、ということです。
日本の国力が衰え、日米同盟に亀裂が走り、日本外交はロシアや中国ともぎくしゃくしている。また韓国は日本に対し、“従軍慰安婦問題”という切り札を持っている。このような状況下では、今後の日韓関係が一筋縄ではいかないものと覚悟してかからなければならないでしょう。

こうした中、佐藤優氏からは以下のような提言がありました。
【佐藤優の眼光紙背】李明博韓国大統領が『光復節』の演説で竹島に言及しなかったことの真意を見誤ってはならない。竹島返還国会決議と『竹島の日』の全国化で反撃せよ
2012年08月15日
『日本も韓国に対して、相互主義の原則で対応すべきだ。日本外務省は、その存在を強調しないが、1965年6月22日、日本と韓国の外務大臣間で交換された「紛争の解決に関する交換公文」という名の重要な外交文書がある。椎名悦三郎外相と韓国の李東元外務部長官の間で、「両国政府は、別段の合意がある場合を除くほか、両国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとし、これにより解決することができなかつた場合は、両国政府が合意する手続に従い、調停によつて解決を図るものとする。」という合意がなされた。衆参両院が「竹島返還に関する決議」を採択し、政府に対して日韓間の紛争である竹島問題の外交交渉による早期解決を要請すべきだ。』
この中で述べている『1965年の交換公文』については、【佐藤優の眼光紙背】竹島問題の対話と国際法による解決を韓国と国際社会に毅然と主張すれば、状況は日本にとって有利になる(2012年08月10日)で詳しく述べられています。
最近のニュースによると、今週には国会決議がなされるようですし、また日本外務省の方針としても、韓国に対して1965年交換公文の趣旨に則った対応をするように申し入れるようです。その意味では、佐藤優氏が提言する方向に物事が進んでいるといえそうです。

佐藤優氏はプチ帝国主義政策を展開し始めた韓国と、それを利用する中国の真性帝国主義(2012年08月17日)でも所論を述べられています。

竹島問題及び李明博大統領の不適切発言に対して、日本が対抗措置として毅然とした対応を取ることは必要でしょう。ただし、韓国が“従軍慰安婦問題”という切り札を持っていることを忘れてはなりません。

従軍慰安婦問題については、昨年12月にも従軍慰安婦問題と韓国で話題にしました。このときは、12月18日の日韓首脳会談で、李明博大統領が会談時間の大部分を使って従軍慰安婦問題を論じたということです。当時、韓国はすでに国連総会第3委員会(人権担当)に慰安婦問題を提起しており、問題はさらにこじれる方向に進んでいました。
たまたまその直後に、金正日死去のビッグニュースが飛び出し、この問題は一時休戦の状況になっていただけです。

これから、李明博大統領は従軍慰安婦問題で執拗に責めてくるでしょう。これに対する対応は易しいものではありません。従軍慰安婦問題では、被害当事国が攻勢に出たら、日本がこれを反撃阻止することはとうてい不可能でしょう。話を聞けば聞くほど、被害を受けた方々があまりにも悲劇的で、加害側である日本国が何を言っても言い逃れにしか聞こえないからです。
4年前にアメリカで従軍慰安婦問題が吹き出した際には、日本政府などが対応を誤り、日本の国益を大きく損なう結論に至りました(従軍慰安婦問題河野談話慰安婦問題とアメリカ従軍慰安婦問題)。
従軍慰安婦という問題そのものが、現代の感覚で考えたら許すことのできないおぞましい事実であることは間違いありません。ですから、まずそのような事実があり、多くの女性、それも他国(植民地)の女性を犠牲にしたことについて、真摯な態度を表明することは絶対に必要です。
この問題に関し、今後、日本にとって良好な着地点など存在しないと覚悟すべきでしょう。できるかぎり日本の不利益を軽減することに努力するのみです。
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